ひとの居場所をつくる: ランドスケープ・デザイナー 田瀬理夫さんの話をつうじて (単行本)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480878687

感想・レビュー・書評

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  • この本に出てくる田瀬さんと西村さんの会話の中の言葉一つひとつが、心に深く染み渡っていく。

    西村さんは今を生きる人たちが、心の何処かにひっかかっていることについて、言葉にすることがとても上手だと思う。

    ボクは自分の中にある小さな疑問や、考えを西村さんのように、言葉を使って紡げるようになりたい。
    言葉を使う仕事をしている一人の大人として。

  • ランドスケープはただのデザインや見てくれで存在するものではなく、そこで生業うことではじめて存在するものではないかと思った。自然にも人間にも居場所となりうる場所で、どうやって生きるための仕事も作り出していくのか。心がふと落ち着く一冊。

  • 考え方の勉強になった

  • 知らなかった田瀬理夫というランドスケープデザイナーが手がけた仕事の数々を通じて今の社会の息苦しい原因がどこあるのか腑に落ちたような気がする。

  • 「自分には出来ない」ことについて自分が
    「出来るようにならなくちゃいけない」とは考えない…
    自分よりも上手いやつが必ずいるんだから、そいつに頼めやいいや…と。

    個人というフレームを超えて、自分の関係性の中で実現させることができればいいという発想に救われました。個々の世界を一人で深掘りしていくよりも、それに卓越した友と通じて広げていく方が目の前が開けていくような気がします。

  • ランドスケープデザイン。めちゃかっこいい言葉ですが横文字苦手なので調べたらランドスケープって「景観」の事なんですね。どちらかというと都市計画の中に組み込まれた公園のことような気がして興味持てませんでしたが、この本読んでみたら少々違っていたようでした。
    かっこよろしい建物に付随したちょっとした緑という事も含まれるのでしょうが、田瀬さんのインタビューを読んで行くと、「共通の考え方で作り上げる愛すべき風景」という風に解釈できました。
    遠い山、川が流れ、景観に沿う建物が立ち、適切な数の家畜を飼い、コントロール出来る植物を育成する。自然に溶け込む農業を行い、自然に適度に手を加える。ある意味里山という考え方と似ていると思います。
    効率よりも、手を掛ける事で積みあがるもの。時間の経過によって育っていくものを作るべきだし、残すべきだと思います。どんどん劣化して古くなるだけのものが溢れていくと、最終的には価値が無いものばかり溢れる国になってしまいそうです。
    尊敬する植物学者の宮脇先生の「鎮守の森」の考え方ともリンクしますね。

  • ランド勉強中 田瀬氏の仕事を通して著者 西村氏が書いているんだけど、すごくいい!これらかのランドスケープのあり方を考えさせられる。そして文章の端々に「学び」となる言葉あって、穏やかでありながらも的を得た指摘に なんというか 
    読むべき本だと思う。

  • 思考や概念を拡張する上で非常に参考となった。

  • 田瀬理夫さんのランドスケープ・デザインという仕事や環境との関わり方、考え方を通じて。またこの本を書いた西村さんの解釈も含めて、今のまま与えられた問いに素直に答えて進むのは危険なんじゃない?と言われている気がした。

    自分の生活周辺をぐるっと思い返すことを意識しながら、
    この本をゆっくりと読み進めて
    時々自分のことを言われているんじゃないか、と後ろめたい気持ちになる言葉もあり。
    逆に あぁそうゆうことか、と腑に落ちる言葉もあり。


    印象的だったのは、

    Living in National Treasures(この国の宝のなかで生きていく)
    --
    「無駄なことをしないように考えていると、お金を生むかもしれないけれど価値は生みださない」
    --
    「同じものが少なすぎる」は面白い考えだった。
    新しくなればなるほど安っぽい。みんなが人と違うオリジナルやカスタマイズを求めて家をたてることで、寄せ集めな街並みができてしまう。凸凹。新しいものができれば、その後のものが全部価値が下がる。
    でも、京都やベネチア・ロンドンなどの美しい街並みは個性を打ち出しているのではなくて、環境を生かす・その土地らしさを生んでいる。
    それは木々が家々の境界を中和していたり、地域の主役に合わせていくことでその場らしさがでる。
    つまり自分がその場のなかに入っていく、馴染んでいくことって実はとても美しいんだ、と。
    巷では「自分らしい暮らし」が素晴らしくて、パーソナリティーを打ち出したもの、みたいなイメージが頭にあって。それが良いこと、だと思っていた
    けれど、馴染むこと・主役に合わせていくことで、住人がその土地に差し出し循環できる価値があるんじゃないか?とはたと腑に落ちた。
    それが、周辺の環境に手間をかける「豊かさ」につながっていく。関わりが出来上がっていくんだよな。
    周辺との関わり、とは、社会とのつながりに限った話ではない。自然や場所でもある。
    --
    「手間をかける」ことに関しても。仕事を生むということに関しても。そこに「価値」がうまれるのか?「豊かさ」があるのか?といった視点で、ものを見られていて。
    もう物が溢れて欲しい物もそこまで思い出せないような時代に、改めて「豊かさ」ってなんだっけな。
    自分が提供できる「価値」とは。を問いかけられた気がした。

  • 西村佳哲さんの著書「自分の仕事をつくる」を読み、講演を聞き、そしてこの本を読みました。便利さを追求する中で本来必要だったかかわりやつながりを断ち切ってきた20世紀。それをつなぎなおすのが21世紀。但し、かかわること≒損することといった雰囲気が強く、なかなか一歩を踏み出せないのも事実のように思います。雨との関係も同様のように感じています。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。建築設計の分野を経て、つくること・書くこと・教えることなど、大きく3種類の仕事に携わる。デザインオフィス、リビングワールド代表。多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。働き方研究家としての著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間 Ⅰ』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(以上、弘文堂)、『かか
わり方のまなび方』(筑摩書房)など。

「2011年 『いま、地方で生きるということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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