「長生き」が地球を滅ぼす ― 現代人の時間とエネルギー ―

著者 :
  • 阪急コミュニケーションズ
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484062020

感想・レビュー・書評

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  •  生物学的時間論であり、今、最も過激な時間論を展開した本。
     少し前に読み終えたので内容はほとんど忘れてしまったのですが、瞠目すべきことが色々書かれていました。
    (機会があれば読み返したい)
     一番面白いと思ったのは、対数が役に立っていること。
     色々な生物種の寿命について体重だとかエネルギー消費だとかと対数を取るときれいに直線になります。
     私は高校で対数を習った時、対数とはどういう意味があるのか全くイメージができませんでした。
     その対数が立派に役に立っている実例を見せられて、数学にはそれなりの意味があるのだと実感しました。
     数学の授業も公式や計算法だけ教えるのではなく、もっと工夫して意味まで教えるようにしてほしい。
     子ども時代より大人になってからの方が時間が速く進む気がするのはなぜかという問題について色々な説がありますが、本書でも一つの仮説が紹介されています。
     エネルギー代謝は子どもの方が速いので子どもの時間は早く進むのですが、後から振り返ると長かったと感じるということらしいです。
       https://diletanto.hateblo.jp/entry/2021/02/25/200526

  • この本は今から5年程前読んで凄い衝撃を得ました。気になっていたのですが、最近時間を見つけて読み直しました。

    人間の哺乳類としての本来の寿命は40歳程度であること、現在の平均寿命との差は、エネルギーを過剰に投入している結果であること等「目から鱗」の情報があり、私にとっては世界観が変わるような本です。このような生活をするようになった人間は、せいぜい100年の歴史しかありません。

    見方を変えれば、以前は人間も一哺乳類として自然(地球)と調和した生活をほかの生物と共に送っていたのかもしれません。地球や他の生物に負担をかけない生き方はどうあるべきかを考える時期に来ているのかも知れませんね。

    以下は気になったポイントです。

    ・今日の日本が直面している大問題は、すべて時間の問題として捉えることができる、だから正しい時間の見方が必要、時間とエネルギーが関係し、時間がエネルギー消費量(酸素消費量)によって変わる(p13)

    ・一生の間に心臓の打つ回数は15億回、70年生きる象も1年で死ぬネズミも同じ15億回である(p14)

    ・動物の生息密度や行動圏の面積などは、体の大きさ(体重)によってほぼ決まっている(p17)

    ・縄文時代の日本で一番人口の多かった時期は50万人程度、人口密度は1.3/km2であり、ヒトサイズの哺乳類の密度(1.44)とほぼ一致(p19)

    ・虫かごなみの電車(人口密度)に乗って、象なみの距離を行くのが、都会の通勤であり、ストレスがかかるのは当然かも(p21)

    ・満員電車の中では、まわりの人は物とみなす(寝ている)と、人口密度はぐっと下がる、それにより、異常な時間や移動距離を感じなくて済む(p26)

    ・動物のサイズが変わると何がどうか変化するかを調べる学問をスケーリングという(p27)

    ・時間は決して不変ではなく、動物が違えば時間も変わる、時間はエネルギーと密接に関係している、これは生物的時間である(p28)

    ・ハツカネズミは1分間に600-700回心拍する、サイズの小さい動物は心周期は短く、サイズが大きくなるにつれて長くなる(p33)

    ・体重が2倍になると、時間が1.2倍長くなる、体重が10倍で1.8倍、これが1/4乗に比例する世界、これは殆どの動物の世界に当てはまる(p36、41)

    ・象とネズミで生きるペースが違っているので、共通の時間のもつ意味や、その時間を使っての生き方が、動物ごとに大きく異なっていても不思議でない(p43)

    ・子供の時代は大人よりも心臓の動きが速い、大人になると時間が長くなる(p48)

    ・一生に使うエネルギーはどの動物も30億ジュール(心臓は15億回)、小さい動物ではクルクルと時間は速く回る、大きい動物はゆっくり回転する、回転周期は体重の1/4乗に比例して長くなる(p56、58)

