HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

  • 東京創元社
4.10
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感想 : 191
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  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488016555

感想・レビュー・書評

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  • 第2章からの緊張感、緊迫感は凄まじいものでした。
    第1章から述べているようにいかに著者がこの事件について調査し、資料を集めた上で、著者の文才になせる技だと思う。

    しかし、そこまでに到着するまでが読んでいる自分にかなり混乱をさせる語り口で、著者自身のことを書いてるのか、ストーリー部分を書いているのか、他作品の批評をしているのか、かなり散漫で何度も私の眠気を誘いました。

    ・当時の史実の基礎知識がある人
    ・“文学作品“に造詣が深い人

    上記のような方には強くお勧めしたい作品です。
    この事件におけるストーリー描写は紛れもなく素晴らしかったです。

  • 2021.06.15 図書館

  • ホロコーストを立案したナチス高官の暗殺作戦を書いた作品なんだけど、その書き方(実在の人物や事件の書き方)に悩む作者の心の声も書いているという謎な構成の作品。
    面白いと言いづらいのは現実に亡くなった人の多さと深刻さのためです。

  • 購入して再読予定

  • 時は第二次世界大戦中の1942年。チェコの首都プラハは、「第三帝国で最も危険な男」ラインハルト・ハイドリヒが統治しています。このナチ幹部を、二人のチェコスロバキア軍青年兵が暗殺する計画「類人猿作戦」を描いた作品です。

    全体をとおして、とにかく書き方が独特です。歴史小説はこんな風に書けるのか!という驚きと、著者の執念や主人公たちへの敬意を感じました。また、どんどん変わる視点、短く区切られた章立てに、ぐいぐいと引き込まれていきました。特に、§206から§222にかけては息をのむ展開に夢中になってページをめくりました。

    戦中の写真や映像がどれも白黒だからかはわかりませんが、この時代はたとえその日が快晴だったとしても、世界中が重くどんよりした曇り空に覆われているような印象を持ってしまいます。『1942年のプラハには、白黒写真のような雰囲気がいやおうなく漂っている』(§193の冒頭)の一文が、私のこの時代の印象をまさに言い当てています。この作品も多分に漏れずそのような雰囲気です。
    ですが、祖国チェコスロバキアに鮮やかな色彩を取り戻すため、勇敢に戦った人たちがいる。それを教えてくれる物語でした。



    -----以下、ネタバレ内容を含みます-----

    著者が抱いているガブチーク、クビシュ、そしてチェコの勇気あるレジスタンスたちへの敬意を表すのにもっとも向いていたのが、この徹底した史実主義と著者目線の物語口調だったのかな、と思いました。

    ところが、§131から、一気に主人公二人と同じ立場から物事を見るような視点も含まれていきます。この章の最後の「これから〈歴史〉に参入するところだ」。あくまで彼ら自身の視点ではなく、著者自身が、読み手それぞれ自分自身がその時代にタイムスリップし、彼らの息遣いを間近で感じるような、そんな描写です。

    §150では、著者の歴史に対する思い、チェコスロバキアのために戦った人の思いが書かれています。物語に直接関係があるとは言えないこの一章ですが、この章こそがもっとも著者が伝えたかったことなのではないかと思いました。彼らへの敬意です。

    そして何より、§206から§222にかけての、ハイドリヒ襲撃のシーンの臨場感がものすごいとしか言いようがない。ガブチーク、クビシュ、ヴァルチークの緊張感がこちらにまで伝わってきます。あんなに入念に確かめたのに、ステンがなぜか発射しないことによるガブチークの焦り。意を決し爆弾を投げたクビシュの覚悟。街中を逃げるシーンは、追手が巻けるかどうかハラハラしながら展開を追いました。
    この中では、なんといっても§217。これは誰目線なのか。妻リナが第三者目線から語っているのかと思いましたが、あまりに客観的すぎるし、やはりここは誰の設定でもなく読むべきなのでしょうか。実際の時間にして数秒から数十秒の出来事が、スローモーションのように目の前に現れる見事な描写だと思います。

    そしてもう一つ、最後の山場である納骨堂のシーン。一見無関係そうな日付が並んでいます。現代です。著者がこのシーンを書いている実際の日付でしょうか。著者はまさに1942年に同化しています。それくらい思いをはせてこのシーンを書いたのだろうと思いました。

    最終章、§257は、のちに英雄となるガブチーク、クビシュ二人の出会いのシーンを描いています。
    なぜだかはわかりませんが、柔らかなハッピーエンドに感じました。

  • 2019年封切り「ナチス第三の男」の原作。
    映画も面白かったが原作のほうが更に面白い。「僕」が語る現在と過去が入り交じった257の断章は映画のメーキングを見ているかのようだった(登場人物の顔が見分けられなくて、映画鑑賞時はレジスタンス/ナチス/レジスタンス協力者くらいの分類でしか理解出来なかったのがすっきりしたし)。
    著者のローラン・ビネはこれが小説第一作とのことだけど、第二作は書けるのか?心配になるくらい凄い出来だ。

  • 戦争をフィクションの題材にすることへの逡巡と誠意を示す形式のひとつなのだろうと思う。終盤、意図的に作者の登場頻度を減らしてからの対象との接近方法が力強い。

  • 文学

  • 読みました。良書でした。

  • ふむ

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