くらべる値段

  • 東京書籍
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487810581

作品紹介・あらすじ

大好評「目でみる」シリーズ最新刊!シリーズ既刊書はテレビ、ラジオで大反響。おかげさまでシリーズ累計10万部に迫る勢い!!
今回くらべるのは「モノの値段」。誰もが不思議な「一見、同じモノなのに値段が全然違う!」その謎を大追跡!その答えが写真で一目瞭然。

感想・レビュー・書評

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  • 「ユーカリの木の蔭で」の中で北村薫さんがお薦めしていた本。
    おかべたかしさんの本は「目でみることば」以来なので読んでみたら、まぁ予想外の面白さ。
    価格の背景にある物語を堪能することができた。

    表紙の盆栽は左が5千円。右が50万円。
    見開きにふたつの画像が表れたあとで、次ページで解説がなされる。
    10年ものが5千円で、50年ものが50万円。
    木の種類は関係なく、どれだけ長い年月手間暇をかけたかによるらしい。
    ・・というように全部で34種類のものが登場する。合間には8編のコラム。

    掲載されたモノたちは、画像をよーく見て解説を読んで納得するものが多い。
    何度見ても分からないものは、7800円と12800円の「金魚」の差。
    見方そのものが、分かっていないということを発見する。
    「ダーツ」なんて、解説を読んでも分からない・笑
    20円の花火と80円の花火の違い、皆さん分かります?
    火薬量がまるで違うのですよ。
    20円のは1グラムしかない。80円のは10グラム入っている。
    高い花火の方が、圧倒的に長く燃えるわけだ。

    暮らしの中でよく接してきたもの以外は、殆ど未知の領域。
    かと言って、知っているものだらけではもっとつまらない。
    掲載された「モノ」に興味があろうがなかろうが、少しでも良いものを安く手に入れたいと思ってきた自分を猛省する。そういった考え方が、まがい物が横行し様々な技術が廃れてきた遠因だからだ。
    もしも自分が制作者の立場だったら、少しでも良いものを手間暇かけて作り出したいだろう。
    それを理解できる人に買ってもらい、喜ばれたいだろう。
    高いものには、ちゃんとわけがある。
    良いものなのに安いはあり得ないと本書にもある。
    目利きにまではならなくとも、観察眼と想像力まで失いたくない。

    本書の中にはエンデの「はてしない物語」も登場する。
    1600円のソフトカバーと2800円のハードカバーだ。
    翻訳物と言えどもエンデの望む装丁にしたいと、使命感を帯びた岩波の渾身の作品らしい。
    完成した本を見て、日本語版が一番良くできているとエンデも喜んだという。
    そんな背景もあるのだ。

    何もかも全て高価なもので囲まれる必要もないし、そもそもが無理な話。
    でも、自分の好きなものだけでもひとつ、良質なものを手に入れたいよね。
    私の場合はパイロットの「カクノ」。
    「きちんとした安いもの」を最初に入手したおかげで「下手な安いもの」を使わなくなった。
    字を書くことが楽しいため、スマホやPCをどれほど使おうと漢字を忘れずに済んでいる。
    良いモノは、時に思いがけない効果も生む。

    • ♥♥♥さん
      すみません、フォロー解除してもらって宜しいですか?
      すみません、フォロー解除してもらって宜しいですか?
      2020/08/28
    • nejidonさん
      お知らせいただきありがとうございます。
      先ほど解除しました。
      またいつでもお越しくださいね。
      お知らせいただきありがとうございます。
      先ほど解除しました。
      またいつでもお越しくださいね。
      2020/08/28
    • ♥♥♥さん
      ありがとうございます!!nejidonさんは悪くないです。母がダメだと...すみません。
      ありがとうございます!!nejidonさんは悪くないです。母がダメだと...すみません。
      2020/08/28
  • 表紙は5000円と500000円の盆栽。手を掛ける年月が違うだけだそうだが、だから若い人は安いものを買い求めよとプロは言うらしい。ただ高い方がいいという観点だけで見ていないところが、この本のポイントだ。エントリーモデル(初心者向けの製品)という考え方も大切だという。くらべた二つのものの安い方だって、それなりの値段なのだ。安いと言っても簡単に手が出ないものもある。
    「羽毛ふとん」確かにグースの毛よりマザーグースの方が毛足が長くて暖かそうだ。
    「おろし金」高い方はステンレス製ではなく銅製で職人が一つ一つの目立てをしているとか。ほう。
    「カステラ」1250円と6600円。高い方は烏骨鶏の卵で作っていて誰が食べても旨いらしい。うーむ、食べてみたい。
    「かまぼこ」機械でなく手作りのものが高い。
    「サッカーボール」高い方は縫わずに張り付けている。水気を吸わないとか。
    「コーヒー豆」「バナナ」高地のが品質がいいそうだ。
    「海苔」黒くて目が詰まっているのが高い。1枚1000円という海苔を食べたことがあるが、うーんという感じ。
    「花火」高いのはバラ売りで火薬の量が多いらしい。専門店のある東京じゃなきゃ買えないよ」
    全34+コラム。

