贖罪 (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
3.52
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本棚登録 : 5464
レビュー : 945
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017569

作品紹介・あらすじ

美少女殺害事件から3年後、投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を変えた。

感想・レビュー・書評

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  • 「告白」に続き著者2作目。前回がイマイチだったから期待はしてなかったけど…やっぱりなぁ、というかんじ。面白くなくはないんだけどね。ここまで人気があるのは本当に疑問。
    内容に対して「贖罪」というタイトルが大仰。幼い頃、友人の母親に言われたことがトラウマになって…結果に対しての動機が希薄というか。もちろんトラウマになりえるだろうし、少なからず後の人生に影響を及ぼすでしょう。でも、みんながみんなこういった結末を迎えるほど強いものとは思えない。
    湊かなえってやっぱり小説家ではなく脚本家だな、という印象。もしかして第三者視点の情景描写が苦手?映像にしたらそれなりに面白そうだけど小説としては疑問符。

  • 静かな田舎町で殺された女児。犯人の目撃者となった4人の女の子は、みな「顔を思い出せない」と言い、事件は迷宮入りする。

    「あなたたちを絶対に許さない、必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、私が納得できる償いをしなさい」

    少女たちに、死んだ女児の母親から呪いの言葉をかけられる。
    そして事件から年が経過し、殺人の時効を目前として、次々と成長した少女たちが事件の当事者となる。
    女となることを拒み続けた少女は、異常な性癖をもつ夫を。
    償いを選び学校の教師となった少女は、学校に侵入した変質者を。
    自らを責めひきこもりとなった少女は、優しかった実の兄を。
    そして、親からの愛情を受けられず非行に走った少女は、姉の夫を。

    しかし、呪いの発端は、被害者の少女の母親の隠していた過去にあった。

    少女たちのせいではないのに、呪いの連鎖のように次々と起こる事件。
    すごく続きが気になって、1日で読んだのだけど、たくさんの方のレビューにもあるとおり、読後感の悪い(というか重い)話でした。

    一番わからなかったのは、犯人像と、話の核となるべき動機。
    麻子さんがしたことって秋恵を想う男の子を唆したこと、遺書を隠したことくらいで、それは娘を殺されるようなことなのかと。
    親友の気持ちを知らなかったのは、彼女の無神経さや無頓着さによるものだとしても、二人とも何も言ってないからそれを責められてもね。
    最終的に秋恵ではなく彼女を結婚相手として選んだのは本人なのだし、焦って事故を起こしたのも本人なのだし、秋恵の自殺の原因は彼の結婚にあって(しかも「妊娠」は本当にしていたわけだし)。
    彼がどんな憶測をしたのかわからないが、犯人が知ったであろう事情を元にしても、彼女をそこまで恨む理由がわからない。
    自分を捨てて逃げたことを恨んでいるのか、
    自分宛ての遺書を隠していたことを恨んでいるのか、
    どっちにしたって逆恨みとしか思えないのですが。
    そして、教師をしていた熱い男が、なぜ母親を恨んで罪のない幼い子供を殺すのか、それも性犯罪という形で。
    どんなに恨みがあったって、ロリコン癖のある異常者じゃないと、そこまでできないとしか思えないのよね。そういう伏線はなかったしね。
    しかも、そんな事件起こしてから、のうのうとフリースクールの運営をするって、どういう男やねんと思いました。
    麻子の独白では、まっすぐで情熱的な男、という描写しかなかったから、幼い子にこんなひどいことをする犯人とはうまく結びつかなかった。

