パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484131047

作品紹介・あらすじ

閉ざされた扉を開き、問題の核心に切り込み、会話を驚くほど楽しいものに変える「パワー・クエスチョン」とは?バリエーションやフォローアップの質問も含め、337の「パワー・クエスチョン」を紹介。

感想・レビュー・書評

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  • ・それから訊いてみた。「この買収はどういう点でライフ・ヘルスのミッション・ステートメントを実現する事になるのですか?基本理念に関してはいかがです?」
    「それは」リックは口を開いたが、あとが続かなかった。
    「私はただ」彼はまた言った。「攻めに出るいいチャンスだと思っただけなんだ。思い立ったら突き進むタイプだから」
    私ははっとした。「ただ…だけだ」と聞くと、反射的に頭の中でアラートが鳴るのだ(「自分の中だけで完結している人間は器が小さい」というハリー・エマソン・フォスディックの名言を思い出した)。
    「どうですか、リック、ミッション・ステートメントのどこに聖フランシス病院の心臓外科を乗っ取るのが基本理念にかなうことだと書いてありますか?聖フランシスをつぶすことになりますよ。心臓外科がなくなったら、やっていけないでしょう」
    「なにが言いたいんだ?」リックは訊いた。
    「言いたいわけじゃない。あなたに訊いているのです」

    ・人間のすることに揺るぎないことなどない。したがって、うまくいっているときは極度の高揚を、逆境では極度の落胆を避けることだ。―ソクラテス

    ・「オフィスから叩きだしてやったよ」
    多国籍企業の北米支社のCEOであるフレッドと話していたときのことだ。かつてフレッドは世界でも最大級の銀行で最高情報責任者(CIO)をつとめていた。長年のうちにフレッドを訪ねてきた営業担当者は数知れない。
    「文字通り叩きだしたんですか?冗談でしょう?」
    「冗談なんかじゃない」「フレッドは言った。「またあの質問をしたんだ」
    「あの質問とは?」
    「夜中にふと目覚めて不安になるのはどんなことですか、だ」

    「理由を説明しよう。
    第一に、これは特定の相手に向けた質問ではない。ちゃんと下調べしてきたとは―相手の会社を調べて、どんな問題があるか研究してきたとは言えない。なんの準備もなくてもできる質問だ。だから、怠慢だというんだ。
    第二に、よく知らない相手に本心を明かす人間はいない。当然だろう。考えればわかることだ。会ったばかりの営業担当者に私が腹の中の懸念や心配を打ち明けると思うか?冗談じゃない。
    第三に、CEOやトップ経営陣を相手にするには―これがいちばん大事な点だが―この質問には問題がある。私のような立場の人間は、もっぱら会社の成長と革新に責任を負っているが、運営上の問題には関わっていない。運営上の問題に関わるのは執行役員だ。要するに、私のような役員は会社を成長させ革新するために雇われているわけだ。『夜中にふと目覚めて不安になるのはどんなことですか?』と訊かれても答えられない。

    先日、当社の株主総会招集通知書を丹念に読んで、役員報酬について気の利いた質問をした女性がいた。複数の選択肢がある理由を知りたがってね。楽しい議論になったよ。適切な質問をして、それとなく探りを入れてきた。私が何を心配しているか、どんな人材活用体制をつくって離職を防ぐための戦略をとっているか、よく研究していた。要するに、充分な知識と経験があることをさりげなく伝える質問をすればいいんだ。当社の競合他社をどう評価するか、業界の動きをどう見るか、自分の意見を言うといい。私を話に引き込むことだ。そうすれば、こちらも口が軽くなる。そこまで持っていったら、もう少し踏み込んでもいい。
    たとえば、こんなふうに。『これまでうかがったなかで―x、y、zのなかで―どの懸案を優先したいとお考えですか?どれがいちばんの難題だと思いますか?』」

