領主館の花嫁たち

  • 東京創元社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488010164

作品紹介・あらすじ

当主の妻が死去し、悲しみに沈む領主館を訪れた女家庭教師。癒しがたい傷を負った彼女は愛らしい双子の姉妹に心を奪われていくが、奇怪な出来事が頻発し……。巨匠最後の長編。

感想・レビュー・書評

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  • 本格ミステリの巨匠クリスチアナ・ブランドの最後の長編。
    謎めいた雰囲気はありますが、推理小説ではなく、ゴシック・ロマンスです。
    ブロンテ姉妹の作品や「ねじの回転」「レベッカ」、あるいはケイト・モートンなどがお好きな方はぜひ。

    1840年、ヒルボーン一族が住むアバダール屋敷は、当主の妻がなくなり、悲しみに包まれていた。
    幼い双子の姉妹クリスティーンとリネスの家庭教師として、アリス・テターマンが雇われる。
    すぐにテティと呼ばれて家族に慕われるようになった若い女性だが、彼女もまた癒しがたい傷を負っていた。

    250年前、エリザベス朝に起きた不幸な出来事から代々、領主の妻たちは狂気に見舞われてきたという。
    信じがたい不可思議な出来事がしだいに、疑いようもなく起きていくが‥
    双子の姉妹も娘らしくなっていったが、家を離れることは亡霊が許さないかのよう?
    美しい亡霊に存在感があるのが異色ですね。
    そして、亡霊よりも、もっと怖いのは‥

    性格の違う双子の選んだ道は。
    管理人のヒルとテティは惹かれ合うが、思いがけない事情がおきて‥

    時代色たっぷりに丁寧に描きつくされる登場人物、悲劇的な愛と憎しみ。
    特異な状況の空気感まで、ありありと感じさせるのに感服しました。
    ミステリではないけれど、ブランドの読者にもおすすめ。
    なかなか、これだけの作品は読めませんよ。
    長年培った技巧を結集させたゴージャスな作品です☆

  • 古めかしい小説だ
    亡霊に取り憑かれた屋敷、家庭教師、美貌の双子の姉妹
    甘やかされた双子の妹リンの犠牲になった姉クリスティーンの最後の復讐が恐ろしい
    が、どうしてそこまで自らを押し殺していたのかが理解できない
    『レベッカ』や『ジェーン・エア』風

  • 呪われた一族の領主館が舞台のゴシック・ロマン風ゴーストストーリー。『ねじの回転』や『レベッカ』を期待して、前半は不幸な死につきまとわれた一族を見守るべく、一気に読み進めたけど、後半からはびっくりするぐらいに豹変してしまったティティや自分勝手な双子の姉妹の悲劇に感情移入できずに最後まで読み終えてしまった。呪いをかけた幽霊のせいにしているけど、実はそういうことだけでもないような救いのない人間の愛憎劇。けど、こういう雰囲気のゴシックホラーは時々読みたくなるので嫌いではない。

  • 領主館の双子の姉妹クリスティーンとリネスの家庭教師としてやってきたアリス・テターマン。妻を無くし呪いに脅えるヒルボーン。ヒルボーン家の領地の管理人であるヒル。呪いについてなにかを知り姉妹を守ろうとしているヒル。ヒルにひかれるアリス。ヒルの結婚でアリスとの関係は破綻する。死の間際にアリスに求婚するヒルボーン。ヒルボーンの死後領主館の主になったアリス。成長し婚期を迎えた姉妹に襲いかかる呪い。リチャードとレノーラの亡霊。

  • ゴシックな雰囲気満載の幻想小説。ややホラーな雰囲気もあります。
    古くからの因縁に囚われ、呪いをかけられた領主館。美しく愛らしい双子の姉妹と、傷を負った若い家庭教師。やがて彼女たちに降りかかる数々の異変。亡霊たちの策略。不気味で美しい雰囲気に呑み込まれる一作です。
    でも実際のところ恐ろしいのは亡霊よりも、生きた人間の心が数々のことによって引き裂かれ、変容し、破滅に向かっていくさま。特に双子姉妹を巡る恋情の顛末が悲しく。クリスティーンの決意があまりに悲壮。
    でも後味は悪くなく、穏やかな読後感でした。

  • 二段組だが、とても読みやすかった。館の怪異、双子……などなど、興味をひかれるワードはあったものの、登場人物がけっこう自己中で、自己犠牲すら哀れというより歪んだ自己アピールに見えてしまったな……。何より、個性を感じられる女性陣に比べて、恋のお相手である男性陣にこれという魅力がなかったのが残念。

  • ミステリのブランド最後の長編は、呪われた一族にまつわるゴシック・ロマン。『ジェイン・エア』好きはお屋敷、領主、家庭教師、と気になる要素がたくさん。〝双子〟というキーワードからも様々な妄想が膨らむ。自己犠牲は周囲にとってもじつはプラスにはなっていなくて、これしかないという思い込みの選択肢の少なさは致命的でさえある。だってこれ奪いあうほどのおと……

  • てっきりミステリだと思って途中まで読んでいたが、ジャンルを分けるならゴシックホラー小説。
    ある古い屋敷を舞台に、先祖の因縁、呪い、そして亡霊と、道具立てと雰囲気が素晴らしい。
    当初からいる男女2人組の亡霊はそこまで怖くはないのだが、終盤に登場人物の1人が亡霊になってしまうところは迫力があって良かった。

  • 「美麗にして凄絶」ワクワクします。。。山本ゆり繪のカバー画も雰囲気充分だわ、、、

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    「当主の妻を若くして失ったその領主館は、悲しみに沈んでいた。そして、愛らしい双子の姉妹の家庭教師として館に訪れたテティもまた、癒しがたい傷を負う身であった。瓜二つの姉妹に慕われ、生きる希望を取り戻していくテティ。だが、館に頻発する怪異が、テティと双子の姉妹の運命を容赦なく翻弄していく……。ブランドが持てる技巧のすべてをつぎ込んで紡ぎあげた、美麗にして凄絶なゴシック小説。巨匠の最後の長編、遂に登場! 解説=戸川安宣」
    illustration gallery of yurie yamamoto
    http://www5.ocn.ne.jp/~yyy/yuriko/

  • 数年来積読となっていた本書を読了。

    ゴシックロマンとはこういうものなのかもしれないが、個人的に全く刺さらなかった。

    屋敷に巣食う幽霊との対決の流れになったところだけは盛り上がったのだが。

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著者プロフィール

Christianna Brand

「2007年 『ぶち猫 コックリル警部の事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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