    そんなわけで、読んだ後も空白部分に色々と想像を巡らし、胸に残る話だったけれど、★は3つですいません。

  • 湊 かなえ 著
    湊さんの「告白」って本を思い出した作品だった。
    作者は告白文というか 出来事の詳細を語るのが とても上手ですね…ある田舎町の日常生活に潜んでる危険な被害に子供の頃、遭遇した 子供が大人になってどのように その時の問題に対峙しているのか?トラウマを持ったまま生きてるのか?連鎖なのか?まわりの大人たちの受け止め方…現在にも起こりうる事件を掘り起こしながら 心情も投影させている。
    ミステリーというより 事件が起こった事から現在に至る経緯が 告白文(手紙)によって白日の下に晒される
    なんだか 気分が重くなるようなストーリーであった。
    忘れている部分が殆どな子供時代の自分 忘れたフリをして自分の中でも思い出したくもない記憶
    子供の時の自分が 何かに遭遇した事は覚えていても その時に どう感じたのか?は思い出せない というか大人になって その時点の気持ちを推し量る事は出来ない。
    ただ、大人になって振り返ってみると 子供だったから…ってすまされないような 罪悪感を感じる事がある(多分 それは 大人になったから理解出来るようになったからかもしれない)忘れる事も人生だし、忘れるから生きていられる事実もあるが…大人になると 子供の頃の自分や子供が どう捉えているのか?気持ちを同じに出来ない事(同じ視点に立って見れない)は沢山あると思う。経験のある大人が その子供の気持ちを汲み取る事が どんなに大切な事かを この作品は改めて感じさせてくれたし、大人や親が 子供に気を使うということではなくて…正しく 物事を判断出来るように導いていくことが大切だと感じた。
    もしも…あの時 こうしたら こんなふうに捉えていたら…なんて事を 今でも 思うことが沢山あるけど、残念ながら?人生において 「もしも…」なんて事はない!存在しない事なんだと肝に銘じなければと思う。

  • イチゴの装丁がとても気になったが
    内容はまったくうつくしくもかわいらしくもなく

    どろどろのイチゴジャム

  • 母親の愛情と呪縛、罪、偶然と運命がずっしりと重たい。
    苦しくて目を逸らしたくてじっとり気持ち悪いのに何度も読み返してしまう本。ぐいぐい引き込まれます。
    読後の不快感が凄まじく、個人的には告白を超える「イヤミス」の頂点だと感じました。

    湊かなえの作品によくある 独自形式(章ごとに主人公が変わる)で書かれており、面白さは折り紙付きです。イヤミス大好きで沢山読むのですが一番好きな作品。

    作中のキーポイントとなる「グリーンスリーブス」もまた気味悪さのある美しい曲なので、聴きながら読むと雰囲気倍増します。

  • この作者の構成力に脱帽。一つの事件を巡って一話一話別の人の告白として語られ、最後はつながり、単なる謎解きでなく、罪と贖罪の意味を問う。

  • きれいな空気の静かな田舎町で、東京から引っ越してきたエミリが殺される。直前まで一緒に遊んでいた少女4人に対し、母親の麻子は「あなたたちを許さない、償いなさいと」言う。4人は大人になり別々の道を歩むが、それぞれに悲劇が降りかかる。誰よりも罪を背負わなければならないのは・・・
    4人それぞれが告白する形で構成され、その後に麻子の話が。
    全員が・・・というのもやりすぎかとも思うが、そこが湊ワールドなのだろう。しかし、出てくる男が変態ばかりなのには辟易。

  • ひとりの少女が殺された、当時関係者だった4人の少女と母の罪と償いの話。

    それぞれの話はなかなかに重く独立しておもしろかったけど、繋がりとしてはちょっとご都合主義かな?そんなことあるかい、と。
    特に終章が蛇足だと思う。

    個人的には「フランス人形」が一番狂気じみてて、よかった…。

  • 2014.3.20 読了

    ちょっと 昨日に引き続き
    ハードなの 読んじまった。。。

    順番 間違えたな、こりゃ。

    ちょっと 「告白」を彷彿とさせる
    感じでした。

    結局 全員 贖罪。。。

    すごい話やったなぁ。。。

    けど、引き込まれて グイグイ
    読んでしまう。

  • 「告白」を先に読んでしまったので、衝撃度は今ひとつ。展開や手法が似ていると思った。
    被害者の母との約束が「不幸の連鎖」の一因だったかもしれないが、その不幸の大元は被害者の母の過去にあったことが皮肉。
    本人にその気はなくても周りの人に悪影響(¨というのが妥当なのか?)を及ぼす人は世の中にも結構いると思う。
    本人にはそれほど悪意はない、というのは救われないし、周囲もたまらない。読み終わって、気持ち悪かった。

  • 女性の気持ち悪いとこ 書かせたらNo.1(笑)

  • 友達が変質者に殺されてしまう。他の4人がその過去を背負って生きていくのだが、なぜ4人が4人とも人を殺してしまうのか...展開としては、「告白」と同様である。しかし、ちょっとあり得ないと思ったのは自分だけでしょうか?

