- Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488010201
作品紹介・あらすじ
西洋怪奇小説の鉱脈は、汲めども尽きぬ宝の山――稀代の碩学が満を持して贈る、至高の怪奇幻想文学アンソロジー第1巻。本邦未訳作を含む14編。
感想・レビュー・書評
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全3巻予定の怪奇文学アンソロジー、第1巻。
収録作もさることながら、序文と各作品に関する詳細な解説も充実しており、読み応えがある。特に戦前の、本邦における怪奇文学受容の歴史は興味深い。
怪奇文学とはジャンルがまるで違うが、吉田健一が戦前の洋書入手に関するエッセイを書いていたことを思い出す。吉田によると、こと洋書・洋雑誌の輸入に関しては、戦前の方が日本での発売も早く、洋書を扱う書店に行けば気軽に手に入れることが出来たそうで、逆に戦後になってからの方が発売までの時間もかかり、簡単ではなくなった……という話。
収録作品は19世紀という時代を反映してか、特に第Ⅰ部では恐怖譚でありながら何処かのんびりとして、のどかな雰囲気すら漂うものが多い。それが第Ⅱ部、第Ⅲ部になるに従い、徐々に読み慣れた怪奇小説の形になって行くのが面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「19世紀再興篇」。古い怪奇小説はたしかにモダンホラーに比べると刺激には欠けていますが、でも独特の雰囲気があって、読めば読むほど引き込まれます。まえがきや作品解説で、当時の時代情勢や背景などを知ることができる点も魅力的。山脈というよりも沼かも。ずぶずぶとはまっていきそうです。
お気に入りはキャサリン・クロウ「イタリア人の話」とロバート・W・チェンバース「使者」。どちらもザ・怪奇小説! という印象の要素に満ちていて、不気味さ満載。読んでいる最中ずっとぞくぞくさせられっぱなしでした。
クレメンス・ハウスマン「人狼」も印象的。タイトルでもうあの人の正体が人狼だっていうのは最初からわかっているけれど。あのスピーディな追跡劇といい、ものすごく読まされる作品でした。 -
荒俣宏編纂の怪奇文学アンソロジー第一巻は、18世紀後半ドイツ・ロマン派の幻想詩「レオノーレ」に始まり、怪奇文学が花開いた19世紀の作品を中心に計14編を収録。“時代の空気を吸いながら”作品を読めるようにと、解説とまえがきで90ページ以上、図版も多数。作者・作品背景だけでなく、西欧の怪奇幻想がどのように日本で受け止められたかという視点も盛り込まれ、ずっしりとくる情報量に嬉しい悲鳴が出る。クレメンス・ハウスマン「人狼」(1896)が印象的だった。人を魅了する冷酷な人狼と、彼女を命がけで追いつめる青年との疾走シーンが美しい。全三巻
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小学生のころ、学校の図書館にあった古い海外の怪談集をワクワクぞわぞわしながら読んだのを思い出した。
そうそう、こんな感じで淡々と続く世界が怪しくてとてもすきだったなー。
解説はまだ読んでないけど、きっと面白いんだろうな -
初めて読むものばかりで楽しめた。
良い本だけど、ちょっと大げさな気もした。
怪奇小説は繰り返し読みたいので、できれば文庫でも出してほしいな。 -
「人狼」がおもしろかった。翻訳の日本語がきれいなのも、とても読みやすくてよかった。
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面白かった!
この濃さ。
言ってほしいこと知りたいことに漏れなく言及してくれる解説。資料もおそらくこれみんな荒俣氏の私物なんだろうなあ、と思うと、氏の造詣の深さ広さに、唸ってしまいます。
もちろん2も3も期待。