インディゴの夜ホワイトクロウ (ミステリ・フロンティア 49)

著者 :
  • 東京創元社
3.32
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本棚登録 : 243
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017521

作品紹介・あらすじ

スタイリッシュで、個性的なホストが集うclub indigoはオープン三年目を迎え、リニューアルを決定。ある伝手で有名インテリアデザイナーに内装を依頼した。改装工事の間、店は仮店舗で営業することになる。そんなバタバタの中、ホスト達はそれぞれトラブルに見舞われて…。ジョン太、アレックス、犬マンがプライベートで巻き込まれた事件の顛末に加え、indigoリニューアルに絡む騒動まで勃発。ますます快調なシリーズ第三弾。ホスト探偵団は、今日も夜の街を駆け抜ける。

感想・レビュー・書評

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  • 再読シリーズその6。
    個性的なホストクラブ<club indigo>の面々が事件解決に挑む第三作。

    前作「チョコレートビースト」のその後が知りたくて読んだのだが、そちらは全く触れられず。やはりそうだったか。ああいう魅力的なキャラクターもあっさり斬り捨てるのが加藤さん、その潔さも好きだけど。

    今回の作品は番外編というか箸休めというか、ちょっと軽めの話がいくつか入る。
    シリーズとしてはオープン三年目を迎えて改装することになり、なぎさママの伝手で何故かタイ料理のお店を借りて仮営業するという設定。
    その間、ジョン太、アレックス、犬マンそれぞれが自分のテリトリーで起きた事件を解決しようと奔走する。
    いつもとは違って彼らのプライベートや彼らの内面が少し分かるのがサービス要素というところだろうか。

    ジョン太の片思いの行方と落書き事件、アレックスのスランプとキックボクシングジム大ピンチという二つの事件はサックリという感じで解決する。ジョン太の恋愛についてはまだ先行き不透明だが。ホストという色恋商売ながら現実の色恋になると不器用というのはジョン太らしくて良い。
    アレックスのボクサー仲間、リングネーム「ボンサック」も良い味出していた。ただ強くて試合に勝てば良いというだけではプロになれないのだな、と涙ぐましい努力に応援したくなる。

    犬マンの話はちょっと路線を変えて殺人事件。とは言っても巻き込まれ型で仕方なく捜査に付き合わされているという状況なのだが、さすが何でもそつなくこなす犬マンだけに話の聞き方も進め方も淀みない。最後だけはちょっと調子が狂ったか。タクミも今後が気になるキャラだが、やはり出てこなかったような気がする。

    最終話で表題作の「ホワイトクロウ」は『白戸』という姓だが黒づくめファッションの女性客、通称『クロちゃん』(黒と烏のクロウをかけて)失踪事件をホスト探偵団が追う話。ここに来てようやくインディゴシリーズらしくなってくる。
    さらには先に書いた、<club indigo>の改装工事もこれまでの三話も関わって来て面白くなってくる。

    このシリーズの面白いところは、どれだけ晶やホスト探偵団たちが活躍しても表立ってアピール出来ないまたはしないこと。
    晶と塩谷は本業の手前<club indigo>のオーナーであることは秘密だし、ホストたちも客商売である以上、事件に関わって知った個人のプライバシーは明かさない。
    そのため彼らが解決しても表向きは別の人が解決したり事件そのものを伏せることもある。そのことを薄々気付いている刑事の豆柴は面白くないから毎度当てこすりばかり言う。

    日頃晶に『セクハラ』まがいの皮肉を言う塩谷も、ホスト達には気を遣っているようだ。スランプ中のアレックスに『煮詰まってどうしようもなくなったら、電話しろ。ヒマなら相手をしてやる』とどうしようもない上からの物言いながらも心配しているところは塩谷らしい。第一作で晶が『話くらいは聞いてやってもいい』というのと同じ言い方なのは、やはり二人が良いコンビということだろうか。
    書き忘れたけれど、憂夜さんの独特ファッションセンスは今回も全開、どれほど忙しくても知りたい情報はあっという間にどこからか持ってくるし、リンゴをウサギにカットする『クセ』があることも新たに分かった。
    次はどんな一面が明らかになるだろう。

  • clubインディゴシリーズの3作目。今回は、ホストたちがメインのエピソード集。いいクオリティを保っているけれど、田野倉的にはやはり、インディゴの経営者たちにトラブルに巻き込まれてほしいなあと。それをホストたちが団結して解決していくって方が好き。なのでちょっと減点(笑)

  • 手堅く安心読みの一冊。

    ちっともホストの面々が覚えられない…
    名前と特徴が一致しないんだよね^^;

  • インディゴシリーズ3作目。
    今回も連作短編だけど、最初の3編がホストの視点で書かれていて、これまでの晶視点とはまた別の面白さもあり良かったです。
    最後のお話の最後の最後の部分、とても好きです。

  • ★2.5

  • シリーズその3。

    やっぱり晶あってのインディゴシリーズな印象なので、個人的には最後の以外は番外編の気分で読みました。

    ホワイトクロウ、良かった。好きです。

  • 前にも書いたけれど渋谷が舞台でホストが主人公の探偵物ってことで、IWGPに似ているけれど、時勢を反映するという部分は薄くて娯楽として気軽に楽しめる。そのうち、このシリーズの未読のものは読みます。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。2003年「インディゴの夜」で第10回創元推理短編賞を受賞しデビュー。同作は書籍化され大人気シリーズとなり、ドラマ化、舞台化、コミック化された。他著に「モップガール」シリーズ、「アー・ユー・テディ?」シリーズ、『チャンネルファンタズモ』『ご依頼は真昼のバーへBarホロウの事件帳』『風が吹けば』『桜田門のさくらちゃん』『学スクール園王キングダム国』『ゴールデンコンビ 婚活刑事& シンママ警察通訳人』「メゾン・ド・ポリス」シリーズ、『警視庁レッドリスト』などがある。

「2023年 『警視庁アウトサイダー The second act 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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