江戸に学ぶエコ生活術

制作 : 幾島 幸子 
  • CCCメディアハウス
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本棚登録 : 138
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484111018

作品紹介・あらすじ

「吾れ唯足ることを知る」の精神に学ぶ、サステナブルな未来を守るために私たちが今できること。アメリカ人研究者が見た地球を守る江戸人の知恵。斬新な物語と自筆のイラストで、江戸の先進的なエコ生活を解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 外国人著者による、江戸時代の日本の社会や日本人の生活について書かれた本。当時の様子を、絵を交えて楽しく描写している。日本人には、当たり前のことも、あらためて取り上げられると確かに工夫が凝らされていて感心できるような発見も多かった。絵がうまい。
    印象的な記述を記す。
    「当時の人たちは今日私たちが直面しているのと同じ問題 -エネルギー、水、資源、食料、人口- の多くを克服することに成功した。これらの難題に取り組みながら、環境を大切にし、廃棄物を出さず、満足のいく食事を楽しみ、経済的に活気のある社会を築き上げた。そしてその社会は私たちに、時代を超えて輝きを放ち続けるすばらしいデザインと美を残してくれたのである」
    「1600年代初頭の日本は人口増加による土地や資源の乱開発に苦しんでいた。ところがそれから200年後、この国は環境の劣化の兆しをほとんどみせることなく、2.5倍の3000万人に膨れ上がった人口を養っていた。森林破壊は止まって回復に向かい、農地は改良されて生産性を増し、都市であれ農村であれ、社会のあらゆる領域で資源保護のための努力が行われていた。国民全体の生活水準は高まり、人々の健康も増進した。これはどんな客観的基準からみても注目すべき快挙であり、おそらく後にも先にも、また世界中どこを探しても、匹敵する例はないであろう」
    「江戸時代に用いられたさまざまな技術には、今日の新しい設計に必要とされる特徴がすべて備わっている。環境への負荷が少ない材料、高い品質と耐久性、再生可能性、再利用とリサイクルがしやすい設計、高いエネルギー効率、集団へのサービス提供による消費の抑制(たとえば共同浴場や調理済み食品市場)。当時の設計や技術は、可能なかぎり自然の生物学的プロセスや太陽エネルギーを利用し、そうでもない部分も自然のプロセスを模していた」
    「とりわけ私たちは、彼の農業実践の根底にある自然に対する深い理解と知識、農業技術とインフラ設計の絶え間ない革新、文書化された情報と高い識字率が生活の質の着実な向上に果たす役割、といったことに感銘を受けた。エネルギーと資源の消費効率の高さはほかに類を見ないが、その質素で無駄のない暮らしぶりから生活が困窮しているという印象を受けることはなかった」
    「いま世界が伝統的な日本家屋の目に見えない特徴 -材料とエネルギー利用における高度に洗練された知識、ゼロウェイスト(廃棄物ゼロ)の循環型ライフスタイル、自然環境に過剰な影響を及ぼすことのない暮らし方- の価値を認めている」
    「江戸は人口でいえば世界一の大都会だ。その人口全員に必要な食べ物や水、燃料、生活必需品が、驚くほど効率的に、しかも美的といえるような形で供給されている」
    「これだけの雑踏と賑やかさだというのに、道路はきわめて清潔だ。動物の糞がないだけでなく、西洋の大都市で目につくような不快な腐りかけたゴミの山も見当たらない」
    「上水道から水を引く井戸は江戸全体で5000基以上もあり、あらゆる階層の人々が24時間いつでもきれいな水を飲むことができる。これは当時のヨーロッパのどの都市にも真似できなかったことだ」
    「排泄物をいつまでも町中に滞留させないことによって衛生状態が良好に保たれている。西洋のほとんどの町では、糞尿を路上に捨てるか水路に流しているため、感染症の罹患率が高い一因となり、生活の場としても不健全きわまりない」

  • タイトルだけが悪い。しかし、それ以外は素晴らしい。原題は「just enough」、つまるところ「吾唯足知」。
    江戸礼賛の本はたくさん出ているが、本書は建築の視点が強い。そこには、その土地の(住まい手を含めた)ポテンシャルを活かす、という知恵にあふれている。
    現代的に置き換える部分はあっても、根底はやはりこうでなくては、と思うことばかり。くどいようだが、単に江戸自体を知るための資料としてではなく、建築と生活を知り、次のステージのヒントを得るという点に価値があるように思う。

  • 週刊ブックレビュー2011/8 紹介
    (チラ見!)

