女子の古本屋

著者 :
  • 筑摩書房
3.50
  • (14)
  • (39)
  • (60)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 308
感想 : 51
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480877871

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タイトルのとおり女性が店主の古本屋さんのお話です。
    主に古本屋を経営するに至った経緯を取材し、まとめたものになります。

    まずびっくりしたのは、古本屋の世界は男社会であるという事。(言われてみれば古本屋の店主は男性が多い気もしてきた)
    そこに下剋上を挑んだ果敢な女性たちが本では紹介されています。
    実際、どの女性も下記のフレーズそのものでした。
    自分の世界観を世の中に広めたい、楽しんでもらいたいと思う方々なのです。

    ”『価値のあるもの』を買うのではなく、『自分で価値のを作れる』人間は強い”(抜粋)

    特に登場する女性たちの経歴が千差万別で興味深かったです。
    誰一人といきなり古本屋を開業した人はいません。
    様々な人生経験を経て自分のお店を持っています。
    皆さん、企業に雇用されている時でも「こうしたい!」を自分の中に持っている人が多かったです。(惰性で会社員やっていない。真剣に仕事に向き合っている感じが伝わってきました。そんなこんなで、上司と折り合いが悪くて仕事を辞めた、という人もチラホラ)
    今いる場所でやりたいことができないなら、自分で作っちゃえ!っという思い切りの良さがたくましい!

    13名の古本屋のオーナーが紹介されていますが、中でも私が気になったのは「火星の庭」という仙台の本屋さんです。
    前野さん(店主)の「転んでもただでは起きない」精神は見た目からは想像できませんが、かなりのガッツの持ち主です。
    経歴も「そこ行く??」な感じで不思議なキャリアの積み方をしています。
    それらを全部ひっくるめて、こういう事なのでしょう。

    ”十八の歳から今までが、
    ずっと『火星の庭』を始めるための
    長い準備期間だったように思えるんです。”(抜粋)

    上記は前野さんの言葉ですが、すべての経験(いいも悪いも)がそう思えるキャリアの積み方って素敵だよな~、と思いました。今が充実しているからこそ言える言葉だと思いました。

    最期の「女性が古書店主になるには」では古本屋の始め方を軽く紹介しています。
    始めるのは簡単そうですが、その世界で生きていくのは(男女問わず)相当な覚悟が要りそうです。

  • 本がすき!その気持ちひとつで飛び込む世界。
    儲けはあるにこしたことはないけれど。登場する女性店主たちは、商売というよりも生き方として古本屋を選んでいる。
    古本屋は、こうあるべき!なんて、固定観念もないから、どんどんいろんなことにチャレンジもできる。
    自分が気に入った本(雑貨やカフェやら)を、同じように気にいってくれた人に届けたい。
    自分にとって居心地のいい空間が自分の古本屋。
    自分色の古本屋。
    この感覚、一歩踏み出そうとしている女性にはわかると思う。

  • 一箱古本店主を始めた頃に必読書として各所で紹介されていたが、何のかの言いつつ読めずに10年以上が経ってしまった。取材を含めたらもう15年以上経ってはいるが、古書店であってもなくても、女子の開業がいかにタフであり、いかに協力者が必要なのかということがよくわかる。最近SNSで女子の古書店主がお客様にわかってもらえなくて…という話を見かけたのだが、今改めて取材すると、そんな話も出てくるのだろうなと思ったりもする。

  • 2021年10月9日読了

  • 本の本

  • 古本屋の女性店主を取材した本。「蟲文庫」の方のエピソードが面白かった。みなさん古本屋を始めるまで色々紆余曲折とした道をたどっており、読みごたえがある。

  • どのお店も個性的で素敵
    勇気をもらえた

  • 女子(?)が開いた古本屋の、開業から開いてからのお話を、
    たくさん聞いてまとめたという本。
    海月書店もう少し調べたい。
    一番引かれたのはトンカ書店。
    こんな空間をいつか作りたい。

  • 何人かの女性の古書店主へのインタビューをまとめた本。古書店主となるまでの波乱万丈なエピソードや、古書店を経営する上での苦労・楽しみが綴られている。

    登場する方々の意思の強さ、決断した後のフットワークの軽さは見習いたいことばかり。成功談として語られるのではなく、今も悩み続けてる姿が印象的だった。

    それにしても、本好きにはネコ好きが多い気がする…

  • 女性が古本屋になるとき。13人の「そのとき」を、インタビューで明らかにしている本です。
    本好きが高じて・・・というひとばかりではない、そこには人生の機微がありました。ご本人の培ってきたスキルと努力、チャンスをものにするタイミング。
    そして、なによりこれまで男性社会だった古本屋の世界にもたらされた、彼女たちの類い希なセンス。
    どうしたら古本屋になれるかというハウツー本ではないので、店を始めるまでの細かい経緯は省かれています。いや、簡単になれるもんじゃないと思います。たとえなれても、続けていくには、きりがないほど問題も多いはず。
    その辺りももう少し、突っ込んで欲しかった気がします。

全51件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

岡崎 武志(おかざき・たけし):1957年大阪府生まれ。立命館大学卒業後、高校の国語講師を経て上京。出版社勤務の後、フリーライターとなる。書評を中心に各紙誌に執筆。「文庫王」「均一小僧」「神保町ライター」などの異名でも知られる。『女子の古本屋』『古本で見る昭和の生活』(筑摩書房)、『これからはソファーに寝ころんで』(春陽堂書店)、『人と会う力』(新講社)、『読書の腕前』『蔵書の苦しみ』 (光文社)、『古本道入門』(中公文庫)、『憧れの住む東京へ』(本の雑誌社)など多数。

「2024年 『古本大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岡崎武志の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×