- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784484192147
作品紹介・あらすじ
“ダメ女たちの人生を変えた” あの米国人料理家が、今度は日本にやって来た!
築地で、料理教室で、日本の台所で…苦手に挑めば人生が豊かになる
前作『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』では、料理ができないせいで自分に自信を持てなくなってしまった女たちに料理の基本的な技術を教え、彼女たちを人生にも家事にも勇敢な「家庭料理人」に変えた米国人料理家キャスリーン・フリン。
しかし、指導する立場の彼女自身にも、料理人として目をそらし続けてきた苦手があった…。それが「魚」である。一般的な米国人よりも、魚を食べるのは好きなほうだ。しかし、料理するとなるとどうだろう?
ある日、キャスリーンはアマゾン・シアトル本社のテストキッチンで、「魚を料理するのがこわい」という日系アメリカ人女性に出会う。日系人でありながら魚がこわいなんて、としょげ返るその様子に同情を寄せるキャスリーン。そして、食文化から魚が切り離せない日本には、もしかすると「こわい魚」を克服するヒントがあるのではないかと考えるようになる。
逃げないで、向き合う。人とともに。
魚がこわい――
「苦手」のハードルに気づかないふりをしていた。
わたしだけじゃない。
米国人も、いまどきの日本人も、魚を前に気が引ける。
米国人料理家の、苦手を愉しみに変えるチャレンジがはじまる。
本書は人生における「苦手」に対するマインドの持ちようや、アプローチが「苦手」をいつしか違うものに変えていくということを知ることができる1冊。「学ぶ」ということは選択肢を増やし、人生をきっと豊かにしてくれる。
東京からわが家に持ち帰ったものの一つに「ひと呼吸」がある。一瞬、動きを止めて、食べ物に感謝する。こんなにも混沌とした世界で、こうして食べることができる幸せを生きることができる幸運を感謝する。(本文より)
感想・レビュー・書評
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友人から「ぜひ読んでみて!」とオススメされた本。
(友人は翻訳家の村井理子さんのファンなのです。)
ひょんなことから日本に魚料理を勉強しに行くことにしたキャスリーン・フリン。日本を訪問するのは初めてで、さらに魚のプロフェッショナルの「寿司アカデミー」でのレッスン。そして築地で出会った人々。日本における魚というのは食材だけでなく文化であるということを知る…というリポート。
実は翻訳の本って言い回しとか表現がめちゃ苦手なんだけどこの本は読みやすかった~。
翻訳家の村井理子さんのボキャブラリーの豊かさと感性がすごい!
内容は魚料理を通してアメリカ人から見た日本の文化とかを書かれてるんだけど(異文化のヘンさとかいいところとかね)、とにかく翻訳が素晴らしい!
読んだ後で思わず魚が食べたくなってイワシ焼いたよ。
(手ごろに食べられる魚がイワシしかなったのよ)
それほどまでに感じが伝わる翻訳。
他の人ではこんな感じにならなかったと思う。
村井さんの本を他も読んでみたい!
あっ!あと、イシガキガイっていうの初めて知った~
トリガイとかじゃないのね…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
実は著者キャスリーン・フリンさんの前著『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』を読みそびれており、そちらを先に読もうかと思ったんだけど、発売日を知った勢いでこちらを読んでみた。
前著『ダメ女―』の日本でのヒットをきっかけに、日本での本作の企画を提案され、「魚料理」をテーマにキャスリーンさんが学び、出会うあれこれを書き留めた取材記。イントロダクションが今の時代を反映していて面白い。米アマゾンでのミールキット(比較的簡単に調理できるおかず食材のセット)試作風景、キャスリーンさんのSNSアカウントになぜか殺到した日本人からの友達申請…ご本人の興味の方向とお人柄もあるけれど、いろいろな面で垣根が低くなったことがこの作品ができた大きな要素でもあるのだろう。
内容は料理本というよりも、すしアカデミーでの講習、築地市場探訪、一般家庭に招かれての食事会と、先に述べたように取材記である。先入観とのギャップや現地での七転八倒を面白おかしく描くのではなく、その取材姿勢の細やかさと、取材対象の人と自身の内奥を見ようとする、キャスリーンさんの目がとても印象に残る。内省的でもあり、それでいて、次の日に何をしてみようか、という身近な第一歩へのエンパワメントにあふれたお話でもある。
そして、この作品が通常流通している海外文学の翻訳書と完全に違うのは、著者キャスリーン・フリンさんの取材・執筆と並行して、訳者・村井理子さんの翻訳作業・著者へのフィードバック(明記されていないが、ご担当編集者さんとの綿密な連絡も行われている)が行われているという点。海外在住・非日本語話者の作家が自著の日本での販売を企画し、母語で書いた作品をしかるのちに翻訳者が日本語に翻訳して出版する、というのが翻訳書出版の王道パターンだと思うが、原著が先行して存在せず、企画段階から翻訳者がフルコミットする形はほとんど見ない(私が知らないだけかもしれないけど)。村井さんと担当編集者さんがそのプロセスをSNSで比較的オープンに公開されていたので、コンピューターシステムや映像作品を作るときのパターンに近いなと思いながらその様子を見ていた。これだけ著者から信頼を得て、こういう形でプロジェクトに加わることができるというのは、翻訳の(従来の)ワークフローを少々知っている者からすれば、最高のポジションではないかと思う。もちろん、誰にでも可能なことではないけれど。-
