希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480863607

感想・レビュー・書評

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  • 希望無き人の社会に対する不良債権化。1990年台から社会の形態が変わりだした。リスク化、二極化してきている。そして「希望」の格差が開きだした。いつか自分に相応しい仕事につけると思ってフリーターを続ける。いつか自分の相応な結婚相手が見つかると思ってフリーターを続ける。しかし見つからないことが分かったときにはもう方向転換はできない年になっている。まじめに努力しても将来(希望)が見込めない社会になりつつある。一部の能力のあり魅力のある人は自分のしたい仕事について、結婚もできるが、一般の人たちはそれが難しくなっている。

  • 将来の夢を持つことが、非常に尊く大切なことのように声高に叫ばれている学校現場、キャリア教育。それが、実現可能性が非常に少ないとしても…。リスクを認識したり、希望がかなわない場合にどうするか、といったことは、親も子も当然に考えておくべきこと。希望格差は、昔から存在するものだと思うが、それがさらに進行しているということか。

  • 非常に納得できる現状分析。パイプラインの説明は分かりやすい。最後に解決のための方法論も載っているのだが、それは「まぁ、そうなんだけど、それでどこまで変わるのだろう?」という気もしてしまう内容(改革の必要性を意識する、行き過ぎた個人の責任論をやめる、個人的対応には限界があり従来の公共政策では解決しきれないので、公的機関が個人の対処を支援するべしetc.)。

    これだけ大きな問題に1人の人間が解決策を見いだせるわけもないので、当然といえば当然。意識して考え、行動する人が増えることで、小さな変化を積み重ねていけば、目に見える効果が出ることもあるだろう。そうなったら、その方法が通用する別の箇所に拡大するなどすれば、大きな変化にもなっていく。簡単な答えはない。

  • 格差社会について書かれた本の中では1番良いものだと思う。

  • 2012 7/1パワー・ブラウジング。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。

    リスク化(いつ落ちるとも知れない/あるパイプに乗って努力していても必ずしもそれが報われて就職できたり昇進できたりするとは限らない)と(質的な)二極化(一度わかれると乗り越えられない差異が生じる)によって、努力が報われない/無駄になってしまう人びとが社会のあらゆる部分で発生する、「希望格差社会」としての現代について描き出した本。
    類書も読んで色々検討する。

  • 「勝ち組」「負け組」の二者が存在する今日の格差社会を分析した書。
     どのようなプロセスを経て、そうなってしまったのか?を経済、家庭、教育の視点から分析していく。経済はライシュの引用、家庭(ないしコミュニティー)はバウマンの引用、教育は苅谷の引用をメインに論じていく。
     今日の格差社会は「非正規雇用」や「フリーター」などの制度的な問題はもちろん、曖昧な点が多く、何をどうすればよいのかわからない。また、一度「パイプライン」から漏れてしまうと社会に復帰できない。それが「将来に希望がもてる人とそうでない人」の二極化へとなっていく希望格差社会へつながっていくとする。
     このような現在の問題点の洗い出しはもちろん、「高度成長の時はよかった」といった懐古主義を否定し、経済だけでなく、心理的なセーフティーネットの提案をする。
     分析は精緻なもので、若者兼社会学徒の私にとって非常に参考になる点が多かったが、提案については走り書きしたような印象をもった。
     提案について「そうだ!」と頷くというよりも、この分析を通し、今の「希望格差社会」の現状を見据える。そして今後どのように生きていくか?どのような考えをもって、この格差を是正していくかを考える。そういった読み方がおススメ。若者の人に特によんでほしい。

  •  家族、教育、労働と3つの側面を中心に日本社会に存在するリスクを導き出そうとしている。高度経済成長時代に通用していた基本モデルが次第に機能しなくなり、筆者の言う「パイプラインの漏れ」が生じているのが現在の日本社会の状態である。
     僕たちの時代はそれらのモデルをもう一度振り返り、今の時代に存在するリスクを認知、そして個人に合った生活スタイルを選び取る必要がある。再帰化の段階に僕らはもう存在している。

  • 社会構造の変化がロジカルに書かれていて納得。
    ここに書かれている現象がどんどん進んでいった結果、今の就職氷河期・婚活ブームが起きたのだろうと思った。
    そもそも「婚活」っていう言葉もこの本の著者が生み出したものだそうなので、そういう結論に結び付けようと書いている面もあるのだろうけれど。

  • 教育制度の社会性というのはそういうことだったのか、ということを知る。過大な期待をあきらめさせていくパイプラインシステムの話はなるほどと納得した。何のことか、という方はぜひ本を読んでみてください。このほかにもいくつか面白い視点があります。ただ、それでは僕らは何をすればいいのか、というのは難しい。書かれているのは、個人では抗うすべはない、というようなこと。社会は不安定になるしかないのか。

  • 2010.11.03 一つ一つの主張がすべてロジックが明確で分かりやすく、なっとくできる。希望格差は、まったくアグリーだ。教育について、部分てきには、違った見解もあるが、トータルでまったく同調できる。是非推薦したい
    一冊だ。

著者プロフィール

山田 昌弘(ヤマダ マサヒロ)

1957年、東京生まれ。1981年、東京大学文学部卒。
1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
現在、中央大学文学部教授。専門は家族社会学。コピーライターとしても定評がある。
NPO全国地域結婚支援センター理事

【著書】
『パラサイト・シングルの時代』『希望格差社会』(ともに筑摩書房)、『新平等社会』『ここがおかしい日本の社会保障』(ともに文藝春秋)、『迷走する家族』(有斐閣)、『「家族」難民』(朝日新聞出版)などがある。

【公職】
•内閣府 男女共同参画会議・民間議員
•文部科学省 子どもの徳育に関する懇談会・委員
•社会生産性本部 ワーク・ライフ・バランス推進会議・委員
•厚生省 人口問題審議会・専門委員
•経済企画庁 国民生活審議会・特別委員
•参議院 調査室・客員研究員
•東京都 青少年協議会・委員
•同 児童福祉審議会・委員
•内閣府 国民生活審議会・委員
などを歴任。

「2016年 『結婚クライシス 中流転落不安』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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