この国を揺るがす男:安倍晋三とは何者か (単行本)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480864444

感想・レビュー・書評

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  • 朝日新聞に連載された記事を再編したもの。テーマごとに章立てになっているので、時間が前後するのは仕方ないが、同じセクション内で時間が突然切り替わるのは読みづらい。例えば、114ページの中程から始まるセクションの出だしは最悪。

    安倍晋三は、父の安倍晋太郎よりも祖父の岸信介に影響を受けている。最も重視しているのは「真の独立」。ポツダム宣言すなわち占領下と、サンフランシスコ講話条約すなわち現在とは、ねじれが生じており、憲法を改正して真の独立を目指している。現在、最も注力している、強引にも見える経済立て直しは、真の目的を果たすために、どのような役割を果たすのか。

    アベノミクスの原点である異次元の金融緩和は、民主党政権が衆議院を解散した時期で、安倍総理の再登板前。これにより株価が上がり始め、選挙は自民党の圧勝、安倍総理は自民党総裁選で逆転勝利して二度目の総理大臣に就任。

    原発稼働賛成派で、その理由は国外に支払うべき燃料費が、原発停止により莫大となるため。

    現在500兆余りの国内総生産(GDP)を2020年に600兆とすることを目指すアベノミクス。なお、現在の日本の借金はGDPの2倍を超えている。

    1991年、総裁候補の最有力と目されていた父・晋太郎が急死。1993年に父の地盤を受け継ぎ、衆議院議員選挙に出馬して初当選。
    2006年、小泉首相の任期満了に伴う総裁選で自由民主党総裁に選出され、9月26日の臨時国会で内閣総理大臣に指名される。
    2007年7月の参議院議員選挙で自民党が歴史的惨敗。いったん続投を決めたものの、9月に体調不良もあり辞任。
    2012年12月の衆議院議員選挙で自民党が圧勝し、政権与党に復帰。第96代内閣総理大臣に選出され、第2次安倍内閣が発足した。

  • 朝日新聞にしては、意外にバランスがとれた内容であった。安倍晋三自体は戦争指導者であった岸と、実際に戦争体験を持つ安倍晋太郎の二人の血筋を引くわけだが、思想的には完全に岸の系譜を引く。

    一言でいえばポツダム体制からの打破(再軍備・日米同盟堅持を基調とするサンフランシスコ体制は受け入れる)=戦後レジームの脱却。を目指すということらしい。

  • 安倍さんが嫌う朝日新聞から出た本だから、全体として安倍さんを批判する本かと思ったが、バランスのとれた本である。今まさにこの国を揺り動かしている安倍晋三がどこからきて、どこへ行くかを朝日の取材班が新聞に連載したものの単行本化である。裏のとれない記事はださないという編集長の方針により、とても信頼できるものとなっている。安倍さんの父親晋太郎さんは選挙に出るとき、岸の孫ではなく、父親の安倍寛の息子であることを強調したがった。しかし、安倍さんはむしろ岸さんの孫であることを意識しているし、岸さんの悲願である自主憲法の創設を願っている。これはよく知られていることだ。岸さんが安保改定をやったとき、大きな国民的運動が起き叫ばれた「安保反対、安保反対」ということばは、当時10ぐらいだったぼくでも口からついてでる。今考えると、岸さんは日本の独立と同時に結ばれた第一次安保条約の不平等性を改正したかったわけで、あれだけ反対されたことは気の毒なくらいだ。それはともかく、本書で圧巻なのは、「アベノミクス」の章で、3本の矢のうちの金融緩和がなにものかが本書でよくわかった。これだけ書かれると、それが必要なことがわかる。問題は企業がそれを内部留保し分配しなかったことである。しかも、この政策は与党、野党問わず賛成論者がいた。これだけに限らず、政治家というものは、問題によっては与野党一緒になって研究会を作り考えているようだ。そんなことも本書からわかった。これはすごいことである。安倍さんは首相になるために、社会保障についてもよく勉強したという。なるほど。野党はしっかりしないと、なかなか安倍さんをひきずりおろせないぞ。

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