- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488010881
作品紹介・あらすじ
IT企業の激務で疲れはてたロイスを救ったのは、近所の宅配レストランのパンとスープ。親しくなった店主がアメリカを去るとき餞別にもらった不思議なパン種(夜中に歌いだしたり、完成したパンに笑顔が浮かんだりする)でパンを焼きはじめた彼女は、思いもよらぬ体験を次々することに!? 不思議なパン種を巡る奇妙な一族の物語、ロボットアームを駆使したパン作り、謎の地下ファーマーズ・マーケット……。『ペナンブラ氏の24時間書店』の著者がサンフランシスコを舞台に描く、奇想天外で爽やかなフード・エンタテインメント!
感想・レビュー・書評
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日々の労働に疲れ果てていたロイスが気まぐれで頼んだデリバリー。その美味しさにつられて常連となったもののその店が閉店することになり、彼女はパン種を譲ってもらう。そのパン種は実に奇妙で、夜中に歌ったり出来上がったパンに笑顔を刻んだりさせる…
というなんだなんだという序盤から、あれよあれよと不思議な世界が展開していきます。やたら規模の大きな謎の地下マーケットや代々受け継がれるパン種の秘密、そしてロボットアームが卵を割りパンをこねる……コメディのようで実際読んでいて笑える描写や比喩も少なくないのですが、その実、活力を見失っていた女性が自己を取り戻し生きる道を見つけていくお話でもあり、彼女の行動や選択ひとつひとつを気持ちよく追っかけて読んでいくのでとても軽やかな気分になれました。
こういう話では、だから現代のシステム化された労働は!ブラック企業は!自然こそ素晴らしい!みたいな極論に走りそうですが、そんな単純には描かれてないのが子の本のいいところです。
先端技術開発に携わる女性が主人公が、その現代の最新技術を生かしてこその展開になっています。つまり「文明と文化の共存」が楽しく愉快に、ちょうどいい程度のファンタジックさを添えて描かれているんですね。そのバランス感覚がちょうどいいな、と思えました。
海外文学はどうしても合うかな、どうかなと考えながら読み始めるのですが、序盤の文体の軽やかさから一気に話に惹きこまれて、大変楽しく読ませて頂けました。 -
現代的であり、ファンタジーでもあり、
ロイスの性格がいいせいで出会う事柄が面白い方向に進む。
面白い小説でした。
パン食べよう。 -
こんなお話も書けるんだ~~
タイトルが不思議だったし
表紙も・・・
中身は最高!! -
IT企業の激務に身も心も疲れ果てたロイスを救ったのは近所の宅配レストランのスパイシースープとサワードゥ。
サワードゥってなんだ?って感じでしたが、普通のパンとはちょっと違うんですね。レストランの店主から餞別で分けてもらったパン種をきっかけにパン作りに熱中していくロイス。
読後はパンを作りたくなりました。出版社の中の人たちがホームベーカリーにハマってしまった理由も納得。長い時を受け継がれているパン種と最先端テクノロジーの融合もなかなかおもしろいテーマ。明るい未来を感じさせる終わりで読後感もよかった。 -
図書館で。姉が面白かったよ、というので借りてみました。
サワードウ、天然酵母パンだと思ってたんですがそうでもないんですかね。海外ではそちらの方が主流というのはよくわかる気がする。
日本のふわふわのカロリー高そうなバターやら牛乳やらの入ったパンよりも、みっちりどっちりしたパンの方が自分も好きだな。何より食事には合う気がする。
というわけで謎の兄弟からパン種をもらったプログラマーのスローライフ回帰、みたいな話。個人的には人からもらったパン種ですぐに商売に持っていく辺りアメリカ的だなぁと思う。というか、食品を売るのに調理師免許とかそう言うのは必要ないんだろうか?小説だから割愛しているんだろうか?ま、それはそれとして。
得体のしれない出自だけど、出来たパンが美味しいから!と作って近所に配ったり職場の同僚に配るのはわかる。でも食堂に卸してくれと言われて快諾する辺りからんんん?と言う感じ。私ならパン種をくれた兄弟に断ってからとか、体制を整えてから(例えばロイス会とか隣人に共同事業を持ちかけるとか)出店しようかと思うけど…良くも悪くも個人主義だなぁ、アメリカは。後は修行もせず自己流で作ったパンに絶大の自信を持つのもちょっとんん?と言う感じ。主人公は別にパン職人になりたい訳ではないんだろうけど…。だったら売るとか有名になるとかそう言う方向じゃ無くて職場の食事改善とかそういう方向に行けば良いのになぁとか思いました。 -
IT企業に勤務し疲れ果てたロイスは、近所の宅配レストランのパンとスープに活力をもらう。その店主が去る際に譲ってくれたパン種は実に不思議。歌を聴いて育ち、焼き上がったパンには笑顔が浮かぶ。
パンを作るのが好きなので読み始めた作品ですが、これは一体ファンタジーなのか何なのかと思いながら読み進めた。
ロボットとの融合、菌の増殖が出てきたりと、読み終わってみれば現実的な部分と少しのファンタジー要素が混ざり合った話なのかと思うが、そういうのはあまりこだわらずに読んだ方がいいのかもしれない。
読んでたら尚更読みたくなりました…ふ、懐具合が…
読んでたら尚更読みたくなりました…ふ、懐具合が…