- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784484132372
作品紹介・あらすじ
"元コンサルタント"が本音で語る、現在の商店街活性化施策の限界と新たな提言。中目黒、大久保、中野、南堀江、三条通、玉宮通り、上乃裏通り…元気のある街の共通点とは?
感想・レビュー・書評
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・強い店が、新しい店を呼んで、商店街が活性化している。
・商店街が活性化して利益を得るのは、固定資産税が増える市役所と、地主。
・商店街が持つ機能はシンプルで「一番安く(未経験者が)開業できる」点。
・小規模であっても商店街を市場競争の場にすることこそが、商店街に存在価値をもたらす。
・商店街を活性化させたいなら、自店が最初の繁盛店になること。 -
商店街が元気なエリアで育ってきたから、なるほどね~と思った。
お店が元気なら商店街は元気なのは当たり前よね。 -
商店街の荒廃について商店街組合という組織の構造からの問題の提示。活性化のための手法は参考になる。
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いわゆる商店街の組合はこれからも衰退していくしかないのかな
表題どおりに、まず、なぜ繁栄している商店街は1%しかないのか
と考えた時、どう思われますか。
日用品の買物はスーパーで行うから?
営業時間の問題?
その問題提起をしたのち、「商店街」というものの定義が始まります。
そこで、我々が感じている商店街と、商店街が指すものの違いに驚きます。そして、「商店街という場所」と「商店街の組合」
について。1%しか繫盛していないという回答をつくり出しているのは「商店街の組合」です。
そして、国や自治体が施策を打てるのも「商店街の組合」ということ。
それから具体的に実例を交えて繫盛する商店街が1%しかない理由、そして解決のための方程式が書かれているのですが
全体を読んで感じるのは、いわゆる商店街の組合はこれからも衰退していくしかないのかなと思います。
「行政は金儲けをあまり重視していない。理屈では雇用の場や税収の確保といった産業振興の必要性は理解しているものの、おそらく感情的な部分で商売に関わることを嫌っているのだろう。」
これが、行政なのだから。
感情的にこういう人たち苦手なのですよね。
この結果
「こうした行政職員の非営利的な好みが反映され、商売とはかけ離れた「まちづくり」が中心となる商店街活性化事業ができあがるのである。」
このまま時代が進んで、あと30年くらいするとこの環境がどうなるのか気になるところです。
本題から離れて、ためになった2点。
1.コンパクトシティのメリット
道路や上下水道等のインフラの整備、市営バスの運行、警察のパトロール、ゴミの回収など、人が広く分布することで多くのコストを必要とするものは数多くある。郊外の開発を抑制することで、こうしたコストを抑えることができるのだ。
2.ヌフカフェのエピソード
たぶん学生時代かな、ヌフカフェはなぜ潰れないのか という本を読んでおりまして
実際にヌフカフェ行ったものとして、そのエピソードがコンサルタントの友人目線で語られていることの有り難さよ。
ただ、本作に語られたような改装してきれいになったビル・・・とは思えなかったのは気のせいでしょうか。
あれでも改装後だったのかしら。それとも今はきれいなのかなぁ。久しぶりにヌフカフェに行きましょうと思いました。 -
市役所、商工会、商店街?誰を動かす?
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コンサルタントとして最初に持った違和感 商店街→補助金ありき、行政頼み
組合の役員→年金、家賃収入→もはや商人ではない
小さなイベントでさえ、補助金、計画→スピード感なし
ショッピングセンター犯人説→イオン
商店街犯人説→立地の良さにあぐら、品揃え貧弱、まともな接客できない
1973年 大規模小売店舗法(小規模小売店を保護、大型店は地元の商業関係者の賛同を得なければならない→反対され、郊外へ出店)
1991年 特定商業集積法(郊外のショッピングセンターを国が後押しする意図)
2006年 改正都市計画法(郊外への大型店を規制したが、既に全国に大型店が出店済み)
広い売り場の方がモノが売れる理由 本屋 同じ値段→品ぞろえがよくなる。
昭和30年代から40年代 スーパーマーケット 大量販売、セルフ販売→商品を安く売っていたから、そのイメージがあるだけ。実際は大型店より中規模店の方が安い。
セブンイレブン 震災後、主婦層の増加→イメージより高くないことを認識
1959年伊勢湾台風 商店街の復興のため 1962年商店街振興組合法(それ以前のものは商店街協同組合)
