音楽のつつましい願い

  • 筑摩書房
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480872852

作品紹介・あらすじ

ささやかなリトルネッロ、つつましいインテルメッツォ、ほほえましい前奏曲。小鳥たちや植物、妖精や死者たちによってしずかに歌い出され消えていく音楽と、11の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 十年以上ぶりに再読。無性に、ボロディンの項を読み返したくて。化学者でもあり、女性の権利拡大の運動に奔走した運動家でもあり、作曲家でもあったボロディンの。「「ダッタン人の踊り」をもう一曲つくるほうがいいか、それともこの人たちが明日元気で、ふたたび運動に力を注げることができるよう、安眠を妨げずにいるほうがいいか。それはもちろん後者の方がいいに決まっている」/人生のすべてではなく、人生の一部であるからこそ、音楽は美しいのではないか、と/作曲家M・Vとカバレフスキーに自分の作曲が手につかないほどの衝撃を与えた、出来立てのハチャトリアンの「ヴァイオリン協奏曲」。確かに冒頭からぐいぐいと引き込まれる力強いメロディーの曲。/モスクワでの山田耕筰と、スクリャービンの「ポエム」という曲の出会い。/なによりもまず人間の声に耳をそばだて、そこに音楽の発生の源を見い出していたヤナーチェク。/その弦楽四重奏曲第二番「ないしょの手紙」に秘められた激しさ。/チャベスの「シンフォニア・インディア」に流れる、ヤキ族、ウィチョル族、ナヤリット族の音楽/チュルリョーニスの独特な画風と音楽の関係。交響詩「海」の冒頭のひそやかさ。/再読しつつ、出てきた音楽を聴き返しつつ、版画で描かれた作曲家の肖像を楽しみつつの一冊。

  • あるヴァイオリン二ストがショーソンの『詩曲』はあまりにも切なくて最後まで聴けずにレコードの針を上げてしまう、
    と言っていたことが印象的でした。
    そのことがこの本を読むとよく分かります。

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著者プロフィール

中沢新一(なかざわ・しんいち)
1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、明治大学野生の科学研究所所長。思想家。
著書に『アースダイバー』(桑原武夫学芸賞)、『大阪アースダイバー』、『カイエ・ソバージュ』(小林秀雄賞)、『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞)『哲学の東北』(斎藤緑雨賞)など多数ある。

「2018年 『精霊の王』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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