    ・ベンの同僚は結婚生活が破綻したことに深い痛手を負っていた。カフェを出ると、彼はベンに言った。
    「一度リズに訊いてみたほうがいいぞ、子供たちから手が離れたらなにがしたいか。妻は最後にこう言ったよ。『あなたはいつも自分の夢ばかり追っていて、私の夢がなにか一度も訊いてくれなかった』」
    偉大な芸術家や指導者は決して夢を捨てないが、私たちはおうおうにして夢を諦める。H・D・ソローは「夢はその人の人格の試金石である」と言った。ゴッホは友人にこう言った。「僕は自分の絵を夢に見て、夢を描く」

    ・常にクライアントに前もって結論を伝えておくこと。会議に出席する経営陣がひとり残らずこれから発表することのブリーフィングを受けていると確かめないかぎり、会議室に入ってはならない。

    ・真実を発見するためには、人間は塵のように謙虚にならなければならない。出会う人すべてから学ぶことができると信じることである。―ガンジー

    ・「うちは市場第一位のシェアを誇っている。品質の高さではどこにも負けない。営業担当者は最大の宝だよ―競合他社は彼らを引き抜くチャンスをうかがっている」
    話しができすぎているような気がした。私は「なぜ」という疑問から始めた。
    「なぜ研修会を開こうと思ったのですか?」
    「それは、営業担当者たちのスキルを継続的に向上させる必要があるからだ」
    「なぜ営業担当者のスキルを向上させる必要があるのですか?今でも業界の垂涎の的なんじゃありませんか」
    「スキルが向上すれば、もっと効率よく新規顧客を獲得できるだろう」
    「なぜ新規顧客を獲得するためにさらに努力しなければいけないのですか?」
    カートは生きるためになぜ呼吸しなければならないのかと訊かれたような顔で私を見た。
    「現在の顧客基盤ではCEOが設定した成長目標に達することができないからだ。新規顧客をもっと開拓する必要がある」
    (これでやっとターゲットに近づいた)
    「では、なぜ顧客基盤を拡充できないのですか?」
    ぎこちない沈黙が続いた。カートは咳払いして、もごもごと口ごもった。私は辛抱強く待った。(生産的な沈黙はぜったいに破ってはいけない!)
    「実は、減少してるんだ。毎年、20%の顧客を失っている」
    「なぜ毎年20%の顧客を失うことになったのですか?」
    「競合他社が数社、シェアを獲得するために価格を下げてきたんだ。だが、いつまでもやれることじゃない。あんな低価格を長期的に維持できるわけがない」
    「どうして分かったんです?」私はさらに追及した。
    「営業担当者からアンケートをとった。それに、2、3のクライアントからも聞いた事がある。」
    (ようやく思っていたところまで掘り下げることができた)
    顧客減少の原因、競合他社の戦略、顧客が自社の商品や価格設定をどう考えているか、そういったことを充分に検討してからでなければ、研修会を開いても意味がないと私は伝えた。
    …私は営業担当者からも、会社が失った顧客からも話を聞いた。やがて真相が見えてきた。ドーソンの会社が価格競争に負けていたわけではなかった。それよりも、問題は製品の品質と納期だったのである。

    ・「覚えておくといい。クライアントから成長と利潤の一部とみなされていたら、君から学ぶことはまだいくらでもあるということだ。しかし、管理すべきコストとみなされたら、いつお払い箱になっても不思議はない。」

    ・「人間はなにも持たずにこの世に生まれて、なにも持たずにこの世から消えていく。永遠に失わずにすむものがあるとしたら…それは与えたものだけ。私は与えた人と記憶してもらいたい。」

    ・まず、全員になにも書いていない封筒を渡して、差出人住所を書いてもらう。あて先は自分にして「私用親展」と書く。切手を貼る場所には、日付を入れる。
    封筒の用意ができたら、短い作文を書いてもらう。特別の作文だ。
    「構文やスペルや句読点にはこだわらないで。学校で習った文法はいっさい忘れて下さい。思いつくままに書いていただきたいのです。
    頭のなかを真っ白な紙にしてください。では、準備はいいですね。
    あなたの余命はあと三年、今日から三年です。そうとわかったら、あなたは個人として、そして職業人として、なにを変えたいですか?なにをしたいですか?誰ともっと親密に関わりたいですか?」
    友人とはあなたの魂の歌を知っていて、あなたが言葉を失ったとき、その歌を歌ってくれる人だと私は説明する。あなたの友達は誰ですか?なぜその人たちともっと頻繁に会おうとしないのですか?あなたは人生をどう変えたいですか?
    作文を書く時間は15分。それ以上は必要ないだろう。私が求めているのは、ありのままの心を取り繕わずに描いたレポートなのだ。
    書き終えた紙をたたんで宛先を書いた封筒に入れ、封をしてもらう。私はそれを回収してオフィスに持って帰る。それを三年後に各自に送るというしくみである。

