コスモスの影にはいつも誰かが隠れている

著者 :
  • 東京書籍
3.94
  • (24)
  • (19)
  • (17)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 184
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487804184

作品紹介・あらすじ

ささやかな日々、深く静かな声、愛と別れの一瞬と永遠の物語。フリーペーパー誌に連載中から読者の静かな共感と深い感動を呼んだ、藤原新也の新境地。最高傑作の呼び声高い1冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 泣ける。癒される重さ。読み終えた後に世界が変わる。

  • 文学

  • 再読.

    藤原新也の作品の中で,いちばん好きかもしれない.
    はかなく健気に,うつくしく,地にしっかりと根を張って,炉端に咲くコスモスのような,そんな人たちとの出逢いや別れを綴った小文が並ぶ.

    通勤ラッシュの時間が過ぎた中央線に乗りながら読んでいたら,思わず感極まりそうになってしまった.カタワレバナ.

  • 全編を通じて作者の、他者への深い想いが感じられる。1編1編読み終えるごとに静かな余韻と温もりに包まれる。amazonや本のサイトで高い評価なのもそういった点だろう。癒しと優しさの1冊。

  • 写真を見てから、文章を読み、また戻って写真を見ると、初めて見た時の印象と違って見えていました。
    筆者は、普段の生活を優しい視点で捉えている人だな。と、読んだ後からじんわりと胸に少しだけ残る何かがありました。

  • 短編集  1番目の作品 「尾瀬に死す」 心のひだの細やかな部分が丁寧に書かれている これをラジオの朗読の時間に聞いたのがきっかけで全編読む
    各編の最初に2頁見開きで写真が載っている 尾瀬の写真はただの観光写真ではなく 作者の思いの入った深みのあるもので 写真を撮り始めた自分にとって興味深く 読み終わった後 改めて写真を振り返ってみたりした
    藤原新也の作は初めてだが 全編読むうちに 写真家と物書きという両面が素直に見えてきて 他の本も引き続き読んでみたいと思った  

  • ありふれた私達の日常生活の中にも小説になりうるような感動的な物語が実は起こったりする。この本は、なにげないできごとが、実はハッとする感動的な物語なのだと気づかせてくれる。藤原新也は写真家であるだけでなく、日々の暮らしに隠れたキラリとしたシーンを、卓越した文章で表現し読み手の心を震わせる。14編の物語で成り立っている本書は、物語ごとに心に秋風が吹き抜けていくよな・・・。

  • NHKのドラマを見ました(あなたに似た誰か)。第三話がとてもよかった。過去の自分を乗り越えていく強さ、周りの優しさ。たった30分のドラマなのに1本の映画のよう。人生が詰まってる感じがした。

  • 森絵都レコメンドの中の一冊。
    「じわりと効く短編」みたいなのにカテゴライズされてたやつ。

    嬉しくも楽しくもない話が多いんだけど、なんだか美しかった。
    しなやかな群像劇のような。
    とくに短編どうしにつながりはないんだけど、
    でもみんな同じ世界の話なんだなぁと
    なんとなくおもいながら読んだ。

    あじさいの話がすごくきれいで水彩画みたいだった。
    かもめのゼロの話も芯のある穏やかな映画みたいでよかった。

    どれも絵を描きたくなったり、心に音楽が流れてくる気がしたり、読んでいるあいだ、美術館にひとりでいるような気分になった。

    こんなのを書ける人もいるんだなぁ

  • フリーペーパーに連載されていたということもあってか、とても読みやすい。ぼんやり目で追っているだけでもするすると文章が頭に入り、情景が頭に描かれる。そして物語の展開に気づくと引き込まれている。次の短編を読み始めようとすると頭を切り換えるのに少し時間を要するほど、ひとつひとつの物語に深い世界がある。それは、緻密に書かれているからというより、むしろ簡潔な表現にとどめ極限まで「書かない」ことにより、読者の頭の中にそれぞれのリアリティを持った情景を描かせていることによるのではないかという印象を持った。
    心の底で会いたいと思っていた人との「偶然の」再会や突然の「根拠のない予感」の的中。幻影(?)からのメッセージによる物語の展開など、ちょっと引いて考えれば「そんなうまい話があるもんか」とも思えてしまいそうなストーリーなのに無理を感じさせないのは、この率直で無駄のない語り口によって、私の頭の中に私なりに色づけされた物語がしっかりと根を張り、思いがけない展開を登場人物と同じ気持ちで感じて、驚いたり喜んだり悲しんだりしているからなのかもしれない。こういうのを筆力というのかなと思った。

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1944年福岡県生まれ。『印度放浪』『全東洋街道』『東京漂流』『メメント・モリ』『黄泉の犬』『日本浄土』『コスモスの影にはいつも誰かが隠れている』『死ぬな生きろ』『書行無常』『なみだふるはな』など。

「2022年 『若き日に薔薇を摘め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤原新也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×