ピーターラビットの謎: キリスト教図像学への招待

著者 :
  • 東京書籍
3.39
  • (0)
  • (9)
  • (7)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 52
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487754939

作品紹介・あらすじ

かわいいいたずら子ウサギのお話は、キリストの受難を描いたものだった…!?さまざまな宗教画、図像学の約束事ほか、多くの傍証をもとに見事な結論に導く異色の「絵画推理」。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大学時代の先生の著作。
    西洋美術史の「イコン」についてのクラスで、最初の授業にこの話をされてガッツリ掴まれて宗教美術にハマることになったのだった。

    すごくワクワクして読み返してみたけど、あれー?当時の興奮は流石に戻ってこなかったな。

  • ピーターラビットの話は、キリスト教の図像学になぞらえて描かれたということを解説した本。
    何言ってるんだろ?と思ったけど、読み進めていくうちに納得。
    コマドリとか、黒すぐりとか、三匹の妹が見てる姿とか、洋服が晒されてるところとか・・。
    キリスト教のこともわかりやすく説明されているので勉強にもなります。

  • なるほど確かにー、と納得。文章が読みやすく、面白かったです。
    久々にピーターラビットの絵を見て、 うさぎの可愛さにくぎづけ。
    天使の輪っかの意味を初めて知りました。

  • 「ピーターラビットの絵本にはキリストの受難が隠されていた」という宣伝文句に「え、まさか?」と思いつつ手に取りました。
    で、読んでみた感想としては「ピーターラビット=キリスト」説を本気で提唱するというより、ピーターラビットという親しみやすい素材をネタにした図像学の入門書、という感じです。

  • わが愛してやまないピーターラビットに、なんとキリスト受難の物語が隠されているという。図像学および民間伝承をもとに読み解くピーターラビット。

    実際のところ、どうなのか。
    確かに、関連するモチーフが多用されている。ブドウ、ヒイラギやコマドリ、十字架、復活の場面、などなど。ポターが受難を意識し、意図的にこれらのモチーフを挿入した可能性はあるだろう。
    しかしその一方で、これらの動植物はありふれたものである。身近なものをそのまま描きこんだということはじゅうぶんありえる。

    ポターのいた環境のなかに、キリストの受難に関連したものはどの程度存在していたのだろうか?右を向いても左を向いてもキリストを思わせるものばかりだったのなら、何の意図がなくても作品に入り込んでくるだろう。逆に受難モチーフといえるものが本当に数少ないのであれば、それをあえて集めたことには何らかの意味があるだろう。こういったことについての説明がまるでないことには大いに不満である。
    また、ポターの他の作品に受難モチーフが登場しないことを確認する作業も必要なはずだ。どの作品にも受難モチーフがあふれていたら、この説は壊滅してしまうのだから。

    そのあたりに一切ふれていない以上、はっきりしているのは「この物語には受難モチーフが多く含まれている」ことだけだ。「受難の物語が隠されている」ことではない。

    おそらく著者としては、この「ピーターラビットのおはなし=キリスト受難説」を提示はしたものの、証明までする気はないのだろう。そもそも本書は、タイトルとは異なり、ピーターラビットを主題にしたものではない。主な内容は聖書の記述や美術史に関わる解説。「ピーターラビットを例にとった図像学入門」といった印象だ。だからといっておもしろくないということではないのだが、せっかく新説を押し出す以上、完膚なきまでに納得させてほしかった。おお、なるほど!と思いたいのだ。

    実際のところ、答えはポターに聞かないとわからない。しかし私自身としては、彼女にその意図はなかったのではないかと思う。本書によれば、この物語はもともと私的な絵手紙である。友人の病弱な子どもを楽しませるために書かれたのだ。そんなふうに生まれた物語に、受難の寓意を与えるだろうか。かわいい子うさぎと磔刑を関連づけたりするだろうか。
    …しないと思うのだが。

  • これ、キリスト教とか美術かじってる人には、すっごい楽しいと思うんですが、なんで廃版なんですか!
    すこしくどいところもあるけれども、図説多用してあるし、説明も丁寧でわかりやすいです。
    何より、ピータラビットの話を知ってるとすっごく興味深い!
    まさかあの話がキリスト磔刑・復活の道筋にモチーフとってるという考えがあるとは全く知らなかった。
    けど、やっぱりキリスト教圏のひとにとっては、聖書の物語は基礎で大前提なんだろうなーと思う。
    だから、言われなくても気付くし、配置されるモチーフから自然と意味を汲み取ることもできるんだと思う。

  • ピーターラビットはキリストだった!?こんな一見突拍子もないようなことを、多くのカラフルな絵や写真をつかって説明してくれる本。キリスト受難のモチーフが、ピーターラビット物語のここかしこに隠されていることを教えてくれます。このようなことを考えるのを「キリスト教図像学」と言うらしいです。こういう本を手がかりに、少しづつキリスト教美術の世界に分け入ってみたいと思いました。

  •  ピーターラビットという親しみやすいモチーフを用いながら、実は図像学についてけっこう詳しく書かれている。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

益田朋幸(ますだ・ともゆき)1960年生。早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。Ph.D(テサロニキ大学)。早稲田大学文学学術院教授。専門はビザンティン美術史。

「2015年 『遊んで学べるシールブック 西洋の美術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

益田朋幸の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×