地域をまわって考えたこと

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  • 東京書籍
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感想 : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487812202

作品紹介・あらすじ

地域とは何か。
小熊英二が、日本の「地域」を巡り、
近代日本における「地域」というものの
歴史的あり方を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 「日本の地域をまわることによって、一つの地域にとどまらない、日本の地域一般がおかれている状況を構造的に理解したい」というのが、筆者による、本書執筆の動機だ。本書で紹介されているのは、いくつかを除けば、主に衰退しつつある、地方の市町村。それらの地域を何とか元気にしようとしている方たちの努力が、多く紹介されている。
    たまたま本日の夕刊に、2015年から2020年にかけての各都道府県の人口の増減に関しての記事が載っていた。人口が増えたのは9都府県のみ。5年間で最も人口減少が大きかったのは秋田県の▲6.2%。また、全国にある1718の市町村の8割で人口が減っており、10%以上減少した自治体も245に上るということである。
    私の実家も九州の田舎で人口減少地域である。帰省するたび、と言うと少し大げさではあるが、さびれる一方という印象を持つ。
    最近、ノマドワーカーに関しての本をたくさん読んでいた。ノマドワーカーと地域に残り、あるいは、地域に移住をして、その地域の振興に励んでおられる方では、生き方が全く違う、正反対と言っても良い。どちらが良いとか、悪いとかということではなく、平たく言えば好みの問題である。本書を読んでいると、地域での活動にもやりがいがあり得るが、どちらかを選べと言われれば、少なくとも中年までの年齢であれば、ノマドワーカーを自分は選ぶであろうと思う。

  • 地域というものに対するイメージはぼんやりとしていたものだった。地域について私のような移住者含めどのような活動ができるのかどこに今後は住むことになるのか考えるきっかけにはなった。
    ふるさとや観光地の歌は良く詠うが、今住んでいる街のことをもっととりあげてみるのもいいかもと思った。役に立つかは別として。
    隣近所はどんな人達なのか全く持ってわからないこの状況。地域センター発の単発イベントに参加するくらい。
    月並みですができるだけ地産地消の買い物、道の駅めぐり、その土地で感じる季節の花緑を探しに行こうと思う。工芸館や史跡巡りもGoogleマップ見ながら探索中。

    移住者向け雑誌で各地をまわって取材し掲載したものをまとめており、移住者視点や地域活性化活動を取り上げている。
    現地調査で置かれている構造的状況について解説。
    そこにいる人々の活動や社会関係の総体を地域と呼ぶ。市区町村は、市区町役所や村役場などの管轄範囲であるが、行政問題ではなく地域社会の範囲とは一致しない。日本の場合、集合意識の範囲の指標の一つは、お祭りが開かれる神社と、小学校の校区が挙げられる。小学校設立は明治政府で予算がないので地元社会の寄付で建てられたらしい
    福井県鯖江市の商業による地域活性化、宮城県石巻市の助成金を使わずにクラウドファンディングで補習塾、音楽会、落語会、マーケットなど地域の有志でまかなう地域活動などが印象に残った
    超高齢地域の地域パターンとして(山下祐介)村落型、開拓村型、伝統的町、近代初期産業都市、開発の早い郊外住宅地の5つの類型があるらしい。昭和ひとけた世代と、戦後生まれ世代の二つの世代人口移動が重要とされる。敗戦は、都市および製造業の急激な衰退と、地方と農林水産業の興隆という歴史の逆転現象を引き起こした。1970年代が格差の少ない時代だったという位置づけ(橋本健二)。現在その地域にある資源の点検と外部から求められるような流れ、人口構成のバランス崩れに対して移住者の呼び込み、インフラの維持などが挙げられた。

  • 小学校が廃校寸前になりつつある
    地域の友達、
    地方都市で町会議員に「志して」
    なった友達、
    できるだけ小さな町を渡り歩いて
    小さなコンサートを続けている友達、
    その友達の顔が
    ずっと思い浮かんでいました

    「小さな村」の中で
    少子高齢化、過疎化の中で
    日々の暮らしの中でできることを
    真剣に考え、気分良く暮らせる生活を
    考えている人には
    とても参考になる一冊だと思います

  • 「地域」という言葉に対してどんなイメージを描くだろうか。僕はいわゆる都市部には住んでいない。地方である。その中にも同じ市の中にも様々な地域があり、独自の文化、暮らし、自治会、人が生きている。