  • 長編ミステリー小説。著作「告白」にかなり似ています。

    空気がきれいな田舎町にやって来た転校生・エミリーがクラスメイトの4人の少女と遊んでいるときに「作業服を着た」男に強姦の上殺害される。
    おとなしくて小柄な紗英、長身でグループのリーダー的存在の真紀、自分はくまのようだと思っている晶子、目立たない存在だが感性が鋭く器用な由佳。
    4人の少女にエミリーの母親・麻子が投げつけた言葉が少女たちに深い影を落とすことになる。

    成長した4人が歩んだ道とは。4人と麻子のそれぞれの告白(報告)の形で、あの日4人がとった行動と事件の真相が明らかになる。
    そして彼女たちがたどり着いた「贖罪」とは何か・・。

    「告白」がとても斬新だったので、それに比べると読み慣れてしまった部分もあるけれど、読み進めずにはおられないストーリー展開に今回も釘付けになった。
    ミステリーの種明かしというより(展開は最初の方で大体よめる)、事件後の4人の少女たちの人生がメインストーリーに私には思えた。

  • 何度読んでもぞくぞくする。
    とある田舎町で起こった美少女殺人事件の関係者四人の少女のその後15年間を描いた作品。
    一番悪いのは殺人を犯した犯人だし、決して少女たちが悪いのではないのだけど、
    愛しの我が子を殺された母親には、当たり前の事実だけど うけいれられない 。
    時効までに犯人を見つけなさい。それができないのなら、あなたたちが償いなさい。
    その呪いの言葉は、じわりじわりと少女たちの人生を狂わせていく。
    結局過去の自分自身が引き起こした事件だと言うのに。
    それぞれのエミリちゃんへの償い、恐ろしいほど悲しい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「何度読んでもぞくぞくする。」
      ちょっぴり厳しそうなので、敬遠していた湊かなえ。。。やっと先日、「告白」と「贖罪」の文庫を購入。先ず「告白」...
      「何度読んでもぞくぞくする。」
      ちょっぴり厳しそうなので、敬遠していた湊かなえ。。。やっと先日、「告白」と「贖罪」の文庫を購入。先ず「告白」の映画を観てから読もうと思っているのですが、funcaboさんは、どちらの方が面白かったでしょうか?
      2013/02/07
  • 長閑な田舎町で起こった凄惨なる美少女殺人事件。

    目撃者は小学4年になったばかりの少女が4人。
    犯人は堂々と彼女達に近づいて来た。

    「誰か、ひとり更衣室の修理を手伝ってくれない?」
    みんな
    「私が」
    「私が」
    と、積極的に手伝おうとするなかで
    ただひとり黙っていた美少女のエミリちゃんに白羽の矢は立った。

    「君が一番ちょうどいいな。」

    じゃあ、私達もついていくから、と言った4人に
    「たくさんいても邪魔になるだけだから。みんなは待ってて。」

    そしてエミリちゃんは無残にも殺されてしまった。

    5人もいて。
    5人もいたのに、何故エミリが?!

    泣き叫ぶ母親。

    更に。

    こんな状況下にあって信じられないことに

    彼女達の誰一人として犯人の顔を思い出せないとは。

    怒りに我を忘れてしまった母親は

    4人を呼び出し、恐ろしい呪詛のような言葉を吐きかける。

    「あなたたちを絶対に許さない!
    時効までに犯人をみつけなさい!
    でなけれな償いをしなさい!

