蝦蟇倉市事件1 (ミステリ・フロンティア) (ミステリ・フロンティア 50)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017354

感想・レビュー・書評

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  • 始めの二作は著者名をふせられても当てられそうななるほど納得な作品。後の三作品の著者は読むのが初めてでした。同じ町を設定しながらも五人五様の雰囲気の違いが面白かったです。格闘技嫌いなのですが「Gカップ・フェイント」楽しめました。

  •  架空の街“蝦蟇倉市”を舞台にした推理小説アンソロジー。

     図書館本。
     う~ん、真相がわりと透けて見えてしまう作品が多かったかなあ。
     わざとやってるのか不明だが、一般的な常識とはかけ離れた部分が目に付く作品もちらほら。
     架空の街をわざわざ舞台にした意義が感じられないのも残念。作品Aで出たものが作品Bで言及される、という程度でしかなく、もう少し何かプラスアルファがほしい。
     気軽に読み流すにはいい感じだが、ガチで本格に浸りたい方は止めておいた方がいいかも……。


    ◇道尾秀介「弓投げの崖を見てはいけない」
     トンネル内で発生した交通死亡事故。救助も通報もせずに現場から去ったもう一方の当事者の行方を警察は追うが……。

     この作品は、ほぼ同じ蝦蟇倉市を舞台にした道尾秀介単独の作品「いけない」に加筆修正して収録されている。そちらの方が状況がより詳しく説明されており、登場人物の動きも分かりやすくなっている。
     本作は修正版とは別物として読むのが良いのかもしれない。修正版でより明確になった真相を本作に持ち込むと、他の収録作と齟齬が出てしまうので……。


    ◇伊坂幸太郎「浜田青年ホントスカ」
     蝦蟇倉市を初めて訪れた青年・浜田。先行きに思いを巡らせていると、妙な男性に声を掛けられる。男性は“相談屋”なるものを営んでおり、そこで働かないかと言うのだが……。

     作者の強烈な個性は抑えめだが、らしさも残っている作品。「グラスホッパー」等に比べ、かなり万人向けで取っつきやすい。伊坂作品だということを忘れるくらい、すんなり読めた。


    ◇大山誠一郎「不可能犯罪係自身の事件」
     不可能犯罪の絶えない蝦蟇倉市には警察内に“不可能犯罪係”という部署がある。その一員である真知博士が自ら体験した不可能犯罪を語る。密室で起きた殺人事件を博士は解明できるのか、そして10年前の足跡なき殺人事件の真相は?

     手掛かりやら何やらミエミエなので「ユージュアル・サスペクツ」みたいな方向へ行くのかと思ったのに…………そのまんまだった!!! ひねりなんて無かった!
     一応、ホワイダニットの方が肝らしいのだけど、これはあァァァんまりだァァアァ! まさに論理のためだけの犯行、論理のためだけの動機。漫画でもなかなか無いよ、今どき……。
     ちょっとあり得ないことを警察がやっていたりもするし。まさかそれも、蝦蟇倉名物の不可能犯罪だというのか?!
     ここまでトホホな話を書く作家さんだとは思ってなかったわ。


    ◇福田栄一「大黒天」
     和菓子店を営む祖母が入院した。原因は、店に飾ってある木彫りの大黒天。この像を祖父に盗まれた、何としても返してほしいと訴える人物が現れたという。孫の輝之は、やる気満々の姉と共に真相究明に乗り出す。

     足で稼ぐタイプの、ややおっとりした雰囲気の推理小説。真相はある程度透けて見えるもののあまり推理のしようがなく、蝦蟇倉観光気分でストーリーを楽しむのが吉。
     姉の職業をずっと伏せているけど、まさかそれが推理の目玉じゃないよね?!


    ◇伯方雪日「Gカップ・フェイント」
     格闘技大会・グラップリングワールドカップが蝦蟇倉市で開催される。地元代表としての出場権を手にした高校生・ナギ。しかし初戦当日、銅像の下敷きになった死体が発見される。不可解な事件の真相は?そして大会でのナギの結果は?

     名前だけ知っていて初めて読んだ作家さん。
     うーん……かなり無理があるとしか。格闘技大会との絡みは面白いんだけど、トリックは無理すぎ。あれを誰一人気付かないって、ええ~?としか言いようがない。読者が知り得ない事実を出してくるのもちょっと……。
     ノリがラノベっぽいのも、好き嫌いが分かれるところ。無理にミステリー仕立てにせず、格闘技小説の方が面白いんじゃないかな?

