不況は人災です! みんなで元気になる経済学・入門(双書Zero)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 65
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480864031

作品紹介・あらすじ

いつクビになるかと不安な人々、頑張っても就職できない若者たち…デフレ不況で元気をなくした平成ニッポン。なぜ?どうすればいい?世界標準の新理論で、景気回復の処方箋を示す。難しい数式は一切なし、みんなのための経済学・入門。

感想・レビュー・書評

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  • ミクロ的基礎付け=新古典派の手法=個人の態度から式を導く。ケインズの価格の下方硬直性を前提にするのは古いという考え方。
    新しいケインズ理論=価格の伸縮性を前提に、合理的期待が好況不況をリードする=ミクロ的基礎付けの取り入れ。インフレターゲット政策。マンキュー、クルーグマン、スティングリッツなど
    マルクス経済学では独占資本の利潤確保がインフレの要因と考えた。ポストケインジアンも同じ。

    固定為替では好況と不況の振幅が増幅される。資金流入は好況要因。
    変動では資金の流出入の影響は逆になる=資金流出(ドル買い)が円安となって好況要因。

    ケインズ理論のキモは、価格の硬直性ではなく流動性選好=貨幣のバブル=モノよりも貨幣を持っていたほうが得だから貨幣=流動性を好む。

  • 本書は、平成不況の真因は、度重なる自民党政権の政策であることをマクロ経済学の基礎知識でわかりやすく説明した痛快エッセイです。

    そして、その不況の拍車に追い打ちをかけているのが、日本の左派政党と呼ばれる社民党や共産党の欧州左翼政党の反緊縮と遠く隔たりすぎた経済に対する認識である、ということである。欧州左翼は完全雇用を全面に出しますが、日本の左派といわれる政党は完全雇用を口にしなくなった、ということと、欧州左翼政党は完全雇用のために中央銀行の金融緩和を率先するが、日本の左派政党は中央銀行の独立性が損なわれるからしてはいけない、というその左派の認識が不況に追い打ちをかけているのだ。

    そして、不況が抜け出ることができない根本原因はケインズの概念「流動性の罠」にはまったことであり、そのことは、カール・マルクスも指摘しているのである。

    ほかにバブルの原因や、今後の景気回復策を述べている。

    景気回復策は、遠い将来は消費税10%は決まっているが、一旦、ゼロにしてしまい、いわば消費税前の駆け込み需要を喚起できる、ことだと述べている。

    景気回復策では奇想天外な策を述べる著者は、一方ではマルクス経済学に通じており、

    松尾 匡 の これからのマルクス経済学入門

    の著者でもある。

    現実的に物事を思考したい人向けです。

  • 好況はいい、不況は悪いという当たり前のことをはばからなくおっしゃっていただきたい、という著者のメッセージ。

    ゼロ金利で金利所得が奪われて来たと、日本の左翼政党は言う。生憎こちとら貯金が無いんだよ。と私は言える。
    著者自身も、もっと既存の左翼政党に注文を付けたかっただろうに、抑えているのが文脈から伝わってくる。
    --
    「左派」と言われる勢力が(略)働く人々の雇用拡大のニーズに背を向けていたならば、右翼ナショナリズム勢力がその代わりを務めることになるのは歴史の常です。
    --
    という言葉は重たい。

  • とてもわかりやすい!

  •  本書は、いわゆる「リフレ派」による一般向けの経済書であると思う。
     「反デフレ」「反日銀」は、既にだいぶ巷でも語られている内容であるが、本書では「反小泉路線」「反構造改革」の政治路線にまで言及している点が特徴かもしれない。
     内容の、それなりに一貫した主張と、豊富なデータ表示には説得力があるが、経済データは読み方一つで真逆の結論を引き出すことができるから、本書の主張が正しいかどうかは、本書だけでは何とも言えないと思った。
     それにしても、最近は、本書のような「リフレ派」の本は多いが、現在の「日銀」や「政府」を擁護する「伝統的政策派(?)」の本は見たことがない。現実政治の多数派の理論的主張をもつ学者はなぜ大きな声を上げないのだろうかという疑問を持つ。
     なにしろ日本においては、「失われた20年」が未だに継続中なのだから、大きな声をあげられないのかもしれないが、「経済成長は病を癒す」点は間違いがないのだから、何とかしてもらいたいものだとつくづく思う。
     本書の表題である「不況は人災です!」とは、まさにそのとおりである。自民党の新総裁に安倍晋三氏が決定し、安倍氏は増税よりもデフレ脱却を訴えているようであるが、まさに本論であろう。
     本書は、新しい知見も見当たらず、読んでも感銘は感じないが、経済を身近なものとして誰もが茶の間談義に語られるレベルに引きおろすという点で価値があるのかもしれないと思った。