    どちらも出来なければ、私があなたたちに復習をしてやる!」

    その後、この母は夫と共に村を出て行ってしまうが、
    残った少女達はそれからもこの忌まわしい土地で、
    罪の意識に苛まれながら、
    犯人の影に怯えながら、
    どんな風に成長していったのだろう…

    それぞれの心情とその後の人生をひとりひとりが語ると言う構成は
    以前読んだ『告白』にも似ている。

    彼女達の告白はやがて小さな点となり、
    その小さな点の散らばりがいつしか繋がり、犯人像に近づくという所はミステリー色が強い様にも思われた。

    ミステリー…と、言っても
    確かに犯人が誰かは気になるものの、
    著者が書く人物像の心情にはそれを遥かに越えて、
    考えさせられる深いものがある。

    それは、
    美しく光るベリーのCAKEを囲んで、
    にこにこと楽しそうに(しなければならない)痛い日常の裏側で
    笑いたくなんかない。食べたくなんかない。
    そんな、ひらひらとした薄っぺらい皮の様な仮面を著者は容赦なく剥がし、

    本当は

    笑いたかった、食べたかった、分かり合いたかったんでしょ?
    畏れたり、怒ったりするまえに、泣きたかった。
    謝りたかったんでしょう?

    読後、表紙とタイトルを眺めながら、そんな声をどこかで聞いた様な気がした。

  • 途中でやめようと思ったが
    一人が一人ずつ殺人を犯すことがわかってから
    なんだかんだで全部読んでしまった。

    バッドエンドかと思ったけど
    そうでもなくて読後感はそれほど悪くない。

  • 穏やかな田舎町で起きた少女殺人事件。犯人と接触があった
    4人の少女達は、その男の顔を思い出せなかった。
    そんな少女達に浴びせられた激情の言葉。それが少女達の
    人生を狂わせていった。15年後に明らかになる真実とは。

    一気に読みました。読みやすく引き付けられます。
    「うまいなー」と思わずつぶやいてしまった。
    一人づつの語り。という書き方も良かった。

    ただ根本的に「贖罪」は誰がするべきだったのか。
    少なくとも少女達じゃないやん!
    ってやっぱり思ってしまう。

    先日読んだ「境遇」がいまひとつだったけれど
    こちらはお勧め。
    (読後感は爽やかではありません・・)

  • 『告白』の後だっただけに、やや肩すかしをくらった印象。
    『告白』は「デビュー作でこれか」という衝撃を持って読めたけれど、こちらはやや期待値が高かったのかも。
    本作も『告白』と同じ、複数人の一人語りで、違う側面から光を当てつつ、互いに補足しあって結末へと導くタイプの物語。

    『告白』のレビューでも書いたけれど、登場人物の語り(直接または手紙という形での語りかけ)では、作者が嘘を混ぜやすい。事実の誤認や意図的な沈黙などがその中で語られる。それはもちろん、小説の書き方、テクニックの一つなんだけれど、そしてそれがミステリである以上、作者は読者を綺麗にだまさなくてはならないんだけど、それがやや中途半端な印象。
    登場人物の誰かに感情移入するにもちょっと物足りない。
    謎解きそのものを楽しめるかといえば、それにもちょっと足りない。
    ラストを読んで腑に落ちた感があるかといえば、それもちょっと。
    悲壮感、美しさ、登場人物の「追い詰められてる感」または「自分勝手さ」、どれも「いるよね、こういう人」で終わってるような気がする。

    ただし、どれもおそらく及第点を超えている。だからこそよけいに、それぞれに対する物足りなさが残念。
    デビュー作が良かっただけに、という思いかも。

  • 殺された女の子だけではなく目撃していた4人も被害者。
    幼児の性的虐待などもあり、かなり不快。
    犯人に関してはロリ的要素はない描写だったのに、なぜそこで性的暴行を加えたのかが不明。
    復讐心から小学生に性的暴行を加えるのか?
    それに犯人の復讐にしたって、オマエもやる事やってんじゃん。お互い様じゃんってカンジで同情も出来ないし。
    ショッキングな内容を散りばめただけで、何も残らない作品だった。

  • 一人芝居にしたらどんなに面白いだろう。
    個性的な5人の女性を一人で演じるのだ。
    きっと素晴らしいお芝居になるに違いない。


    『贖罪』罪を償うこと。
    私としては罪は償えないと思っている。
    しかし、正しいことを重ねることでいつかイーブンになるのではないかと考える。
    罪はなくならないが
    正しいこともなくならないのだ。

    僕は彼女たちが罪を償えたとは思えない。
    しかし、責めることもできない。
    苦しむことは罪を償うことではないが
    苦しみに耐える人生は辛い。
    彼女たちは痛みを背負うことで罪を償おうとしたが、それは痛々しい負のループだ。
    同情の余地はある。
    痛みから回復し、正しいことを重ねれば
    それは価値があるのではないだろうか?



