三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾

著者 :
  • CCCメディアハウス
4.31
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本棚登録 : 469
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484202297

作品紹介・あらすじ

「朝日新聞」名物・名文記者の技巧25発!
「あの人の文章は、ちょっといい」と言われるわたしになれば、自分が変わる。

本書で身につく技術は、たとえば――
◎文章技術 ◎企画力 ◎時間・自己管理術 ◎読書術 ◎資料整理術 ◎思考法

読者対象は、書くことに苦手意識を持つ人から、これからなにかを表現してみたい初心者、そして、プロのライターや記者まで。「読者は、あなたに興味がない(謙虚たれ)」という冷厳な現実を見つめるところからスタートし、「いい文章」とはなにかを考え、そういうものが書けるレベルを目指す。文章術の実用書らしく、つかみ(冒頭)の三行、起承転結、常套句が害悪な理由、一人称、文体、リズム、といった必要十分なテクニックを網羅するが、単なる方法論にはとどまらず、なぜそうするのかを、自己や他者の心のありようにフォーカスしながら考える。文学作品から、新聞記事、詩歌、浪曲まで、豊富な例示を取り上げ、具体的に解説していく。

生まれたからには生きてみる。
書くとは、考えること。
書きたく、なる。わたしに〈なる〉ために。

また、同時に、本書は「書くという営為を通じて実存について考える」思想書でもある。読み進めるにしたがい、「私というもの」に向き合わざるを得なくなる。言葉とはなにか? 文章とはなんのためにあるのか? なぜ書くのか? 生きるとは? 思索が深まるほどに、世界の切り取り方が変わり、自分が変わる。

わたしにしか、書けないものは、ある――
・文章は、見えなかったものを見えるようにすること
・文章は、見えていたものを見えなくすること

感想・レビュー・書評

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  • 文章そのものは書けるけれども、もう少し上手く言葉を選んで文章を書きたい。そう考えている方へお薦めする一冊。

    そもそも文が書けない、という人も読んでマイナスに振れることはないかもしれないけれど、きっと自信をなくしてしまうだろう。それほどに強烈な内容。

    TwitterなどのSNSを通じて、誰もが「物書き」になれる現代。AIが作成した文章の質はますます上がり、人間が書く文章の価値は下がる一方のような気がしてならない。

    そもそも、アマチュアとプロの違いはどこにあるのだろう、なんて気持ちで読んでみたが、アマチュアがここまでやるのには、厳しそう。

    読む側から読まれる側へのシフト。
    誰が読むのか。通りすがりの人間を、惹きつけるための広告として書く場合と、小説の始まりに書く場合は、大きく異なる。

    下手な鉄砲は当たらない、と著者は説く。
    良い文章とは、経験の積み重ねだけでなく、テクニックも兼ね備えていなければならない。

  • ライター/ライター志望者にとっては大変役に立つ一級の文章読本であり、読み物(エッセイ)としても楽しめる。
    つまり、実用性と娯楽性をハイレベルで兼備する離れ業をやってのけているのだ。大したものである。

    全体がホップ・ステップ・ジャンプの3部に分かれている。
    最初の「ホップ」は初心者向きということになっているが、読んでみれば、その部分にもかなり高度なことが書いてある。
    全体にハイレベルな内容で、けっして初心者向けではない。

    初心者向けの文章読本なら、ほかにもっと好適なものがたくさんある。
    著者と同じく朝日出身の名文記者として知られた外岡秀俊が書いた、『「伝わる文章」が書ける作文の技術』あたりがよいと思う。

    あと、著者の要求水準は少し高すぎると思う。
    〝ライターたる者、◯◯くらいはできないと、プロとは言えない〟式の挑発的言辞が頻出するが、その多くは、「いや、そんなこと、プロのライターでもできていない人は大勢いるだろう」と思うもの。

    つまり、著者は本書で、たんにライターとしてメシを食っていくだけではなく、抜きん出た文章家になるための心得を説いているのだ。

    本書のアドバイスにはおおむね同意するが、一部に首肯できないものもある。
    たとえば、常套句を「親のかたき」と思って文章から徹底排除しろと著者は言うのだが、私はそうは思わない。