  • ここ数年の経済停滞の原因について、客観的な事実とマクロ経済学から解説。景気回復と再分配の両立が今まさにひつようだとかんじた。

  • 読みやすい本ですが、私の頭ではもう一つ理解できませんでした。ただ、今の日本の状況とそれを改善する方法の一つがでているみたいです。
    もう少し、勉強してから出直して来ます。

  • 経済学者のケインズが言う「人々には、何も買いたいものがなくてもとりあえずおカネを持っておこうとする性質がある」(=流動性選好)、これが不況の原因となっていることに納得しました。このご時世、ますます財布の紐は固くなるし、このままでは日本経済は活性化しないと思うけど、やはりあまりお金を使いたくないなと思ってしまう。これを脱却するために、需要を創出するような景気回復のリフレ政策が必要で、それについてわかりやすく書いてありました。

  •  リフレ論を様々なデータをもとに検証していく内容の本。
    僕はこれまで、インフレターゲットの効果は懐疑的だと思っていたけど、確かにこの本を読むと一理はあると思う。ただし、それはあくまでこの著者が言うように、しかるべきタイミングでしっかりと効果的に実行された場合にだ。
     現実は、これまた著者が言うように、多くの人の感情的な誤解が、政府をはじめとして、こういった正しい経済政策を実行する大きな障壁となっている。ので、この本も「そうじゃない!もっと論理的な議論としかるべき政策の実行で、皆が幸せになる経済、社会を目指そうじゃない!!」って啓蒙するための本という位置づけに甘んじているのが現状だ。
     この本を読んで、今、日本経済と日本社会がハマっている悪循環な現状の真なる原因を考えれて突き詰めれば突き詰めるほど、人々の頭の中が根本から変革されないと、いくらテクニカルな金融政策でいろいろとやってもその本質的な問題は解消されないんじゃないかという気持ちが強くなっただけだった。
     もちろん、適切な経済政策は都度行われてしかるべきだし、それがされていないからより惨憺たる状況ではあるかとは思うのだけど。
     つまり、今の日本の問題の本質は、パソコンで言えばOSの問題ってこと。OSが時代に対応できずあちらこちらで歪みや不具合を起こしているのに、事業仕分けなんていいながら、いくらその上のレイヤーのアプリケーションをアンインストールしたり、修正したりしても無駄ってことなんじゃないかなぁ?
     そういう意味では、ここで語られている人々のマインドは(この本のちょっと前に読んだ)「モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか」(これもすごい面白かったので、この後できたら感想を書こうと思う)の、多分にモチベーション2.0的というかその域を出ていない。ので、同じ絵に描いた餅議論ならば、BIとかの方がより人々の考え方を根本から革新する可能性があるので、僕は好みだ。
     とはいえ、慢性的なデフレと円高が日本経済をしんどくさせていることは間違いないと思うので、新陳代謝分の経済成長が出来るようになんとかしなくちゃならないことは確かで、そのためには硬直化した状況の打破のために、もう少し大胆な経済政策が行われてもいいんじゃない?って思うし、この本の内容のような議論がもっと広くおこなわれるべきだと思った。

  • 大学院時代の先輩、松尾先生より献本をいただきました。松尾先生らしい視点で大胆に書かれてありますので、読んでいるこちらの方がドキドキします。

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著者プロフィール

一九六四年石川県に生まれる。一九八七年金沢大学経済学部卒業。一九九二年、神戸大学大学院経済学研究科博士課程後期課程修了。経済学博士。
久留米大学経済学部教授を経て、二〇〇八年立命館大学経済学部教授。
現代社会が抱える現実的な問題に強くコミットしつつ、高度な理論性を備えた実力は学界のみならず、近年メディアでも注目されている。
著書に『近代の復権』(晃洋書房)、『「はだかの王様」の経済学』(東洋経済新報社)、『不況は人災です! みんなで元気になる経済学・入門』(筑摩書房)、『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』(PHP新書)、『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)、『反緊縮宣言』(共著・編、亜紀書房)、『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』(共著、亜紀書房)、『新しい左翼入門』(講談社現代新書)等がある。

「2020年 『左翼の逆襲 社会破壊に屈しないための経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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