捨てられないTシャツ (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480876225

感想・レビュー・書評

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  • もう着ない、捨てても良いはずなのに捨てられないTシャツ。それは、忘れられない想い出があるから。

    Tシャツの写真とその想い出を本人たちがつづったもの。
    都築さんは、編者であって、Tシャツにアイロンをかけ写真を撮る係りで。文章はTシャツの持ち主達の書いたものをそのまま。

    もともとメールマガジンのものだったこともあり、人により文章の長さが異なる。
    すっきり2ページの人もいれば、延々と私小説短編のような人も。人それぞれ。

    このばらつきが、自分語りについての熱量の違いを表していて面白い。とにかくづっと語りたい人、さらっとTシャツの話だけしたい人。

    基本的には皆、人生を語っている。Tシャツはその人生の中の一部に登場する。Tシャツの話が付けたしのような人もいればメインにTシャツの話する人もいる。

    誰でも小説は書ける。それは自分の人生を書けばよい。リアルにドラマがあるから。
    というのがそのまま当てはまったような本。

    皆、都築さんの知り合いなので、なんだかキャラ立ちした人が多い。それぞれの人生にへぇーとグイグイ惹きこまれる。

    匿名であるというのも良いのだろう。有名な人も混じっているはずだが、匿名なので、正直に赤裸々に記載できる。

    読後、都築さんのまえがきを読み直し、読む前はあまり響かなかったフレーズだったが、読み終わると、この本のねらいを的確に表しているなと思ったフレーズがあるので、それを以下に示す。
    ______
    ほとんどすべてのファッションは、製品になったときが完成形だ。どんなデザイナーの、どんな値段の服を着ているかで、ひとは判断される。着る人間によって、服のデザイン自体がかっこよく、かっこわるくなったりすることは、おおむねあり得ない。かっこよかったり、かっこわるかったりするのは、服ではなく人間のほうだから。
    Tシャツだけはちがう。居酒屋で飲んでいて、となりに「島人(しまんちゅ)」なんてデカデカと書かれた色褪せTシャツ着用オヤジが座ったとする。あ~めんどくさそうと思うが、そのうち言葉を交わすようになって、オヤジがぼそぼそ語ってくれる人生劇場にすっかり魅せられて、ちょっと涙ぐんだりしているうちに、ダサいはずのTシャツまでかっこよくみえてくる-そういう体験が、君にもないだろうか。
    ______

    人生の話はほとんどの人が面白かったが、Tシャツとしていいなーと思えたのは少数。(もともと好きなTシャツという話ではなく、恥ずかしくて、本人たちもほとんど着たことないTシャツが多いので当然なんだけど)

    でも、良いな、譲ってほしいなと思ったのは
    ・TheCars
    ・勝新太郎
    ・WWFのパンダ
    ・シャネルNo5
    ・乱一世
    ・タケオキクチ

    乱一世のRUNDMCのバッタものは本当にかっこよいと思った。「RUN1ST」って表すのね~と感激。

  • 本当のことなのかそうじゃないのか判然としない話をする知り合いがいる。たとえば、と書きたいところだけれど、それを書くと、たぶん容易に誰だかわかってしまうので書かない。この本を読みながら考えていたのは、その人のこと。
    まえがきにもあるように、この本はTシャツにまつわる思い出を持ち主に書いてもらった文章をまとめたものだ。だからきっと本当のこと。それは、同じくまえがきで引き合いに出されているポール・オースターによる『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』、つまり「作り話のように聞こえる実話」。私はポール・オースターの『トゥルー・ストーリーズ』がとても好きなのだけれど、まさにそんな感じ。

  • 「ジョーイ・ラモーン」は文章の臨場感と相まって感極まってしまった。笑
    「タケオキクチ」は何だか心に残る。
    エキセントリックなのは「ア・ベイジング・エイプ」だろう。
    「ネズミ講」は笑ってしまって「目から手(小嶋独観子)」の前略プロフィールに懐かしさが込み上げる。

    アマゾンのほしい物リストに入れっぱなしだった本書も、とある人がきっかけでやっと読むことになり、読んでみたら面白くて誰かに読んだことを自慢したくなった。

    私の知らないマチで生まれた年齢も性的嗜好も生き方も様々な人たち。
    彼らのTシャツ話もそりゃ気になるが、文字に起こされた人生や思考が悲喜交々で興味深い。

    自分ならどのTシャツにするだろうかと考えると同時に、どう語るかと思いめぐらせるのも楽しかった。

  • 誰しもそれぞれの物語を持っているのだなぁ…。
    1枚のTシャツをきっかけに語られる。
    基本無記名の一般の人による文章だけれど、ちょいちょい著名人が混ざっている。

  • 自分はなんて無難な人生なのかと思った。

    比較的執筆者に建築家が多い気がする。自分ももう少し波乱万丈な社会人となってもよかったのかも。

    あと女性はなぜか性的なエピソードが多い気がする。

    誰が書いてるのか気になる。

  • Tシャツとほぼ関係ない人生譚。著者の人脈だけあってかなり大変な人が多いので、もしタイトルから思い出ほのぼのバナシを期待しているとかなりヤバい。

  • ティシャツ交えていろいろな人の半生が書かれている本。著者の賛同した人の傾向が似ているのか、似たような内容が多く見受けれた。
    ネズミ講ティシャツの方のアレイスター・クロウリーの話と、目から手(小嶋独観子)の、死んだらきっと地獄行きだ。~落ちてみたい。の部分がとても惹かれた。

  • ブックカフェでふと手に取ったところ、一気に読んでしまった。前から気になってたけど、読む機会がなかった。

    Tシャツにまつわる話というよりは、持ち主が自分の人生を語る中でちらっとTシャツに触れる、という感じのスタイル。

    著者はポール・オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」と同じような試みになったと書いていたが、僕は昔、中島らもがフリーペーパーか何かの取材で、軽い気持ちで近所の商店の人達に人生を語ってもらう企画を始めたが、あまりにも話を聴いた人の話が重たくてシャレで済まなくなった、と書いていたのを思い出した。

    著者の周辺の人達に話を聴くことから始めているので、編集者とか業界人が多い。

    最後のTシャツは村上春樹に間違いないが、冒頭は誰だろう?

    一番こころに残ったのは2匹の猫のTシャツエピソードです。

  • たかがTシャツ、のはずなのに、濃い話が多すぎた。
    Tシャツよりも人生の話。
    ボリュームもすごい。
    でも一気読みしてしまった。

  • 都築さんの切り口は本当におもしろい。捨てられないTシャツ、自分のまわりの友だちでもいろんな話出てきそう。

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著者プロフィール

1956年東京生まれ。ポパイ、ブルータス誌の編集を経て、全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』(京都書院)を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆・編集活動を続けている。93年『TOKYO STYLE』刊行(京都書院、のちちくま文庫)。96年刊行の『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』(アスペクト、のちちくま文庫)で、第23回木村伊兵衛賞を受賞。その他『賃貸宇宙UNIVERSE forRENT』(ちくま文庫)、『現代美術場外乱闘』(洋泉社)『珍世界紀行ヨーロッパ編』『夜露死苦現代詩』『珍日本超老伝』(ちくま文庫)『ROADSIDE USA 珍世界紀行アメリカ編』(アスペクト)『東京スナック飲みある記』(ミリオン出版)など著書多数。

「2018年 『白い孤影 ヨコハマメリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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