任意商店街 ○○商店会 △△振興会
調整政策 1937年百貨店法
1956年 第二次百貨店法
1973年 大規模小売店舗法
1980年代後半 アメリカからの圧力
1998年 大店立地法(周辺環境への影響に関する規定、調整政策的な面は撤廃)
振興政策 1964年商店街近代化事業 アーケード、カラー舗装、駐車場
場所と商店街の組合の混同
「この商店街はつぶれそうです」→結構にぎわっている→「だって、新規出店者が商店街に加盟しないんだもの」→場所と組織の混同
商店街活性化→固定資産税 市収入の1/3 地主 → 儲かる
2009年 地域商店街活性化法 街づくり(ハード) まちづくり(ソフトも含まれる)
居抜き物件への出店→リスクあり 同業種が失敗しているそれなりの理由があるはず
バイアスのかかっていない情報を見ること。
商店街のアンケート結果→回答は、加入率の低い商店街組合がしていると思え。
コンサルタント→依頼人は商店街組合→存在否定はできない。
商店街の組合の存在が活性化の阻害要因になっていることに気づいた。 -
地域再生、商店街新興という流れから手に取ってみました。
商店街振興策のこれまでを批判し、実際に著者が行った商店街振興策の成功かた失敗までの過程を紹介しつつ、今後の在り方の提言をしています。
手法は明確であり、主張が一貫しており、非常に理解しやすい。ただ、実践となると難しい面も多い。特に、タウンマネージャーのような人材の確保、その後の運営は、著者も実際苦労したようだが、困難なことも多い。
しかし、どの立場の人間がどのような役割を果たすべきか整理されているので、現状の課題は見えやすいはず。どこから手を打つべきか、考えていく必要があります。行政は不公平でいい、というのは、現実的であり全うな意見だと感じます。
里山の比喩
現在の多くの都市の状態、大型小売店が力を持ち、商店街などの中小小売店の廃業が続いた結果、大型小売店とチェーン店、家族経営で細々と続けるわずかの零細店のみが残っている状況は、植物群落に見られる極相林に似た状態
↓
ひとたび極相林となった原生林は、ほとんど状態を変えることはできない。長い年月を経て火山等による山火事が生じ、更地となり。最初から植物群生の遷移が始まる
広葉樹である大型店の存在も必要だが、それが低層の中小小売店への光を遮るほどに寡占すると、訪れる人の多様性が損なわれ、商店街地域そのものがダメになる
里山のように環境に緩やかに手を入れて、多様な目的を持つ人々が来訪する環境を維持し続けることが、結果的に街を長く持たせる
ただし、あまりに人の手が入りすぎた林は、人造林になってしまい。生物の多様性を損ねる。
<この本から得られた気づきとアクション>
・商店街再生の必要性について、自分なりの考えを持つべき。里山の例えは分かりやすい。個人的には多様性の確保に注目したい
・行政の役割について再度見直してみたい
・商店街には、地域の特性や歴史的な背景があり、同じではない。それを個々にどのようにとらえるべきだろうか。ここにも選択と集中が必要か。
<目次>
序章
第1章 繁栄している商店街は1%だけ
全国に増殖する「シャッター街」
活性化している商店街の共通点
Columnどうして広い売り場の店のほうがモノが売れるのか
第2章 そもそも「商店街」とは何か
新宿・銀座も「商店街」である
商店街の活性化事業とは?
国と都道府県の予算、市町村の裏負担/商店街施策の変遷
「商店街という場所」と「商店街の組合」の混同
商店街組織の課題
Column 商店街の組織はどのようにできたのか
Column 商店街は補助金で潤っているか
第3章 「まちづくり」を目指した過ち
組合に商店街活性化を任せるな
なぜ「まちづくり」なのか
Column 100円商店街、まちなかバル、街コンはいかにして始まったか
第4章 それでも商店街の活性化が必要な理由
「商店街=地域コミュニティ」は説得力がない
新規創業の場としての存在価値
Column たとえ寂れていても、商店街には魅力がある
第5章 商店街の変革――練馬区江古田、広島県呉市の体験から
練馬区江古田での「勝手に活性化」
商店街活性化につながる発見
広島県呉市での活性化の挑戦
第6章 商店街はこうすれば活性化できる
活性化の目標を見直す
商店街活性化のロードマップ
タウンマネージャーの役割
Column 商工会議所、商工会は商店街エリア活性化機構になれるか
第7章 行政と商店主へのメッセージ――今こそ活性化にとりくむ時
商店街活性化は市町村の役割
活性化の制度設計は国にかかっている
商店主は原点に立ち返れ
終章
あとがきに代えて――里山の比喩
参考文献 -
最大の原因は、商店街の組合というシステムと、売上に背を向けまちづくりを目指したことにある。
誰もがそんなものだと思ってしまっているけど、商店街ももっと、社会的な資源の一環として活かす道があり得るということ。
辻井啓作の作品





