じゅうぶん豊かで、貧しい社会:理念なき資本主義の末路 (単行本)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480867254

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  • 人間のよい暮らしにとって、経済成長は必須ではないよね、という話。
    今の世の中は、経済成長が各人のよい暮らしに先立つ目的となってしまっていることで、よい暮らしの形成を妨げられてしまっているけれど、それが当たり前になったのはたかが50年前くらいの話、とのこと。
    あまりにも私達の頭は成長を目的としすぎているな、と痛感した。

    この本を読むのは、私にとっては余暇となったと思う。

  • ケインズの予想が外れた理由
    1,働くのが楽しい=暇になるのが怖い
    2,働かざるをえない
    3,もっともっと働きたい=ある種の財の本来的な希少性を求めるため

    マルクスは技術投資によって生産性があがることを見落としていた

    地位財や少数独占財の存在は金銭欲を募らせる
    慣れ、の問題
    相対的な裕福度=旧東ドイツは統一後、所得は上がったが幸福度は減った

    幸福度調査は幸福をそのものは計測できない

    幸福は必ずしも善とは限らない=快楽エンジニアリングに走ることになる

    成長に限界はなかった=成長に終焉はないから働くことに終わりはない
    1972年「成長の限界」はこなかった

    負の外部性(環境汚染など)は、成長の限界を呼び起こす可能性がある

    より良い暮らしを形成する7つの要素
    足るを知る。良い暮らし、が概念としてなくなった。
    基本的価値の選択基準を決める必要がある
    1,健康、2,安定、3,尊敬、4,人格又は自己の確立、5,自然との調和、6,友情、7,余暇
    この基本的価値は他のものでは埋め合わせられない

    経済成長は、他の目的が無くなったから目標に鳴った。

    飽くなき欲求に火を付けたのは、成長重視の思想というより市場重視の思想への転換。
    部分の合計が全体となっただけ。未熟な個人主義。

    ベーシック・インカムには2種類ある。資本の授与と年間所得の保障。
    資本の授与のほうが選択肢がある。
    ベーシック・インカムは怠惰と浪浪費を促すか。資本の授与は、遺産相続と同じ。余暇の使い方過ごし方、余暇を通じた人生の充実の方法を教えることで、怠惰を防げる。

    自由貿易は貧困国にも利益をもたらすとは必ずしも限らない。非効率的であっても製造業は必要。先進国は保護主義によって豊かになった。

  • 倫理、哲学的側面から豊かさとは何か。経済の目的とは何かを記した本

  • 価値の最大化の名のもとに「つねにもっと」と欲望創出を是とする資本主義。量的に限度がある「必要」と異なり、精神的で限界がない「欲望」をベースに置いてしまうと追い立てられるようにいつまでも走り続けなくてはならない。そうではなく、よい暮らし・よい人生を成り立たせるのはどのような要素かを倫理的な側面から論じ、「もう十分」の基準を作ろうと試みている。一人当たりのGDP等の「最大化」を目指す数値ではなく、「足るを知る」にあたって不可欠な7つの基本的価値を提示している。経済成長も大事だけど、それだけが大事ではないというの考えさせてくれる本でした。

  • ノーブレス・オブリージュ。徳。昔から言われてきたことで、著者の主張も正しいと思う。
    けれど、具体策にするとそれは結局、徳ではなく得をするものでないと、上手くいかないのでは。いくらお金を貯めてもまだまだ心配な私達が、他者のためだけに蓄えを吐き出すか?寄付金控除があるからやるけど…
    そして、持ち家の中に大量の不要品を溜め込んでなお安物買いを続ける日本の老人問題に、この本は有効だろうか。
    この本の言葉が届く人には不要な本で、この本が必要な人には届かない言葉のような気がする。

  • <内容>
    ・ケインズの予想
    …経済成長にともない、人々は長時間労働から解放され豊かな生活を送るようになるのではないか?
    ←豊かな生活は送れるようになったが、長時間労働は相変わらず。

    ・労働市場を資本家が支配する状況
     =雇用保険に加入して新規に社員を雇うより、少数の社員に長時間労働を押しつけこき使う方が利益が上がる。

    ・アリストテレス以来の「よく生きる」の倫理思想はロックにより打ち砕かれる→効用関数の登場(効用に基づいて人々は行動するという、経済学思想の定着)