    手をあわせること。
    ごめんなさいと素直に言うこと。
    相手を思いやること。
    これが少し欠けてしまった女性達の物語だ。

    悲しくも滑稽だ。

    フィクションの暗さに浸るには素晴らしい作品だと思う

  • ―これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?

    初湊かなえ。
    作者の印象は二作目を読んでからとしておいて、
    本著の印象としては、山田悠介って感じ。。。
    当然あれよりは文章として立ってるんだけど、
    描写がちょっと稚拙かもしれない。
    空気がきれいな町の描写を、都会から来た子に「空気がきれいな町」って言わせて
    読者に伝えるのは卑怯な気がする。うん。

    ストーリーは好きな方かな。非現実的で小説!って感じ。
    夕方六時に『グリーンスリーブス』が鳴る小学校で、
    エミリちゃんが殺された。一緒に遊んでいた子どもは、
    誰も犯人の顔を覚えていなかった。

    その日以来、彼女達の『贖罪』の日々が始まる。

    短編集っぽくて、各章がそれぞれの一人称で語られます。
    【フランス人形】
    「きみが一番ちょうどいい」

    怖い、怖い、怖い、殺されたくない。そのためには…
    ――おとなになってはいけない。

    殺人犯はいない。そして、きみを守る僕がいる―しかし、犯人はいたのです。

    ――さあ、おいで。夜のあいだだけきみは僕の人形だ。
    【PTA臨時総会】
    わたしが失ったもの、それは、わたしの存在価値です。

    お母さんはさらに続けました。
    「・・・わたしが納得するような償いをしなさい。・・・」

    改めて、遠くから足をお運びいただき、ありがとうございました。
    麻子さん。
    【くまの兄妹】
    だって、あたしはくまだから。

    くまの分際で仲良くなりたいと思ったから、エミリちゃんは殺されてしまったの。

    ――そこには、くまがいた。
    台所の明かりでわずかに照らされた暗い部屋の中で、
    くまが裸の小さな女の子にのしかかってたの。
    【とつきとおか】
    おかしなこと、わたしの場合・・・初めて万引きをしたのは、事件から半年後です。
    ―痛たた・・・、また五分待って。

    わたしはもう、あなたたちを許しています。
    これっておかしくないですか?わたしたちがあなたに、そして、エミリちゃんにいったい何をしたというのですか?
    【償い】
    あなたたちが罪を犯してしまったのだ、わたしのせいなのだとすれば、どう償えばいいのだろう。

    「犯人はあの子たちよ」と叫んだ。

    エミリが殺されてしまったのは、わたしのせいだった。
    【終章】
    「エミリちゃんのことを思いながら、手を合わせる。――どうして、あのとき気付かなかったんだろう。わたしたちが一番しなければならなかったことを」
    「それに気付くための十五年だったのかもしれない」



    誰も救われないな。

  • 結局みんな自分のことしか考えてないのかと(この読後感は「告白」と一緒?)やるせない気持ちになった。

    麻子さんが娘を想うあまりに幼い晶子ちゃんを突き飛ばしてまで走っていく場面は、麻子さんの気持ちも分からないでもないけれど、晶子ちゃんの惨めな気持ちが胸を締め付けました。

    特に自分には一番寄り添った「身の丈の幸せ」といって居場所を無くしていってしまう晶子ちゃんが、最愛の兄(そして歪んだ愛を連れ子にぶつけた兄)を償いの生け贄として殺害する場面は、衝動で言い放った言葉の重みに恐怖しました。

    最近、島本理生さんの「クロコダイルの午睡」やこの本の晶子ちゃんの章だったり、「女の性」に対する欲望やコンプレックスの話題になると、とても何か引っ掛かった気持ちになるのは、自分の中にも同じような意識があるからなのかも。