>通常流通している海外文学の翻訳書と完全に違う
これほんとうにそうですよね。わたしもツイッターで見ていますけど、ああいう形じゃなくて、...>通常流通している海外文学の翻訳書と完全に違う
これほんとうにそうですよね。わたしもツイッターで見ていますけど、ああいう形じゃなくて、普通の翻訳書のように原書を見つけてきて訳して出版して、っていう形だったら、こんなに話題にならないし、売れてもいないんだろうなと。新しい形ですよね。SNSも巻き込んで、っていうのも。翻訳文学好きの人たち以外にもアプローチできるし。いいですよね。2019/06/13 -
>niwatokoさん
たとえば、日本語話者と非日本語話者の混成で行われる共同研究なんかだったら、こういうやり方はあるのかなとも思いま...>niwatokoさん
たとえば、日本語話者と非日本語話者の混成で行われる共同研究なんかだったら、こういうやり方はあるのかなとも思いましたが、それでもそこに最初から翻訳者が混ざる、というのはほぼ皆無だと思います。このやり方ならではのご苦労もおありだと思いますが、本の作り方、届けかたの違いが面白いと思いました。2019/06/13
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キャスリーン・フリンと訳者村井理子コンビの本を読むのは2冊目。
前作『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』が日本でテレビ番組から出演依頼が来るほど評判になり、来日したのが2017年4月のこと。当時のイベントで村井さん(ハリー君も)と初対面した著者が「魚をテーマにした本」の執筆を編集者に依頼されて、できたのが本書。築地が閉鎖され豊洲に市場が移転した2018年秋の数日間、著者が体験した「サカナの話」はどれもこれもふつうの人は経験できないくらい特別なできごとで、私自身のサカナの記憶を懐かしく思い出しつつ楽しく読みながらも、出版から4年の時が経ち、先日原発の“処理水”が海洋放出された事で今の私はすごく複雑な心境に揺れている。つらい。 -
アメリカの料理人&ジャーナリストのキャスリーンさんが日本で魚料理を学ぶ。魚を苦手としてるのは日本だけじゃないのね!島国日本と魚は、改めて深い関係があったんだなーと。自分もいつか手間ひまかけて料理したい。
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日本の魚食文化を中心とした魚料理についての本。楽しく読めた。魚料理を食べるのは好きだけど、魚を上手にさばく自信は私もない。本書を読んでたら、自分もちょっと挑戦してみようかなと想えた。巻末の「こわくないサカナ・レシピ」はなかなか良かった。手についたサカナのにおいが気になるときはステンレスのものに触れるといい、というのは知らなかった。すごい!
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魚が食べたくなる本!
たまたまた通りかかった棚に並んでいた表紙に目が留まり、手に取った本だったけど、あっという間に読んでしまうくらいおもしろかった。
アメリカ人の作者が日本食、中でも魚料理を勉強しに来た時の話で、今は移転してしまった築地市場で見学した話(豊洲も見学されているけど、メインは築地)や東京すしアカデミーで教えてもらった経験などが書かれていた。
私は日本人だけど、築地市場のことをここまで知らないし、見たいと言い続けていたマグロの競りも結局見ていない。そして魚も捌けないし、魚を捌くのが怖い。昔習ったのに当時はそこまで魚が好きではなくて、やらないから忘れてしまった。きっとこういう人は少なくないはず…。
こんな私もこの本を読むと、ちょっとだけ魚を捌いて見たいと思え、魚料理が食べたくなる。きっと描写がおいしそうなのと、果敢に魚に対峙する作者の気持ちの推移を読んで勇気をもらえたのだろうと思う。
本の中に出てくる、「魚の下準備を見ることで、生徒たちは食べ物に対して感謝する心を育みます。だから、よりちゃんと食べるようになるんですよ。」という一文が印象に残った。切り身の魚にばかり触れていると、お肉がパックされて売られているように、元々の姿が見えないから、感謝の気持ちがやっぱり薄れてしまうように思う。動物の命に感謝する気持ちは絶対に忘れずに、大事にいただこう。 -
米国人ジャーナリストでル・コルドン・ブルーで学んだこともある著者が、夫とともに寿司を学びに日本にやってきた。ちょうど築地市場が豊洲に移転するころ。寿司や魚料理を学ぶだけでなく、最後の築地も見学し、豊洲も見学する。
日本と米国の料理事情の違いも分かりやすく、楽しく読めました。 -
「ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室 」の Kathleen Flinn が、その邦訳出版を機に日本と縁を持ち、スシ・アカデミーの特別レッスンを受けたり、最後の築地市場を見学したり、ファンの人の家に食事に行ったりと日本満喫の紀行&魚料理エッセイ。「英国一家日本を食べる」を思わせる軽妙なタッチで一気に読ませるが、内容的には「ダメ女…」を読み返した方がいいレベル。