    ・反比例するもの同士を掛け合わせると一定値となる(p57)

    ・体重が増えればエネルギー消費量は増えるが、体重の3/4乗、つまり、体重が2倍になってもエネルギー消費量は 1.68倍にしか増えない、10倍になっても 5.62倍ということ(p87)

    ・私たち恒温動物がエネルギーを使って体温を高く保っているのは、代謝速度を速めることにより、時間を早くしていると見ることができる(p97)

    ・小さいものは、ちょっとした環境変化でもバタバタ死んでいくが、それがかえって新しいものを作り出すきっかけになる、大きいものは環境変化に強く、耐えきれないほどの大変化が起きると絶滅する(p112)

    ・私たちは対数で世界を認識している、桁が違って(10倍になって)はじめて、これは本当に違うと感じる(p121)

    ・社会人の標準代謝率が10倍を超えたのは昭和30年代(1961)である(p124)

    ・動物において、時間の進む速度は、エネルギー消費量に比例する、エネルギーを使えば使うほど、時間は速く進む(p128)

    ・寿命は戦前は50歳、現在は80歳、長寿はエネルギーを使っているから(p134)

    ・江戸時代まで時間の進み方が変わる時計を使っていた、日の出と日没を基準としてその間を当分していたので、一刻の時間の長さが変わっていた(p139)

    ・代謝速度を時間の速度と考えると、ヒトの1秒と、ネズミの0.15秒、ゾウの2.7秒が同じ重みである、ネズミの1時間はゾウの18時間、現代人の1日は縄文人の1か月になる、エネルギーをたくさん使って仕事したものの代謝時間は短く、逆も真である(p141)

    ・体重あたりのエネルギー消費量は、子供では高く、老いてくると減る、つまり、子供の時間は速く進み、大人の時間は遅い(p141)

    ・子供はエネルギーをたくさん使って時間が速く進むので、子供は大人よりも多くのことを経験できる、なので一日は長く感じる、速い時間は後から振り返ると長い時間と感じられる(p142)

    ・現在は体が使う分の40倍のエネルギーを使っているので、代謝時間は1/40=2.5%(p146)

    ・多くの発展途上国の代謝時間は、日本の10倍程度なので、時間が一桁ゆっくり流れている(p150)

    ・代謝時間とは、時間の速度がエネルギー消費量に比例する(p151)

    ・幼児死亡も含めた平均寿命は縄文時代で 14.6歳、室町時代で 15.2歳、20歳を超えるのが江戸時代中期、15歳以上まで生き延びた大人の平均値でも、室町時代まで30代前半で縄文時代と同じ(p164)

    ・家畜は長生きですが、さらに長生きにするには去勢する、1.5倍延びるという報告アリ(p167)

    ・サイズの小さいものほど体重あたりの消費量が大きく、たくさん眠る(p186)

    ・老人のほうが子供に比べてエネルギー消費量が1/2-1/3であり、時間は2-3倍ゆっくりである(p190)

    ・地中で長い幼虫、地上ですぐに死んでしまう蝉は、成虫の時間が幼虫の時間の50倍速いとすれば、地上の2週間は地中の2年に相当することになる(p215)

    ・意味のあるおまけの人生を送るには、1)時間の見方を変える、2)老人にも働く義務があることを考える(p222)

    2012年3月10日作成

  • 本川 達雄の 「ゾウの時間ネズミの時間」から、この本も興味を持った。

    本のタイトルが、過激!過ぎで どうしても読むのを後回しにしてしまい、全部読むのが遅くなった。

    かなりの部分は、生物学の話で、内容は、すごく面白い。
    生物のサイズとエネルギーと時間を関連付けて調べていくと、現代の人間だけが法則からはみ出しているようです。
    そのうえ、生物としての役割が終わった中高年は、エネルギーを使うだけの存在。
      そんな〜〜〜 !!(>д<)ノ
    誰もが迎えるおまけの人生、現代人が老いを生きるヒントも 書かれています。
    時間の見方を変えれば、時間を自分でデザインできる!
     ♪ 「おまけの人生音頭」 ♪ に著者の願いがこもっています。 