    教訓的だった。でも、この最後のトピックが無ければ★4つにしたと思う。これはとても素敵なセッションだ。

  • 端的にいえば、本質をついた簡単な質問をすれば、人はハッとさせられるし、いやでも考えさせられます。「パワー・クエスチョン」は、そうした質問によって、相手との逆境や停滞した状況を打開します。仕事の方針から人間としての信頼関係までつかえる質問の数々は、ビジネスから日常まで大いに役立つと思います。

    面白いのは、その多くはきわめて簡単な質問だということです。たとえば「あなたはどう思いますか?」「あなたの夢は何ですか?」などと言うのは、それ自体だれでも言えることです。しかし時と場合によっては、それが相手に対して大きな威力を発揮し、ひそかに抱いている考えを教えてくれるかもしれません。

    他方で、「日本でこれはまずいでしょ」というものもあります。例えば著者は「これ以外に会議のやり方はないでしょうか?」という質問から始めて、会議の効率と生産性をあげる方法を推していますが、これは「波風が立つ」でしょうね。

  • 人を変える、動かす、伸ばす、という何かを伝えて行動まで結びつけるためには、レクチャーをするのではなく、問いを投げかけ、考えさせることでしか効果は薄い。
    この考え方はよくわかる。しかし、そこには、問いを投げかける側の人間と投げかけられる側の人間の関係性が重要なファクターとなると実感している。
    下の人間(実際はともかく、そう投げかけられる人間が見ている人間)から問われてもそういう状態は起こりにくい。
    本当にそうか?それを凌駕する質問力はないか?
    と探してたどり着いた。
    が、それほど具体的シチューエーションで生きるというより、経営コンサルという領域において知っておいた方がいい、という内容。
    応用可能な質問もあるが、もう少し原理原則が知りたかった。

  • F・ルーズベルト、ソクラテス、
    シェイクスピア、イエス・キリストの
    共通点は何か?

    それは
    「パワー・クエスチョン」の使い方を
    知っていたことだ。
    本書を読めば、あなたも仲間入りできる!
    ――マーシャル・ゴールドスミス

    閉ざされた扉を開き、
    問題の核心に切り込み、
    会話を驚くほど楽しいものに変える
    「パワー・クエスチョン」を使うと――

    ●相手とすばやく打ち解ける
    ●問題を定義しなおして解決策を探る
    ●商品やアイデアをどんどん売り込む
    ●迅速な意思決定を促す
    ●隠れた能力を引き出す
    ●相手の「夢」にアクセスする
    ●顧客や同僚、友人に影響力をおよぼす

    本書では、バリエーションやフォローアップの質問も含め、337の「パワー・クエスチョン」を紹介。
    昨年、アメリカとカナダで同時刊行され、たちまち大きな反響を呼んだ話題の書。

  • いまいち

  • 経営コンサルタント向けの本。
    これはあなたにできるベストですか?byスティーブジョブズ

  • あまりピンとこなかったが、以下の部分はなるほどと思った。

    科学的な研究で明らかにされているが、私たちは熱心に話を聴いてくれる人に誰よりも行為を抱く。人間には大きな二つの欲求があるから。認められたいという欲求、そして、話を聴いてほしいという欲求。
     その二つの欲求を満たす「君はどう思う?」という質問ほど効力のあるものはない。

  • ビジネス
    自己啓発

  • vol.240のサブ本として紹介。
    http://www.shirayu.com/letter/2014/

  • パワー・クエスチョン

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