    始めの紗英ちゃんの章は、旦那が紗英ちゃんを見張っている湿度の高い視線がありありと感じられて、逆に引き込まれていきました。

    こういう、自分とは一見かけ離れているけれど注意深く見たらすぐ近くにあるような話は、スリリングでエンターテイメントとして嫌いじゃないです。

    丁度、「身の丈の幸せ」について考えていたのですが、あたしの中の結論としては「自分の身が大きくなれば、身の丈の幸せもおっきくなる。あきらめない。」と、なんとも挑戦的かつ大胆なかんじにまとまりました。

    あと、これを貸してくれた母の意図も若干、気になるところではあります。

    あぁあぁ、なんにでも意味を見い出そうとする肩苦しいイタイ自分に疲れるわーいややー。せきしろさんとかおバカな本をよみたいいぃぃい

  • 「わたしはあんたたちを絶対に許さない。時効までに犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できるような償いをしなさい。」
    4人の少女たちに深く刻み込まれた約束。4人全員が…と重く息苦しくなるような物語。そしてあの事件の元凶は…。もうドロッドロで後味は最悪!嫌な気分にもなるのに引き込まれて一気に読んだ。

  • 罪の連鎖は心理面でも起こる。立ち位置はどうであれ、関係者の心にのしかかる。

  • 米ミステリー小説界で最高の栄誉『エドガー賞』にノミネートされた本です。

    「贖罪」では伏線やどんでん返しが少ないと言われていますが、そうゆう類の本ではないという事をご理解いただきたいと思います。
    罪に対する向き合い方、過去の罪は周り回って帰ってくるという世の恐ろしさ、そして理不尽なまでに罪悪感を抱き続けた少女たちの将来の姿など、見事に「ウラガワ」を本作では見せてくれたと思います。

  • 正にドツボにはまった贖罪の物語だと思う。

  •  田舎町にできた大企業の工場。4人の小4女子に1人の都会育ちのエミリ。お盆に校庭で遊んでいると、
    男に声をかけられて連れて行かれ殺されたエミリ。他の4人は男の顔を覚えていなかった。そのために
    エミリの母麻子に「あなた達は人殺し。時効までに犯人を見つけなさい。できなければ復讐する。」と
    言われた4人。その影響か、1人は結婚直後に自分を人形扱いする夫を殺害、1人は教師となりプールへの
    不審者から子供を守ったものの正当防衛で相手が死、1人は姪が兄にいたずらされているのを見かけ兄を絞殺、
    1人は妊婦で義兄を階段から誤って転落死させ、と負の連鎖を招いた。男はエミリの父であり、麻子が過去に
    結婚予定だった男だった。男から逃げ出し、その男の大切な人を自殺に追いやり、その男が復讐を図った
    のである。
     『告白』と同様、複数の人間の証言で物語が展開するというパターンであったが面白く、一気読みした。
    (たかやも野球部やめて時間もできた・・・。)

  • 空気がきれい。
    それだけが取り柄の何もない田舎町で、転校生の美少女が殺害された。
    目撃者は同級生の小学生4人だが、彼女たちはどうしても犯人の顔を思い出せず……
    美少女の母親に投げつけられた言葉が、彼女たち4人の運命を狂わせていく。

    目撃者の少女たちがそれぞれの視点から事件のこと、その後のことを語っている連作小説。
    読み進めるごとに徐々に絡み合っていく出来事は読んでいて面白かったが、終わり方がいまいちパッとせず。気づいたら終わっていたという印象。
    『告白』のように嫌な読後感がないのは良し悪し。

  • 穏やかな田舎町で起きた美少女殺人事件。
    その時一緒に遊んでいた4人の友達は、みな犯人の顔を覚えていないと言う。

    殺された少女の母親が、その友達4人を追いつめた言葉。

    「時効までに犯人を見つけなさい。それなできないのなら、わたしが納得できるような償いをしなさい。そのどちらもできなかった場合、わたしはあんたたちに復讐するわ。」

    それから大人になった友達4人の心の傷が、連鎖するように事件を引き起こしていく。

    友達4人の贖罪の手紙や独白。そして殺された美少女の母親自身の贖罪の言葉たち。

    最後に最後にわかるのは、結局、全てのことは「この人」の行動から端を発したのではないか・・・ということ。
    みんな加害者でもあり、被害者でもあるのだ。

    さあ、「この人」は誰でしょう?

  • いやーな話だけど、面白い。一気に読んだ。湊かなえっぽい作品。

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著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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