  • 【あらすじ】
    今回くらべるのは「モノの値段」。誰もが不思議な「一見、同じモノなのに値段が全然違う!」その謎を大追跡!その答えが写真で一目瞭然。

    「安いものにはワケがある」ということをまざまざと実感したのは、家を建てる土地を探してる時でした。駅やスーパーから遠い不便な土地が安いのは当然ですが、他にも間口が狭かったり、家の前に電柱が立っていたり、南側に大きな建物が建っていたりと、安いのには明確な理由があるんです。
    この本のコラムにも同じようなことが書いてありました。高いものには高いなりの、安いものには安いなりの理由があって、「いいものなのに安い」ということは基本的にあり得ないのだと。でも、世の中の人は「いいものだけど、売る側が工夫して安くしてくれてる」と都合よく思い込んでいるのだと。…うーん、お恥ずかしい。まさにそう思っていた消費者の一人でした。自分が売る側に立ったら、手間がかかったものを高く売るのは当たり前のことなのに、なかなか気づけないものです。
    ただ、「安かろう悪かろう」なモノが一概に悪いわけではないと思います。大量消費社会で、選択肢もたくさんあるのだから、お金をかけずに済むものは安物でいいと思います。ただ、ここぞというときにお金をケチると碌なことにならないぞ、ということは肝に銘じておこうと思いました。

  • 同じものでも値段の違うものを解説した本。
    ミヒャエルエンデの果てしない物語を比較していて、読むなら(買うなら)絶対にハードカバーと言う著者の説に激しく同意だった。
    主人公のバスチアンが古本屋で見つけ、思わず持ち帰って読みふけってしまう本が『果てしない物語』なのだが、あかがね色の表紙で2匹の蛇がお互いに尻尾を噛んでいると描写されている。それがそのまま再現されている。エンデが一番気に入っていた装丁がこの日本版。
    クリスマスプレゼントで貰って読み進めていき、正に私が手にしている本が…果てしない物語だ!!と気付いた時の感動を幾つになっても忘れられない。
    物の値段を比べる本なのに、小さい頃の思い出を思いださせてくれる本だった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      MOMOさん
      持っていたハードカバーを処分されちゃって、昨年(だったかな?)、何年振りかで「モモ」と「はてしない物語」を購入。でも少年文庫版...
      MOMOさん
      持っていたハードカバーを処分されちゃって、昨年(だったかな?)、何年振りかで「モモ」と「はてしない物語」を購入。でも少年文庫版のダブルカバー。それで満足して再読してませんが、、、
      文庫化されたけど、ハードカバーをそのまま置いている本は何冊かある。装丁やギミックが気に入って手放せない、、、
      あっ!「モモ」の豪華本は欲しい。
      2020/11/04
    • MOMOさん
      コメントをどうもありがとうございます。
      「はてしない物語」は、わたしは絶対にハードカバー派です。文庫だと、中の文章が赤茶色と緑色で書かれてい...
      コメントをどうもありがとうございます。
      「はてしない物語」は、わたしは絶対にハードカバー派です。文庫だと、中の文章が赤茶色と緑色で書かれていないから。。
      ファンタジーエンと現実世界を行ったり来たりしながら、段々とファンタジーエンにいる時間が長くなるバスチアン。読みながら、こんなに緑色ばっかり(ファンタジーエン)で、バスチアンちゃんと帰ってこれるのかな…とハラハラするのもいいもんですよー。
      「モモ」、愛蔵版のカシオペイアの表紙も、通常版のモモの後ろ姿も、どっちもいいな。
      …こうして好きな本を語れるのはしあわせです。ありがとうございます。
      2020/11/04
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      MOMOさん
      きっと同じように思われてる方が多いでしょうね。
      この本を手にして、本の世界にどっぷり浸かる人が増えますように、、、
      MOMOさん
      きっと同じように思われてる方が多いでしょうね。
      この本を手にして、本の世界にどっぷり浸かる人が増えますように、、、
      2020/11/04
  • 同じようで同じでない、安いと高いでは比べると違う、
    モノの値段がテーマ。
    34品目を、50音順、見開きでそれぞれの画像。
    基本、左側に安いもの。右側に高いもの。次のページに解説。
    値段コラム、買い物コラム複数有り。
    撮影協力&主要参考文献、有り。
    見た目ではわからないけど、取材して聞いたら、なるほど!
    素材や手間で、同じに見えるモノでもこんなに値段が違う。
    最高級の素材の品質の高さと確かさ。外国産と国産の違い。
    機械&大量生産と職人の手仕事の差。
    量産は製品、一点物は作品と称する、造形作家の矜持。
    金魚は配色のバランス。胡蝶蘭は花の数。
    うな重はうなぎの量、畳はい草の量。盆栽は手を掛ける年月も。
    買い物コラムでの証明写真、プロの写真館の技術は素晴らしい。
    うん、パスポート用に撮ってもらったのが実に極上で、
    マイナンバー用に役所で撮ったのには愕然としたもんね(^^;
    「はてしない物語」は、あの装丁と二色刷のページに感激したのを
    覚えています。一緒に本の世界に入れるワクワク感!
    そして20年以上愛用している銅のおろし金は、使い心地バツグン。
    高かったけど後悔はしない、質の良さは使うとわかります。

