冬のスフィンクス (創元クライム・クラブ)

  • 東京創元社 (2001年8月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (325ページ) / ISBN・EAN: 9784488012878

みんなの感想まとめ

夢と現実の境界が曖昧な幻想的なミステリーが展開され、読者を不安な気持ちにさせる作品です。特に二章の終盤からの謎解きはテンポが上がり、緊張感が増します。美しい絵画的な描写が随所に散りばめられ、登場人物た...

感想・レビュー・書評

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  • 結構好きだ。連城三紀彦の某短編の夢想バージョンみたいな動機だ。
    (ネタバレ?)
    夢が紛うことなき夢であり、記述が全て正しいと仮定すると以下の点は謎のまま残るだろうか。
    1. 楯と妹は会ったことがないのに夢に登場するビジュアルが一緒
    2. 姉は「亜久が失踪した」という口実で楯を読んだが、実際には亜久は書斎にいた
    3. 夢の中の状況と同じように、椅子で死んだように眠っていた亜久

    1番は亜久から話を聞いていた。写真を見てから夢のイメージが書き換えられた。実は楯と妹は関係を持っていた等で説明可能。1番ありえそうなのは楯が神田の小説を読んでいたということで、楯が見た夢の内容は神田の小説に自身の抑圧された無意識下の性愛(京子)をプラスしたというところか。
    2番と3番は楯の夢でなければ、単純に姉が嘘をついているということだ。亜久が失踪したと思い込み、姉は楯を呼んだが、なんらかの理由で変更せざるを得なかった。それはつまり、楯を呼んだ後に亜久が帰ってきて、何らかの理由で殺してしまったということだろうか。おそらく動機は妹との不倫が発覚したとかそんなところだろう。妹を淫乱な女として小説のキャラにした神田は慧眼であったのだろう。また、椅子の上で死んでいたのも、小説に準えて捜査を攪乱&神田に押し付けとかそんなところだろう(適当)
    まあ他にも矛盾点はありそうだが本格推理として決着させるにはこんな強引な解釈しかない。ただ、無難に幻想ロマンス小説として読む方が面白いかな

  • ミステリ。幻想。夢。
    うわー、複雑。どれが現実でどれが夢なのか、読んでいて不安な気分になってくる作品。
    二章の終盤、謎解きが始まってからはテンポアップし、なかなか良かった。
    幻想ミステリでは小林泰三『アリス殺し』が好きだが、今作はより幻想よりで、異質な読後感を味わえた。

  • 目次の「推理小説風の発端」「探偵小説風の展開」「読者への挑戦状?」にワクワクさせられる。夢の中で殺人が起こり、楯経介は探偵と名乗ってしまう……、という導入も良い。夢や絵に関する蘊蓄もちりばめられていて、筆力は確かだと感じさせるし、楽しい。途中までは普通に面白かった。

    ところが、解決方法が「知るはずのないことを犯人が喋った」……って。まったく論理的でないし、これで挑戦状?とかなりガッカリしてしまった。

    京子とのロマンスも「うーん?」だ。飛鳥部さんのロマンスはちょっとズレている気がする。「堕天使拷問系」の時もそう思った。恋愛に重点が置かれている話とは思わなかったので、恋愛要素が大きくなるにつれて「なんか違うなあ」というモヤモヤが募った。

    亜久直人が結構カッコよかったので、ラストは起きないのか、と少し残念。

    夢の中で先生にソフトボールに誘われるくだりは、根拠はないが飛鳥部さんが見た夢をそのまま書いたのでは、という気がする。不可解だし、不思議な質感があって気になった。

    あとがきの「ボンカレーおばさんの恐怖」には笑わせてもらった。

  • ううむ。夢と現の区別がつかなくなっていくというか、作中作というか。

    随所に現れる絵画的な描写は美しい。かつ、登場人物も絵画的な美男美女が多いので、いろいろなシーンを非常に頭の中でイメージしやすい作品であることは確か。
    ただ、非常に「静か」な作品で、各キャラクターは私の頭の中でイメージできるものの、あまり「動かない」。まさに絵画を見ているよう。

    美しいモノ、幻想的なロマンであることは確かだが、私は手放しでは楽しめなかった。自分の好みは、頭の中でドラマのようにキャラクターが動いてくれる作品であって、多分、こういう静かな耽美系の雰囲気苦手なんだ。。。
    こういうのが好きな人はたまらないんだろうなぁ、というのは何となく判った。

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