スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法
- CCCメディアハウス (2004年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
- / ISBN・EAN: 9784484041162
作品紹介・あらすじ
たった6つのステップで、われわれは全世界の人々と繋がっている!コンピュータやエイズのウイルス感染拡大、ハリー・ポッターのヒットなど文化の流行、情報ネットワーク、人間関係…いろいろな出来事の背後には「スモールワールド現象」がある。
感想・レビュー・書評
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世界のどんな人でも、知人をたどっていけば6人でつながる。
という話しの原典。
と思って読んだのだが、どうもそんなに簡単な話しではなさそう。
何年か前に、ネットワークもの、非線形ものの本をまとめて読んでいたことがあった。本書は基本図書なんだけど、なんとなく読んでいなかった。
6次のつながりの話しは、だいたい他の本で紹介してあるし、先に読んだバラバシの「新ネットワーク思考」で、スモールワールドネットワークは批判されていて、説得力のあるものだったんので、読まずにそのままにしていた。
で、読んでみると、この本は、実は「新ネットワーク思考」のあとに出たもので、バラバシの仕事を評価しつつも、反論したり、皮肉ったり、というところが学会の裏舞台の人間らしい感じで面白い。
内容的には、スモールワールドネットワークについて、バラバシの批判なども踏まえながら、さまざまな改良を行ったり、現実の社会に当てはめたりみたいな感じかな。
原題のタイトルの6次のつながりの話しについては、そのもとになった実験の方法論を批判して、かならずしもそんなものではないだろう、みたいなことも書いてあったりする。(それを言うなら、原著のタイトルがおかしいんじゃない?)
で、結局のところたどり着くのは、複雑な世界では、人間は後付けでしか理由を説明できないという話し。
そうなんだよね。科学って、決定論でなくてもいいはずだよね。
全体として、面白くはあるが、「ネットワーク系」のなかでずば抜けて面白いというのでもないかな?
私のおすすめは、ダンカン・ワッツの師匠ストロガッツの「SYNC」です。これは本当に面白いよ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前回読んだ「複雑ネットワークとは何か」よりもだいぶ読みにくいし、後半の現実への応用の部分は単調で面白くない。
だけど、前半の理論部分はかなり面白く、しっかり読んでいけば「複雑ネットワークとは何か」よりもずっと理解しやすい。「複雑ネットワークとは何か」が理論の紹介にとどまっていたのに対して、こちらは問題意識がはっきりしていて、こういうアプローチをとることの意味まで踏み込んでいる。ただおもしろい理論、面白いアプローチというだけでないし、ただ現実世界に応用がきく、というだけでもない。どういう切り口や視点で世界の成り立ちを理解するかというところまで考えさせてくれる。
【メモ】
・全体は部分の単純な総和ではないということだ。むしろ、それらの部分自体は極めて単純な要素でも、お互いに作用しあっていて、その相互作用によってはこちらが当惑するような振る舞いをすることがある。
・あなたが情報を得て自分の地平を拡大するのは、あなたの周りに現存する社会的接触を通してなのだ。つまり、あなたが行動することによって社会構造が変化し、未来の時点の知人を得ることになる。
・人は他者から自分を常に区別する、非常に強い距離の概念を持っている
・多くの場合、お互いによく知らず共通点のない人々の間にたまたま生じる弱い紐帯によって、共同は引き起こされる
・規則性とランダム性。構造と主体。戦略と気まぐれ。これらは現実のネットワーク化したシステムの主要な対立点である。
・われわれが世界を整理し理解するのは、みずからを取り巻いている構造をとおしてなのだ。 -
2940円購入2010-07-08
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wired・システム、ネットワークと情報・7位
mmsn01-
【要約】
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【ノート】
(wired)
6人をたどれば世界中のすべての人と繋がることが可能、というネットワークの不思議。「世の中は狭い」を科学し、世界を読み解くネットワーク理論の最新形。
◆ユーザーからのコメント
ミルグラム博士の実験。でも、近年では6次以下だろうね
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世界中のどの人とも6時の隔たりを経れば繋がることができるという「6 degrees」に関する分析本。世界がどのようにつながっているかについての知識があれば、情報をうまく(意図的に)伝えることができ、大きな影響力になるだろうとおもって読了。期待していた内容とは違ったし、6次の隔たりも理解が違っていた。そもそも、もしみんなに100人の友達がいれば、友達の友達のそのまた友達と繋げて行くと、6次で90億人を超えるネットワークになるわけだし。結局、どんな人とつながっているのかが重要ということ。また、特定の事態がどんな結果を生み出すかを事前に知ることはできないが、人間は後付けの理由で英雄的行為や奇跡を、その中心にいた人物の特別な資質だと認識するものであるということ。これを出発点に考えれば良いのかもしれない。
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第一章 結合の時代
第二章 「新しい」科学の起源
第三章 スモールワールド現象
第四章 スモールワールドを超えて
第五章 ネットワークの探索
第六章 伝染病と不具合
第七章 意思決定と妄想と群衆の狂気
第八章 閾値とカスケードと予測可能性
第九章 イノベーションと適応と回復
第十章 始まりの終わり
「小さな世界」もしみんなに100人の友達がいれば、友達の友達のそのまた友達と繋げて行くと、6次で90億人のネットワークになる。
って考えると地球も小さな世界?
ベーコン数
ケビン•ベーコンと共演したことのある俳優はベーコン数1
そのケビン•ベーコンと共演した事がある俳優と共演した事がある俳優はベーコン数2
だいたいベーコン数3で大半の俳優と繋がる。
なかなか興味深い。他の俳優でもだいたい4ステップ以下で繋がるらしい。こう考えるとスモールワールドと言えるかも。 -
送電線の話を導入に、お馴染みのケーニヒスベルクの橋からグラフ理論を語り、ランダムグラフ、スモールワールドへ展開し、バラバシのスケールフリーネットワーク批判なども織り交ぜ、インターネット、伝染病、経済、企業そして人間の心理などを実例として取り上げ、ネットワーク(繋がり)について考察する。
本書はネットワークの名著として「新ネットワーク思考(アルバート=ラズロ・バラバシ著)」と並び称されている。私にとってはどちらも十分に難解ではあるが、バラバシがある一時点でのネットワークの考察が中心なのに対して、ワッツは時間軸に沿った記述が多く、ダイナミックに変化するネットワークに焦点を当てている、次元が増えた分だけワッツのほうが読み砕くのが難しく思えた。 -
また今度読もう。
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ストロガッツとの共同研究を先に呼んでいたので理解が早かったが、それでも少し数字読めないと難しいかも。複雑系ネットワーク論を構成する個々の要素が練り上げられていく様をストーリーのように読んで行ける。