  • 江戸時代の文化として暮らしを紹介する本はあったが、農家、町人、武士とそれぞれのライフスタイルを系統的に記載してあるのが新鮮だった。

  • 江戸時代、江戸に住む民衆の生活を、紀行文のような形式で紹介。ボリュームいっぱい、挿絵も豊富で、資料としても優れてます。
    なんといっても、ここで紹介されている江戸のライフスタイルが素晴らしい。お金、資源がない制約の中から生まれた、究極のシンプリシティと合理性。節約とかエコとかの概念を超越した完成度です。
    一つの家、町屋という小コミュニティ、町全体、それぞれが循環されるシステム。建築、庭、ものの流れ、もろもろ。
    少し汚い話ですがおもしろい例を挙げると、全ての糞尿は肥料として買い取られ、循環していました。その中でも、たとえば遊女や富裕層の糞尿は特別高く買い取られたとか。良いもの食べて、肥料として栄養価が高いからです。
    おもしろいなぁ。

  • 本書は、江戸時代で成り立っていた循環型社会を解説したものである。
    最近、"sustainable, 持続可能性"という言葉が社会をにぎわしていが、江戸時代の日本はまさに循環可能な生活を成立させていた。
    イラストも豊富なので、詳細を読まなくてもイラストを見るだけで、
    当時の循環技術、ならびに都市設計などの思想をかいま見る事ができる。
    科学技術の発展上、過去に戻る必要はないと思うが、昔のよき時代を見習うのは大事な事であろう。
    "故きを温ねて新しきを知る、以て師となるべし"の実践を心がけたい。

  •  当時の江戸が、世界中で最も清潔でエコな町だったことは何となく知っていた。本書では「農家」「町民」「武士」の3つの暮らしぶりに焦点をあて、詳細なイラストとともに、まるで見てきたように人々のエコな生活を描いている。奇しくも東日本大震災の一週間前に出版され、節電・節約ブームの中、にわかに注目を集めた本。

     自然エネルギーをうまく活用した生活用水の確保や、徹底した燃料の節約とリサイクル、倹約と無駄の排除から生まれる様式美など、先人たちが生んだ知恵と工夫には感嘆するばかりである。実際には不便だったり、大変なこともあったろうが、間違いなく世界に誇れるシステムだったと思う。

     以前『文明崩壊』(ジャレド・ダイアモンド著)という本を読んで、森林を伐採し尽くした文明は必ず崩壊していったという例を嫌というほど知らされたが、その中で森林保護をなし遂げて長く安定した時代を築いた稀な例として取り上げられていたのが、江戸時代の日本だった。
     著者が描いているのは、そうした幕府の森林保護政策や、節約・再利用に適した社会・公共システムだけでなく、その裏側にある、倹約を尊ぶ江戸の人々の精神である。我々はエコ生活術よりも、この精神こそ学ぶべきだ。そんなことに気付かせてくれた本。

  • 日本人でないが故に書くことができた本だと思います。文章よりも絵が秀逸。絵を見てるだけで楽しくなります。現代人は足ることを知らないといけませんねえ、自分も含めて再認識しました。

  • 外人に江戸時代の優れたサスティナビリティを教わる必要はないが、ガイアツがなければ何事も始まらない我が国のことだから、原発事故の最中、時宜を得た本と言えるかも知れない。この本と「ブラタモリ」を見ると、一層江戸が親しみを持てそうだ。

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