  •  仕事途中の時間調整に一瞬寄った図書館で、不意に目に留まったのです。
    「ああ、コレなんか運命的・・・・」と言う感じて手に取った「蝦蟇倉市事件Ⅰ」です。
     蝦蟇倉(がまくら)市と言う架空街を舞台に、5人の作家が書いた短編集です。結果的には、「運命じゃなくて、偶然的普通の出会い」でした。


    弓投げの崖を見てはいけない(道尾秀介) ★×3
    浜田青年オントスカ(伊坂幸太郎)★×5
    不可能犯罪係自信の事件(大山誠一郎)★×1
    大黒天(福田栄一)★×4
    Gカップ・フェイント(伯方雪日)★×3


     個人的な好みが大きく影響していますが、伊坂さんのが群を抜いてる感じ。ただし、内容的には絞めに持っていけないので、真ん中に置かれたのですかね。
    大山さんのは、何書きたかったんでしょうね。「?」でした。
    福田さんの大黒天が、以外(失礼)に面白かった。

    コレの2作目もあるらしい。
    米澤穂信さんが参加してるのが気になります。

  • これまた伊坂目当ての一冊。

    にしても、同じ舞台を描いてるのに、
    全然違う光景に見えてしまうのがすごいね。

    伊坂が良かったのはそうなんですが、
    福田栄一さんが意外に良かった。

    特にひねりを入れているわけでもないんだけど。

  • うーん、まぁまぁ

    完全伊坂目当てでした。

    どれもそこそこな感じ

    道尾が一番おもしろい

  • 総勢11人の作家が作り上げた仮想の町『蝦蟇倉市』を舞台とするアンソロジーミステリーの上巻。
    道尾秀介の作品は上巻の中では断トツ。
    一度目は素直に騙されて読み返し、後書きで慌てて三度読み。
    ただし、初版は69ページ16行目に「致命的な誤植」があるのでご注意を。
    ×「七時二十五分」→○「六時五十八分」 詳細は公式サイトを参照してください。
    次点では福田栄一が面白かったです。素直に続編を読みたくて、姉の活躍をまた見たいと思いました。彼女の上司が道尾作品の「あの人」というのも面白かった。
    ただ、「お祭り騒ぎ」という側面から見るとこの両氏の作品は「真面目すぎる」かもしれません。
    二本目の伊坂作品は、道尾氏の作り上げた世界観を和らげ、悪く言えば「ちゃかした感じ」になりました。個人的には少し蛇足だなと感じましたが。
    残る大山・伯方両氏の作品は、この『蝦蟇倉』をギャグ方向に大幅に修正したと思います。
    方向性がすごく違う作家さんたちなので、全部がお気に入りってことはない本だと思いますが、企画モノとしては面白い一冊でした。下巻も読みます。

  • 架空の都市を舞台にしたさまざまな不可能犯罪を描いたアンソロジー。こんな街、なんだかどこかにありそうな気がしますよ。少し行ってみたい、けれど住みたくはないですね(笑)。
    お気に入りは道尾秀介「弓投げの崖を見てはいけない」。はい、完全に綺麗に騙されました。やられたなあ。そしてあとがきを読んだ後で、ラストの謎にも挑戦。たぶん分かったような気が……するかな?

  • 前半はなかなか面白く読ませていただきました。
    これぞミステリアンソロってかんじ。

    後半部分は…うーむむむ。

  • 不可思議な事件を、扱ってくれるのは構わないのだが、なんとも中途半端な感じが強い。

  • 蝦蟇倉市という架空の街を舞台に5人の作家が書いた物語。
    道尾先生の話が一番面白かったかな。
    福田先生の「大黒天」も以外に面白かった。

    弓投げの崖を見てはいけない(道尾秀介)
    ・車の事故ミステリ
    浜田青年ホントスカ(伊坂幸太郎)
    ・相談屋ミステリ
    不可能犯罪係自信の事件(大山誠一郎)
    ・10年前の事件と現在の事件ミステリ
    大黒天(福田栄一)
    ・おじいちゃんミステリ
    Gカップ・フェイント(伯方雪日)
    ・格闘技ミステリ

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

道尾秀介の作品

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