  • 大根をおろすとき、プラスチック製のおろし器を使っているが、だいぶ古びてきたので買い替えたいと思っている。
    ここにおろしがねが載っているじゃないか、どれ見てみよう......。
    9980円。
    いや、そんなに、出せない。
    しかし20ページから23ページを見てみると、次のボーナスで、買っちゃおうかなという気になる。

    お腹が空いたな.....。
    スーパーの贈答品売り場にいつも置いてある文明堂のカステラ。
    それと比べられているのは、なんだって、6600円?!
    見た目では違いはわからないけれど、烏骨鶏の卵を使っているんだとか。
    マンガ『中華一番!』で主人公マオが扱っていたアレか!
    よし、ボーナスで買ってみよう!

    バナナもいつもは一房98円。
    その3倍のお値段のバナナ!は、今月の給料でいけそうだ。

    家族の昇進祝いに6万の靴か、財布もいいのを、よし、ボーナスで(以下略)

    そんなにボーナスが出るかはわからないけれど、取らぬ狸でいろいろあれを買おう、これを買おう、なんて思っているうちが楽しい。

    面白いのは40〜43頁のコラム。
    カメラマンがセルフィードローンを使ってみたり、証明写真の機械を使ってみたりする。
    これは違いがとてもよくわかる!
    大手デパートの仕上がりといったら!
    これなら私だって美女に見えるかも。
    次のパスポート更新の時は使いたい。
    いつも証明写真を見るたびに「うーわ」と落ち込んでいたけれど、これなら!

  • p17吸放湿性に優れた羽毛布団は月に1〜2回ほど風邪とおしのよいところで充分

    p35かまぼこバー@小田原 鈴廣

    p170エントリーモデルという考えが生み出すもの
    きちんとした安いものには高いものを買ってみたいという気持ちを喚起させる力があると感じました
    エントリーということばを意識して開発すれば、その会社やその業界をも変革する力を持ち得るのではないでしょうか


    p161家庭的な盆栽屋さん「小久保一楽園」@板橋区
    高価な盆栽はお金があるお年寄りが買えばいい。残りの人生が長い若い人は安いものを買って自分でゆっくり育ててください

    p156高くてもハードカバーで読みたい本
    はてしない物語
    舟を編む
    物語の中にでてくる装丁と同じ

    本日は、お日柄もよく
    ハードカバーの表紙を外すと中からお赤飯が出てきます

    →図書館の本ばかり読んでるからこういう楽しみ方はできてないかも・・・
    (あとハードカバーは読むときに持ってて重くて・・・)
    でもこういう楽しみ方も憧れる

    p62海老屋美術店@日本橋
    残っていること自体が奇跡にも感じられる江戸後期の青びいどろ急須 48万
    幕末につくられた香炉 鉄製 なまず 28万
    薬器 うさぎ 18万8千円
    →アイテムのセンスが良すぎて気になるお店・・!お洒落雑貨屋さんみたいなかんじ。
    火鉢も現役でつかっているそう。いってみたいな

  • 一枚250万の羽毛布団があるそうだ。
    野生の鳥の巣から雛が巣立った後50gを採取するそうな。
    それを集めて羽毛布団って、やっぱりそのくらいはするよね。
    何が違って値段に反映されているのかよくわかって面白い。さらっと読める。

  • 七輪良いなー

  • こちらとそちら、どうして値段が違うのかな?

    同じに見えて、実は違う。だから値段が違う。どちらが自分に合うか、とはまた違う、それもまた一つの基準。比べてみると、面白い。

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著者プロフィール

1972 年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務後、作家・ライターとして活動。
著書に『目でみることば』『似ていることば』『似ている英語』『目でみる漢字』(東京書籍)、『基礎教養 日本史の英雄』(扶桑社)、『風雲児たちガイドブック解体新書』(リイド社)などがある。個人ブログ「おかべたかしの編集記」。

「2018年 『くらべる世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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