もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484101132

感想・レビュー・書評

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  • テーマはこんな感じだが、放談会の感あり。
    ・電子書籍と紙の書籍について
    ・失われてきた書物
    ・愚かしさへの関心

    老大家2人が「デジタル記録メディアの変わりっぷりにはついてけないよ」と嘆くのは微笑ましくもあるが、紙の書籍の将来について何か示唆があるかというと微妙。

    本領の稀こう書の話になって精彩が出てくるが、今度はこっちがついていけないかも。インキュナビラと言われてもなあ。

    今ある本は、フィルタリングをくぐり抜けてきた。だからといってそれらが焚書などで失われたものより優れているかは確かめようがない。

    <blockquote>p222. 書物の一冊一冊には、時の流れのなかで、我々が加えた解釈がこびりついています。我々はシェイクスピアを、シェイクスピアが書いたようには読みません。したがって我々のシェイクスピアは、書かれた当時に読まれたシェイクスピアよりずっと豊かなんです。</blockquote>
    <blockquote>p226. こういったことはエリオットが『ハムレット論』ですでに言い尽くしています。『ハムレット』は傑作ではない。出どころの異なる複数の要素が調和しそこない、とっちらかった悲劇である、と。だからこそ、『ハムレット』は謎めいているのであり、誰もが『ハムレット』について考えつづけるわけです。</blockquote>深く納得。

    <blockquote>p382.
    C:本棚は、必ずしも読んだ本やいつか読むつもりの本を入れておくものではありません。その点をはっきりさせておくのは素晴らしいことですね。本棚に入れておくのは、読んでもいい本です。あるいは、読んでもよかった本です。そのまま一生読まないのかもしれませんけれどね、それでかまわないんですよ。
    E:知識の保証みたいなもんですよ。
    T:ワインセラーにも似ていますね。全部飲んでしまったら困りますね。</blockquote>本棚の並び順に関する話も。これは紙の本ならではか。

    口伝されてきたものが、文字に落とし込まれた結果、失われたものがあるか?これもまた結論はないが。

  • ●書物はできた当初からすでに完成されたもの。それに比べ新しいメディアは進化の途上であり、使い方をマスターしなければならない上に、すぐにより新しいものができて、またマスターし直す必要がある。その点が、紙の書物の優位点である。

  • 『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』
    「裁判の証拠書類を2500点押収するようなときに、電子化されていれば楽」はというのは確かにと思った。また、「テレビやラジオは書物から何も奪えなかった。電子書籍はどうか?」という問いかけは面白い。

  • 紙か電子書籍かという話というよりも、知識はどうやって繋がるか、学ぶのかということがテーマ。出版されたときにはなかった、AIと人間を考えさせられた。電子書籍をよく使う人が読んでもいいと思う。

  • 閉ざされていた空間にひっそりと忍び込むよろこび

    夫とまだ付き合っていたころ、彼の住んでいた寮の近くで暇をつぶすために入った古書店。その古書店で手に取って買おうか迷っていた本を、ようやく読みました。
    あの時の直感はまちがっていなかった、心にのこる一冊でした。

  • インテリ万歳!タイトルだけ見ると、なんだかシリコンバレー系の人がpdf移行と電子書籍について書いたAMZNの動向とかベゾスがどうのとか思いそうだけど、あらまだそんな知らない本があったのね、と沢山教えてくれる対話形式。ありがとうエーコ。最高です。

  • リテラシー、フィルタリング、インキュナビラ、「『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール」、

  • 本の魂と肉体についていろんな側面から語りつくす一冊。
    エーコとカリエールの博学には驚くばかり。しかも何か資料を片手に対話しているのでもない。おそろしい二人だ。
    エーコの蔵書数は3万冊を超えているという。へぇーっ‼︎

  • ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールによる書物をめぐる対談。
    現在に至るまでにどれほど多くの書物が消えてなくなっていったのかという指摘は新鮮だった。
    現在出版されている本も、どれだけの書物が後世に残っていくのだろうか。そんな視点で現在の出版物を読んでいくというのも、なかなかおもしろいと思う。

  • こうゆう教養のある人の雑談は面白い。わけのわからないことも言っていないし。

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウンベルト・エーコの作品

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