- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488010522
作品紹介・あらすじ
「きさまは恋に落ち、自分の王国を手に入れる」皇帝軍の兵士だったとき、おれは死神を見た。死神の手を逃れ、森の中で出会ったのはサファイアーという名の少女。おれたちは恋に落ち、そして……。元兵士の若者オットーが深い森で出会う男装の美少女、狼の怪物、城に住む恐ろしい魔女。文豪アンデルセン最初期の作品に、カーネギー賞受賞作家サリー・ガードナーが新たな息吹を吹き込む。不思議と怪奇が詰まった美しくも不気味な物語。
感想・レビュー・書評
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アンデルセンの童話が、読者を美しくも禍々しい場所に引きずり込むダークファンタジーに生まれ変わった。「若い人も読みやすいように」と添えられたデイヴィッド・ロバーツの挿絵も素晴らしい。一気に読めるがその結末に唖然、お腹にずしりと重いものが残る。
アンデルセンの「火打石」は読んだことありましたが、ずいぶんアナーキーな話だなと思いました。アンデルセンが「即興詩人」で一発当てた後に書いた子供向けの童話だったのですが、子供向けというだけで世間の評価は芳しくなかったようです。
〈原作〉では主人公の兵士は戦地から故郷に戻る途中ですが本作では脱走兵。オットーという彼は、逃げる途中で死神に出会い、うまくやり過ごすことができます。そこから彼の運命は思わぬ方向に転がり始めるのですが、彼には常に戦争の悪夢が付きまといます。家族を殺され、兵士にならざるを得なかった少年が幸せを手にすることができるのか。戦争が齎す悲劇という重いテーマが読後にのしかかります。
著者は物語の舞台を欧州の三十年戦争に置いていますが、戦争の暴虐は今も続くロシアによるウクライナ侵攻にも通ずるところがあり、決して過去のものではないことを痛感します。夢でも魔法でもない現実に向き合う糧がこのファンタジーにはあるように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アンデルセンの「火打箱」を基に、ドイツ30年戦争の時代に舞台設定したホラー風味の幻想的な話。最後の展開なんかは、ビアスの「アウル・クリーク橋の出来事」なんかも彷彿とさせる。挿絵も物語の本質をよく表していて不気味でよかった。
サリー・ガードナーさんは公園の人形(またしても人形)のお話を書いた人だね。 -
うーん、何かの本でオススメだったんだけど・・・
イマイチでした★ -
思った以上にダークな物語でした。横書きであること、沢山の挿絵が不思議な世界とよく合っていて、魅き込まれます。画家の他の作品や、アンデルセンの火打ち箱も読みたくなりました。
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ダークな世界観。
大人向け童話という感じでした。
子供の絵本のようにイラスト満載なのですが、どれもちょっとゾッとする絵(笑)
ラストも・・・・。
アンデルセンの「火打箱」を読んだことがないので、そちらも読んでみたい。 -
ガードナーが、アンデルセンの「火打箱」に触発されて書いたファンタジー。挿絵のない本を読むようになってしまった大人たちに思いを寄せて、ミステリアスなディヴィッド・ロバーツの挿絵を添えて。
怖かった…。 -
挿絵、モンタギューおじさんの怖い話の人だったんですね。絶妙です。最高にあってる。
内容はすごく面白かったけど、何この最後のどんでん返しはという感じ。 -
とにかくおもしろくて、先が気になって、どんどん読めた。
人間の嫌なところが、これでもかというくらい描かれている。
なんとなく、ロールプレイングゲームのように進んでいくところもおもしろかった。
最後の結末には驚いたが、これが現実というものなのかも。