発情装置: エロスのシナリオ

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480863119

作品紹介・あらすじ

人はなぜ欲情するのか?もはや「対」幻想の時代は終わった-ブルセラ、援助交際、セックスレス…地滑りを起こしたように変わっていく性意識。その構造を読み解く鍵とは?20世紀というエロスの世紀を、快刀乱麻を断つごとく著者が鮮やかに跡づける。

感想・レビュー・書評

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  • 性欲と性愛とはちがう。
    性欲は性交とも、ちがう。P115

    性をめぐる言説の「耐用年数」の
    短さを目のあたりにすると、
    性のあり方が「本能」や「自然」では
    ないことがすぐ見てとれる。
    ここではディスクールの方が
    身体を規定する。
    身体に「普遍」なぞないのだ。P117

    岸田秀の
    「人間は本能の壊れた動物」という
    言葉を思い出した。
    人間は誰しもどこか病んでいる。
    文化とは本能が壊れたもの。

    性もそれを出発点に考えた方がいい
    ように思う

  • なんだかなーのエッセイ集?論文なのかもしれないが,理系の私にはエッセイにしか思えない。

    2012/09/01図書館から借用; その日から読み始めて09/02読了

  • 趣味でよく読むセクシュアリティの本の一冊。
    私が興味を持っているのは主に「少年愛」しかも少年同士のものなので、この本の様にゲイ、レズ、ヘテロまで幅広く取り扱った物を読むのは久しぶりでした。
    三章の<対>という幻想、という項目は一世代前の少女漫画で書かれた美少年達による少年愛を考察していて、私にとってとても有意なものでした。
    男性中心に構築されてきた社会で生まれた言葉達を女性にそのまま当てはめたところで対等ではない事。
    だから、ベルばらのようにあくまで女である「男装の麗人」ではダメだし、男同士でもダメだった。(男の性を
    あくまで、媒介となるのは「美少年」でなければならなかった。
    女でもない、男でもない、第三の性として、書き手の女性が安全な場所から性を眺めることを可能にする装置が必要だった。
    ここで、私は「安全な」を「女性としての性が関与しない」という事だととらえている。
    この第三の性を対にすることで、女性は「対等な愛」という物を実験していった。。。

    わくわくします。。。私の小説もそんな物を目指していた。言葉が与えられた。。。
    今から書くぜ!わきわき!

  • 2008/11/6(〜P19),7(〜P273終)

    この本は以前も読んだ。
    しかし、時間に追われていた生活をしてた私は読破することが出来ずに返却してしまった。
    今回、家父長制〜が予想外にも早く読み終わってしまって読むものがなかったので再挑戦!ということで読んでみた。

    いやはや、初めて読んだときも結構面白いと思ってたんだけど、改めて読んだらグレードアップしてるような気がしたぐらい面白い読み物だと思ってしまった。
    上野千鶴子の記述が何より個性が大放出されていて面白い。思わず「ふっ」と笑ってしまう。

    とくに私は前半の「ブルセラブーム」の話と、
    後半の「芸術家 ニキ」の話は好きだ!

    上野千鶴子はすげええなあああ

  • 様々な発表を集めたもので、まとまりに欠けて、なかなか全体としての要旨はつかみにくい。扇情的なタイトルだが、「発情装置=文化≠本質」くらいの意味しかなくてちょっとがっかり。今となっては、性から「本質」のみを否定するのは難しいよなと思う。面白いところは残っているが、古臭さは否めない。

    ・性と人格の一致を女は求められ、男は分離していいという非対称がある。しかし、第三の道で一致も分離も後ろ指をさされずに自己決定できることが望ましい。
    ・身体は、他者からの視線によって拘束されている。自分のものにみえてそうではない。
    ・近代で、人間が共同体から離れ個人化したことで「愛されたい」という欲望が高まり恋愛病になっている。
    ・排他的な対が滅んでも「他者とつながりたい欲望」は残る。

  • いつもは理論重視の上野千鶴子の、個人としての感性の高さ、柔らかさがうかがえる、希少な一冊かも。文学・芸術・社会、色々なところに潜む発情の仕組みを読み解く。

    その洞察のふかさに驚く。

    例:女性は、「性的客体」としての自分自身に興味を持つ。・・・・女性が性的に興奮するのは「性的客体」としての男の身体にではなく、男の視線を介して「性的客体化」された自己身体に対してなのだ。

    「性の自己決定権」
    そうだ、結婚している私には、私には性の自己決定権がない。これはおかしい。

  • 上野氏本人の経験談も交えたニキの話がよかった。

  • [ 内容 ]
    資本主義の逆説とは貨幣のなかにある!
    『資本論』を丹念に読み解き、その価値形態論を徹底化することによって貨幣の本質を抉り出して、「貨幣とは何か」という命題に最終解答を与えようとする。
    貨幣商品説と貨幣法制説の対立を止揚し、貨幣の謎をめぐってたたかわされてきた悠久千年の争いに明快な決着をつける。

    [ 目次 ]
    第1章 価値形態論
    第2章 交換過程論
    第3章 貨幣系譜論
    第4章 恐慌論
    第5章 危機論

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • おもしろかった。一時期すごい性とかについて考えることがあって、考えて考えてもわからないなぁ・・・と思っていたときがあったんだけど、読みながらなるほどなーと思う点がいくつかあった。当然難しかったところも沢山あったのだけど、それでも読んでよかったなーと思う。

  • うむむ。むづかしかったのです。
    シニカルな笑いを求めている私には、ちょっと真面目すぎ…?
    固有名詞が多くて、知らないのについての見解を私は理解できなかった。

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの・ちづこ)東京大学名誉教授、WAN理事長。社会学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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