    常套句・紋切り型は、多用は禁物だが、少しは使ったほうが文章がわかりやすくなる。文章のすべてが独創的表現であったら、かえって読みにくいしわかりにくい。

    あと、「ジャンプ」編の終盤(つまり本書全体の終盤)あたりは、抽象的でわかりにくく、蛇足だと思った。

    ……と、ケチをつけてしまったが、全体としてはとてもよい本だ。

  • 自分の書いた原稿を人に見てもらう立場のときは無責任だったなあ、と今になって思う。とりあえず球を丸めて投げる。球をもう少しきれいにしてくださいとか、もっとまっすぐ投げてくださいとか言われて、はいはいと言ってその通り直す。その通りにはなかなか直らない。それでもそれなりの形に仕上げて、最終的には受け取った側で整えてもらう。それでどうにかなっていた。
    ところが人の書いた原稿を見る立場になったとたんものすごく不安になった。人が書いたものを直すというのはむずかしい。はたしてこの直し方で合っているんだろうか。責任を感じるにつれて自分の赤ペンにどんどん自信が持てなくなっていく。自分で書くほうがよっぽど楽だとすら思う。
    いい文章とはなんだろう、と迷路に迷い込んだような気持ちになって、何かヒントが得られればと思いこの本を手に取った。ヒントどころじゃなかった。ページは真っ赤になったし、角を折りすぎてずいぶんぶ厚くなってしまった。文章を書くとは何か、書いて生きるとはどういうことか、なぜ私たちは書かないと生きていけないのか、自分がこれまで言語化できていなかったそういう感覚がどばどばと押し寄せてきて、頭のなかを一掃されたような気分になった。書くことは生きることだ。自分になることだ。
    「三行で撃つ」は比喩かと思っていた。確かに比喩でもあるのだけど、著者は物理的に「撃つ」ことをしている人だった。だからこそ読んでいて「撃たれた」。しっかり狙われてしまった。書けなくなったとき、書き方がわからなくなったとき、書く力が伸び悩んでいるとき、折に触れて読み返したい。

    【読んだ目的・理由】メルマガで見かけて
    【入手経路】買った
    【詳細評価】☆4.9
    【一番好きな表現】言い換えるとは、考えることです。世界をよく観ることです。いままでと違う、他人の感覚ではない、自分自身の、ただひとつの世界の見方、切り取り方、考え方にたどり着く。(本文から引用)

  • 書くことは生きること。ライターになりたいと言っているうちはライターにはなれず、ライターになるならば書けばいいのだ。

  • とても良かった。記者志望じゃなくても普段から使えるような考え方ばかりだった。早速上司に読ませたいと思った

  • プロの物書きを目指す人に向けて書かれた、文章の書き方実用書。
    タイトルは、物書きは最初の三行で読者の興味をひかなければプロではない、という意味。
    この文章は良い、この文章は悪いと例文がたくさん出てきてわかりやすい。
    その、良い文章の見本の作者の文章を読んで、読んだことがあるような文章だったのでひょっとして、と調べてみると、作者は朝日新聞の記者だった。
    テクニックを指南しながら、物書きとはこういうものだ、こうでなければならない、と熱く説く。
    だんだんヒートアップしてきて、最後の方は熱い文章ばかりで遊びが少なく少し読みにくかった。

  • 好き嫌いが分かれる文章本。世界はどんどん悪くなっているという前提が、すでに自分にはダメだった。文章に人格がにじみ出ていて、読むのがきつい。

  • 撃たれた

    常套句を使うな、擬音語も擬態語も使うな、流行語なんてもってのほか、なんなら形容詞も使うな
    文章は自らの思いを吐き出すんだ

    言いたいことがあるなら、言ってもいい。ただしチョコでくるめ

    とまぁ、正論を振りかざしても何も伝わらないよって撃ち抜かれる

    日々の企画書もまた表現であり、表現者たるものが持つべきグルーブ感に脳みその中から撃たれまくります

    もっと言葉を、表現を、感性を鍛えないと

    時間空けてもう一回読みたい一冊

  • 謙虚になり、続けること。シンプルに。

  • 2021/04/21

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著者プロフィール

朝日新聞編集委員・日田支局長/作家/評論家/百姓/猟師/私塾塾長 1963年、東京・渋谷生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、1987年、朝日新聞社入社。川崎支局、学芸部、AERA編集部、ニューヨーク支局を経て、2017年から現職。新聞紙面では、コラム「多事奏論」、地方での米作りや狩猟体験を通じて資本主義や現代社会までを考察する連載「アロハで田植えしてみました」「アロハで猟師してみました」を担当する。大分県日田市在住。社内外の記者、ライター、映像関係者に文章を教える私塾が評判を呼んでいる。主な著書に『アロハで猟師、はじめました』『おいしい資本主義』(共に河出書房新社)、『「あらすじ」だけで人生の意味が全部わかる世界の古典13』『朝日新聞記者が書けなかったアメリカの大汚点』『朝日新聞記者が書いたアメリカ人「アホ・マヌケ」論』『アメリカが知らないアメリカ 世界帝国を動かす深奥部の力』(以上、講談社)、『リアルロック 日本語ROCK小事典』(三一書房)、『成長のない社会で、わたしたちはいかに生きていくべきなのか』(水野和夫氏との共著、徳間書店)ほかがある。

「2020年 『三行で撃つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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