    ・欲望が無限大に出てくる「資本主義システム」
     ←カトリックではこれを人々の生活に従属させようとするが、プロテスタントではこうした動きは無い
     →資本主義システムの際限なき肥大。
    *こうした点について幸福経済学から批判

    筆者が考える「幸福であること」の条件
    1)健康
    →身体が十全として機能する
    2)安定
    →じぶんの生活が、戦争、犯罪、革命などの社会的・経済的な同様に脅かされることなく明日以降も概ね従来通り続くと予測できる状況
    3)尊敬
    =その人の意見や姿勢を重んじ、無視したり疎略に扱ったりすべきでない
    4)人格または自己の確立
    =自分自身の理想や気質や倫理観に沿って人生を設計
     →私有財産の保護、尊重が導かれる
    5)自然との調和
    6)友情
    7)余暇
    =日本の文化(茶道・華道)→業務から解放され、余暇を日常の所作に芸術性を高める

    *実際の1〜7(主に英国の事例)
    1)健康…精神障害の多さ。
    2)完全雇用を目指すマクロ経済政策は完全放棄
    3)福祉のスティグマなど、十分な状態ではない
    4)人格が尊重されている状態ではない

    *現在の資本主義=弱者から富を収奪し、富裕層を「自由主義」「グローバリゼーション」の名の下で太らせる
     →資本主義は終焉?

    *経済成長が政策目標とされる理由
    =それ以外「他には目標となりうるものが残っていなかったからである」(p.260)

  • ■書名

    書名:じゅうぶん豊かで、貧しい社会:理念なき資本主義の末路
    著者:ロバート スキデルスキー、エドワード スキデルスキー

    ■概要

    雇用不安や所得格差を生み、人類の未来など一切考えない貪欲むき
    だしの経済とは決別しよう!
    ケインズ研究の大家が「よき人生」を実現させるための政策を提言する。
    (From amazon)

    ■気になった点

    ・人間は持てるもので満足できないよう生まれついている。

    ・飽くなき欲求に火をつけたのは、「成長重視の思想」より「市場
     重視の思想」への転換だった。

  • ケインズが1930年に次のような趣旨の小論文を発表した。「技術が進歩するにつれ、単位労働時間のあたりの生産性が増えるので、人々がニーズを満たすために働かねばならない時間はしだいに減り、しまいにはほとんど働かなくててもよくなる。そこで差し迫った金銭的必要性に煩わされない自由をどう使うか、余暇をどのように使うかが問題である」こうした状況が100年以内、つまり2030年までにくるとケインズは考えていたが、現在は当時と比べると少しは労働時間が減っているもほとんど働かないには程遠い状況にある。それはなぜかと人間の欲望とは、幸せとは何かについてついて眠くなるような哲学的考察を行い、環境問題にも言及する。終章でやっと資本主義についての考察となりやや目が覚める。
    消費税は浪費的な消費を抑制し、強欲を満たす所得(ひいては労働)を減らすとの考えは新鮮(その発想は無かった)、また、金融イノベーションは無用として金融商品に課税をとの主張は先のリーマンショックを考えると納得感がある。そして、オランダは英国より労働時間が短くて一人当たりの平均所得が多いとか、フォルクスワーゲン社がレイオフを避ける目的で労働時間を切り詰めシフトを小刻みにしたとき生産性が向上したなどの話はとても企業経営を考える意味でもとても興味深い。

  • 資本主義の初期、衣食住足りれば競争は穏やかになると予測されていた。しかし人は周りと比較しもっと多くを求めるようになり、環境に負荷をかけ弱者は貧しさから抜けられない構造が常態化してきた。貪欲になるのではなく足るを知ることで社会は成熟すると唱える本だが、今足りないからではなく、将来の不安にかられ、望む以上に働いている人たちの検証は、そこまで深くなかったと思う。ベーシックインカムの考え方は絵に描いた餅みたいだ。ケインズや、この本に対して書かれたものがあるだろうから、それらを読んでみたくなりました。

  • 経済学と同程度、世界史、哲学、宗教の知識が必要で学部生の私には難しかった。

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