愛の裏側は闇(2)

  • 東京創元社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488010331

作品紹介・あらすじ

罪を着せられて寄宿制の修道院学校に送られてしまったファリード。一族の血の束縛と運命に翻弄されながらも、孤独と絶望を乗り越え、懸命に成長する少年の姿を描く第2巻!

感想・レビュー・書評

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  • 第2巻。1作目を読んだ時の血の気の多い印象で読み始めると、あら、どうした。アラブ版ロミオとジュリエットの、ロミオの少年期から青年期にかけて描かれる。いわゆる思春期ってやつよ。積み重なっている物が崩れ去る以前の、まだ積んでる時期なので、辛いことも経験するが、そのせいで、人が死んだりとかはあんまりない。言い方はよくないが、文化的に発展しにくい?地域は、やっばりセックスに傾倒しがち?田舎とかそうだよね。都会の文化人は、性を芸術としても捉え、理想化してしまい、手を出しにくいのかも。

  • 時間がない中ようやく2巻目読了。嵐の前の静けさ的な章。息子のために最強になる母パートが笑った。

  • 恋人たちと激動のシリア近代史の物語の第2巻。敵対する一族の歴史が主だった前巻とは変わって、本巻はファリードの少年期・青年期を描く。

    ファリードに焦点が絞られたため描写は前巻より深まった。1940年代のダマスカス市民のいきいきとした生活風景や、腐敗したカトリック修道院の寄宿学校で懸命に生き抜く少年たち(悲劇的な結末を迎える者もあるが)が力強く描き出される。

    シリア国内では度重なるクーデターの上に新たな政治思想が流入し、イスラーム諸派・ユダヤ教・キリスト教諸派が共存してきた社会が揺らぎ始める。不穏な空気が濃くなっていく中ラナーと密かに逢瀬を重ねるファリードも、ちりちりとした不安を肌に感じる。このあたりは実感を込めて語られ、全体のトーンも重くなってくる。しかし物語の面白さと読みやすさは健在である。

  • 第2巻。
    ゆっくりとだが時間は進み、主人公とその恋人も徐々に変化してゆく。
    政情不安も相俟って続きが気になる。

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著者プロフィール

著*ラフィク・シャミ(Rafik Schami)
1946年シリアのダマスカス生まれ。亡命後1971年よりドイツ在住。1982年以降、作家として活動し、世界150万部のベストセラー『夜の語り部』や『空飛ぶ木』『言葉の色彩と魔法』(以上、西村書店)などを発表。ドイツ語圏におけるもっとも成功した作家のひとりであり、作品は30以上の言語に翻訳されている。1987年、『片手いっぱいの星』(岩波書店)でチューリヒ児童文学賞、1993年、ドイツ語を母語としないドイツ語作家に贈られるシャミッソー賞、2010年、『愛の裏側は闇』(東京創元社)でIPPY(独立出版社書籍賞)ゴールドメダル賞、2011年、忘却に抗し民主主義を支援する文学に対して贈られるゲオルク・グラーザー賞など、受賞多数。

「2022年 『ぼくはただ、物語を書きたかった。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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