    この本はどちらかといえば移住をしたり、衰退する地域をなんとかして盛り上げよとしたりしていろいろな生き方をしながら活躍しておられる方々が描かれている。きっと、全国各地の様々な場所において同じように知恵を絞っておられる方はたくさんおられると思う。

    自分の住んでいる地域も同様な問題がある。この本の中にあった「その地域に住む理由がなければ人は離れていく」。納得した。自分は生まれ育ったという理由でこの地域に住んでいる「。それは問うまでもなく自分の中では当たり前のことであった。しかし、外から移住した人からすればどうだろうか。この地域はどう見られているのだろうか。

    自分が住む場所の未来はこの先どうなっていくのか。今できることは何だろう。行政としてではなく、この地域に住む人と共に考えていく時期に来ているのだと思う。

    やってやろつと思う。自分たちの次の世代がこの地域に生まれてよかったと思えるように。

  • 南牧村が、人口増のためではなく、地域資源を守るため(美容院とかスーパーが存続していくため)に移住者を呼び込む、そのためにNPO設立、道の駅などで働き口を作ってることに驚き。
    石巻は震災後に全部なくなり、新しく作る そのことにワクワクしてた人もいた。いかに新たな試みを持続定着させるかが課題。地域の委員会にお母さん枠が設定されたり、新しい枠組みもできているらしい

    高島平の例で、地域コミュニティというのは全員が包含されるものから有志が参加するものになっている、ということはなるほど。宮本太郎が言ってた、共通アセットとして相談→地域コミュニティが大事、っていうのは実現可能なのだろうか、、

    敗戦のために食料生産が大事になり、農業者増→地方人口増加 もはやそれほど食料いらないので、地方人口減少は不可避…

  • 地域について冷静に考え分析すること、地域に暮らす人をリスペクトを持って聞き取ること。その両立を達成している稀な取材記。
    再読。地域取材の方法論としても極めて具体的に学べる。研修で使ってみたい。

  • <感想>
    地域社会と都市社会のギャップ、移住者が描く理想と現実のギャップを垣間見た気がする。
    <忘れたくない要点>
    ・地域社会において問題なのは人口減少そのものではなく、それによって社会が持続不可能になったり住民の人権が守られなくなることである。
    ・意外と過疎地で、困ったことはないかとメディアや周囲に聞かれるが、買い物はネットでできるし自治体で多くのことを済ませられるから不便はないそう。
    ・人口構成が崩れ高齢者だけになったら持続は難しい。若い世代や移住者が、チャレンジ精神と愛着を持って地域に貢献することが大切。その地域にないものや必要とされていることを持っている人こそ、重宝される。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/734140

  • 小熊氏が地方のいくつかの地域を訪れ住民に生活についてインタビューし、日本の「地域」の現在地点について考察した本。住民らのインタビューから、日本の「地域」の現在地点についてリアルな点を浮き彫りにさせており大変興味深いものだった。
    また、本書のインタビューでは地域に移住した人が大部分を占めており、一部は自分と同世代の人もいた。そのような人たちが、目的があってアクションを起こし移住に至ったことを知り、現在自分が抱える今後の人生の進路についても勇気付けられるものが多かった。そのほかにも、様々な立場の人がインタビューを受けており、それぞれの考えを聞けて新鮮さが何よりあった。

  • 人への質的調査として、典型的な1日を聞くことが多い。そうすることで、その人を結節点として広がっている、地域社会の関係の網の目を探り出していける。

    ― 冒頭にある、そんな言葉の通りに、各地の人へのインタビューから見えてきた社会関係・地域性を紐解いた1冊。よくある事例紹介の本だと思ったけれど、読んでみると地理学的・歴史的な背景も織り交ぜてあって、インタビューの発言も取り入れてよく分析されているのにまとまっている、練られた本だなと思った。

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著者プロフィール

1962年東京生まれ。東京大学農学部卒。出版社勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策学部教授。学術博士。主な著書に『単一民族神話の起源』(サントリー学芸賞)、『<民主>と<愛国>』(大仏次郎論壇賞、毎日出版文化賞、日本社会学会奨励賞)、『1968』(角川財団学芸賞)、『社会を変えるには』(新書大賞)、『生きて帰ってきた男』(小林秀雄賞)、A Genealogy of ‘Japanese’ Self-Imagesなど。

「2022年 『基礎からわかる 論文の書き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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