    本川 達雄先生を知ったのは、NHK教育テレビ「人間大学」、『生物のデザインというタイトルで12回連続講義』(1995年)をみたとき。
    すごく楽しい先生で講義の内容もユニークで面白かった。もしかしたらそのテキストがまだあるかも(*^_^*)♪

    2010/8/29  借りて読み始める。2011/3/2 やっと読み終える。

  • 代謝速度から時間を考えるのがおもしろい。体が小さいほど動きが速いが寿命が短く、大きいほど動きが遅いが寿命が長い。子供と大人の時間感覚も代謝速度で説明でき、昆虫の成虫の命も代謝時間で考えれば短くはないという。

    動物の時間は体重の1/4乗に比例し、体重あたりの代謝量は、体重の1/4乗に反比例する。時間と比代謝率は反比例するので、速度と比代謝率は正比例する。細胞のサイズは動物のサイズによらないため、細胞単位でも大きい動物では代謝量が小さい。

    成人男子の標準代謝量は73ワット、サラリーマンの食事のエネルギー量は121ワット。日本人ひとり当たりの外部エネルギーの消費量は5450ワット(2002年)。これを恒温動物の体重に逆算すると、ゾウなみになる。

    ヒトサイズの動物の寿命は26歳。縄文時代から室町時代までは、15歳以上の平均寿命で30歳ほど、江戸時代で45歳。明治から戦前までの幼児を含む寿命は43〜47歳。縄文中期の日本の人口は50万人ほどだった。人口密度は1.3人/km2で、ヒトサイズの哺乳類の密度とほぼ一致していた。

    変温動物は摂食エネルギーの30%が肉になるが、恒温動物では2.5%。

  • これすげ〜

  • ゾウの時間、ネズミの時間の著者が書いた、生物学的時間考察による、新しい人生観の提案。
    これまで、ずいぶん変わった研究者による本をたくさん読んできた。寄生虫を愛すうんこの先生、おちゃらけ関西弁で硫黄菌を熱愛する先生、イカの気持ちを考える人、生命科学のプリンス・・・しかし、オリジナルソングがついているのには度肝を抜かれた。
    文章に無駄が多くてかなり読み飛ばしてしまった・・・おそらく、1/3ぐらいは削れただろうに・・・。

    著者の提唱する、代謝時間。生物学的時間の尺度で考えよう、という話は、なかなか興味深いものがあった。エネルギーと生物学的時間の関係、エネルギーを使う程に時間が短縮されるのではないか?という仮説。
    そんな風に時間について考えたことはなかったけれども、体感的にも簡易に表されているデータ的にも、筋が通っているような、胡散臭いような・・・。大体、著者は現代のエネルギー大量消費社会に否定的すぎて、結論ありきではないかと思えるほどに、お説教が長すぎるので、なんとなく素直な気持ちになれない。

    でも、年よりは無駄に長生きしないで、社会の役に立てなくなったら生にしがみつくのは大いなるエネルギーの無駄遣いである、自分たちがよければいいとかではなく子孫達の事を考えよう、なんてことを、スパーンと書いた人がいただろうか・・・。
    色々な意味で、計り知れない人だと思った。

  • ワークショップ「暦の本棚をつくろう!」:“本日の一冊”本

  • 「ゾウの時間、ネズミの時間」の人。基本、エネルギーの話なので、前半の数式の嵐に挫けそうだったけど、人生後半の生き方についてが面白かった。心臓が15億回打ったら終わり、50歳から上は前人未到の歴史だから「おまけ」で、そのおまけをどう生きるか。

  • 時間論

  • 感動した。
    ゾウネズミの時間の数式に加えて、著者の時間への考え方が描かれていた。

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著者プロフィール

生物学者、東京工業大学名誉教授。

「2019年 『生きものとは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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