リアルタイムメディアが動かす社会: 市民運動・世論形成・ジャーナリズムの新たな地平

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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487805846

感想・レビュー・書評

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  •  多角的な視点からリアルタイムメディアを見ることができた。皆、リアルタイムメディアを手放しで賞賛するのではなく冷静に捉えていたのが意外だった。
     基礎知識や興味の問題のせいか読み終わるのに時間がかかってしまったが講義として受けるのならばおもしろいと思う。渋井哲也さんの章が個人的には印象的。

  • <第1講 市民運動とリアルタイムメディア by 八木啓代>
    1958年、キューバは当時革命戦の中にいました。最初、革命軍はキューバに上陸して、非常に少ない人数から革命戦を始めました。そして最終的に1959年、キューバ革命が成功します。
    この時、実に大きな役割を果たしたのが、この「ラジオ・レベルデ」という反乱放送でした。ゲリラ軍がラジオを作り、自分たちの活動を広報宣伝する。一般の人たちに知ってもらうという発想をしたのは、実は、このチェ・ゲバラなのです。
    当時のキューバではテレビもラジオも新聞もすべて検閲されていますから、実際に何が起こっているのかというのがまったく伝わりません。その中でゲリラ軍がラジオ放送を作り、そこから自分たちの側の情報を伝えていくのです。そしてそれが革命の中で非常に大きな力になりました。

    <第2講 戦場とリアルタイムメディア by 常岡浩介>
    【SMSが起こしたエジプトの革命】
    フェイスブックやツイッター利用者が日本よりもずっと少ないエジプトで、なぜ革命が起きたのか。実はエジプトで最も多用されたのは、ツイッターやフェイスブックではなく、SMSでした。つまり「ショート・メッセージング・サービス」です。p127
    [具体的にどのように使われたか]p128
    たとえば、「明日の何時にこういう名目のデモが行われる」という情報を誰かが受け取ったとします。すると今度は自分のアドレス帳にある全員にこのSMSをばら撒くのです。次に受け取った人はまたその情報をアドレス帳の全員に送信し、こうしてタハリール広場に何十万という群衆が集うことになったと言われています。
    (その一方で)ムバラク政権は必死で革命を潰そうと画策し、SMSが利用されていることも把握していたので、ボーダフォン・エジプトという会社を使うことにしました。ボーダフォン・エジプトのユーザーすべてに「警察を応援しよう」「社会を脅かす扇動に乗らないようにしよう」といったSMSをばら撒いたのです。この会社の社主はムバラク大統領の長男だったのです。p129
    [なぜSMS?]p129
    ツイッター、フェイスブック、スマートフォンを使う際は、携帯電話のパケット通信によるインターネットインフラを活用しますが、SMSは携帯電話の通話システムで送信するためインターネット回線をいっさい使いません。インターネット回線が全部潰されてもSMSは生き残るのです。

    【エジプトのような革命はどこまで波及するか】
    中東、エジプトで次々と革命が波及していきましたが、アフガニスタンやパキスタンにその余波は及んでいません。原因は非常に分かりやすく、今回の革命が起きたのはアルジャジーラの電波が届いている範囲内だったことが挙げられます。アルジャジーラのアラビア語放送が入っていたアラブ中東の22カ国では、ほとんどの地域で動きがあり、一番西のモロッコでは王政打倒のデモが頻発、一番東のイラクではアメリカ軍の戦略に反対するデモや反政府デモが起こりました。アラビア半島ではバーレーン、イエメンの反政府デモが激化し、サウジアラビアですら女性たちが車の運転を強行するデモンストレーションを行い、逮捕者も出ています。p135

    【ツイッターを活用したさまざまな革命】
    ツイッターが利用され始めた一番初めの革命は、じつはエジプトではなく、旧ソ連のモルドバという国でした。モルドバは旧ソ連の中でもロシア寄りで、旧共産党がそのまま政権を持ったような状態です。
    その少し後に、アメリカがイランを「テロ支援国家」「悪の枢軸」と批判したのですが、イランは中東のなかではそれなりに民主的なシステムを持った国です。
    イランのアフマディネジャド大統領は、保守派と言われています。この人が大統領に再選されるかどうかという選挙の時、対抗馬としてムサビという候補者が現れました。ムサビが選挙運動に使ったのがツイッターだったんですね。デモ中に治安部隊が発砲して20代の女性が殺された映像がユーチューブで世界中に流れ、これはツイッターにも書かれて、イラクの民主化運動に火がつくという展開になったこともあります。言ってみればエジプトの革命より数年も前に、ツイッターやSMSといったリアルタイムメディアは先んじて使われていたのです。p140
    →この革命はエジプトの革命に2年先んじていたため、下地になった?
    しかし、チュニジアやエジプトに一番大きな影響を与えたのはアルジャジーラです。10年間1秒も休まずに世界中のニュースを報道し続けたことで、中東の人たちは深いITリテラシー、情報リテラシーを身につけました。

    〈第4講 リアルタイムメディアが拓くジャーナリズムの新たな可能性 by 岩上安身〉
    【情報を受け手が編集し発信する時代へ】p186

    〈第8講 リアルタイム報道とメディア by 津田大介〉
    【ソーシャルメディア現象を読み解く5つのキーワード】p364
    ・「リアルタイム(速報性・伝播力)」
    ・「共感・協調(感情や思考の共有)」
    ・「リンク(具体的行動の促進)」
    : 感情が連鎖していくと、具体的な行動に繋がっていく。たとえば、怒りの感情が次々にリンクしていき、デモに繋がる。そして政治体制が変わるまでになる。
    ・「オープン(参加や離脱が容易)」
    ・「プロセス(透明性・興味喚起)」

    【ソーシャルメディア革命の事例】
    ・東ヨーロッパのモルドバ共和国: 反政府運動の契機に使われてデモが起きたが、半日で潰される。

    ・イラン: 大統領の不正をめぐって民主化の運動勢力がツイッターやフェイスブックを使って活動したが、これも潰された。

    ・中国やタイでも似たようなことが起きる。

    ・政治体制が変わるところまで変化が訪れたのが、まずチュニジアで、フェイスブックを中心としたジャスミン革命で、それがエジプトに飛び火し、さらにリビアにも飛び火した。

  • 2011年前期に明治大学で開講された
    「リアルタイムメディアが動かす社会」
    という講義の内容です。

    講師はジャーナリスト、ライターなどのそうそうたるメンバー。
    開講時期的に、震災後であったりしたでしょうし、
    内容的にまさにリアルタイムな話題が多かったので
    少し後から読んだ今としては少々微妙でしたが、
    2011年までを整理する意味では良い文献かと。

    8名の論客がいらっしゃいますので全ては書きませんが、
    1つだけ。

    いつも耳に目にしている話ではありますが、津田さん( @tsuda )の
    140字に圧縮して詰める事により、文章がソリッドになって
    凄く伝わりやすくなる。伝わりやすくなって圧縮するので
    言葉そのものが凄く強くなる。
    という言葉はとっても共感。

著者プロフィール

1962年大阪府生まれ。作家、音楽家。著書に『禁じられた歌 ビクトル・ハラはなぜ死んだか』(晶文社)、『ラテンに学ぶ幸せな生き方』(講談社)など多数。

「2012年 『ハシズム!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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