政治の約束

制作 : ジェローム コーン  Hannah Arendt  Jerome Kohn  高橋 勇夫 
  • 筑摩書房
4.25
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本棚登録 : 52
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480863805

作品紹介・あらすじ

哲学が政治を抑圧する。政治思想史の終わりを語り、絶滅戦争が現実化する時代に、新しい政治の始まりを展望する。『全体主義の起原』以降の思索の全軌跡。

感想・レビュー・書評

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  • 「全体主義の起源」を読んだ勢いで、読み始めたのだが、これはかなり読みやすく、内容的にもエキサイティングなので、2日間で読んでしまった。

    この本は、アーレントの遺稿を整理出版しているジェローム・コーンの編集によるもので、原著は2005年に出版されたもの。

    「全体主義の起源」で、アーレントが「全体主義」と定義するのは、ナチズムとスターリニズム。これをドイツとロシアの特殊性として理解するのではなく、ヨーロッパ全体の構造のなかで生じたものとして、議論をしている。

    とはいえ、スターリニズムのベースとなるマルキシズムに関する論考はあまりない、という点が、「全体主義の起源」の構成上の難点なのだが、そんなことはアーレントも当然わかっている。
     
    というわけで、「全体主義の起源」を出版した後、アーレントは、マルクス主義を西欧の政治思想全体の中で読み直すプロジェクトをスタートする。あわせて、アーレントの政治思想・哲学をまとめた「政治入門」なるプロジェクトが進められたのだが、いずれも途中で止まってしまう。(後者のプロジェクトの一部は、「人間の条件」や「精神の生活」の中に包含されていると思われる)

    この2つのプロジェクトに関する原稿を集めたものが、この「政治の約束」というわけ。

    特に、「政治入門」は、日付のない原稿を再構成したもので、かなりの労作。

    みたいなことを書くと、かなりマニアックな本ではないかと思われるかもしれないが、これは、アーレント自身によるストレートなアーレント入門である。

    アーレントは、難解というか、単純な一つの意味に収束する文章は公表せず、本当に言いたいことは、本の色々なところに埋もれて入っているみたいなことをする人なんですね。

    それが、この本では、とてもストレートな感じで、感動的ですらある形で語られている。

    アーレントは、全体主義を二度と起こさないようにしようという願いとともに、原子爆弾によって人間の絶滅が可能になる時代において、いかに人間が、人間らしく、一人一人が、新しい存在として世界に生まれ出たその奇跡を大切にしあえる自由で、寛容な関係性を作ることを希求しているのだ。

    遺稿集という落穂拾いなものではなくて、そんな熱い、ピュアな思いが溢れているかなり重要な本だと思う。

    ちなみに、私は「なんてわかりやすいんだ!」と思ったけど、訳者によると「かなり難解」な本らしい。

    う〜ん、「全体主義の起源」と「人間の条件」を読み終わった私には、とても分かりやすかったんだけどね。

    最初に読むアーレント本ではないかな?

    ちょっと地味だけど、アーレントに関心を持つ人にとって、これは必読だと思う。

  • アレントは政治の「目的」と「目標」を分けた上で、大事なのは政治の目標(goal)であるという。そして、ギリシアのポリスやローマの政治を対比しつつ、そこにヨーロッパ現代政治のルーツをたどりながら、現代における政治というものの本質に迫っていく。
    http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20080417#p1

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