叫びと祈り (ミステリ・フロンティア) (ミステリ・フロンティア 60)

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  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017590

感想・レビュー・書評

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  • その境遇、状況ならではの動機が書かれているのが面白かった。
    「凍れるルーシー」が好み。

  • 七ヶ国語を話せる斉木という男を五つすべての登場人物に据えた連作短編ミステリ。すべて舞台となる国が違うのがおもしろい。

    砂漠を走る船の道…サハラ砂漠、キャラバンを渡るラクダ、塩の道
    白い巨人…スペイン、白い風車、消える人
    凍れるルーシー…ロシア、修道院、聖人
    叫び…アマゾン、少数民族、生きる世界
    祈り…窓に真白の風景、祈りの洞窟

    砂漠を〜が一番インパクトがあったし、描写が美しく感じた。私が砂漠好きだからかもしれませんけど(行ったことないけどね笑)。

    話を重ねるうち、やりきれない気持ちは、少しずつ蓄積していく。澱は消化できない。平和ボケしている日本人には、ロジックは分かっても根本から理解することができないからだ。
    殺害動機にはその国でそう生まれ、そう生きてきたからこそ派生するものが明かされる。独特の話の組み立て方がおもしろかった。……叫びまででは、暗く沈んだ気持ちになるのだが。

  • すっごく読みたくて図書館に行くたびに探していた本なのですが、期待しすぎたなぁ。なるほどうまい、と思うこともあるのだけど、学生時代に留学していたり、スペイン語かじってたり、文化人類学が割と好きだったりしたので、読みながらすんなりわかることが多かったのです(共感するかはさておき)。
    でも海外が好きなので、読んでると無条件でわくわくして引き込まれたのも事実です。
    斉木の渾身の取材は果たして本当に会社の役に立っているのか、心配です。

    完全にどうでもいいですが、梓崎さんて83年生で慶應経済ってことは櫻井くんと同期?と勝手に想像し、せっかくなので斉木をそのイメージで読んでいたのですが、思った以上に似合って笑いました。もう最終章は想像する必要すらなかった。だって…!

  • 私としては肩透かしであった。最初の2編はトリックアートの読書版。
    他のはよう解からん。

  • 新味はある。
    舞台となっている海外各地の描出が評価されているようだが、どうだろう。旅情を醸すには枚数が足らず、パズルの道具立ての側面が強い気もする。

    気になるのは口語表現で、登場人物が皆ラノベ的なペダンティックな話し方をするのに違和感を覚える。実際にこのような喋り方をすることってあるのか?

    「凍れるルーシー」のエンディングに少々驚かされた。映画やTVには見られるパターンだが、ミステリー領域でこれをやった例というのは他に知らない。

  • 不思議な余韻を残して終わった。

  • 『2011年 本屋大賞』第6位受賞作。 2010年度『このミステリーがすごい!』第3位。2010年度『週刊文春ミステリーベスト10』第2位。


    “砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇……ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。綾辻行人、有栖川有栖、辻真先三選考委員を驚嘆させた第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉千里に突き進む驚異の連作推理誕生。”―帯より。

     ◇砂漠を走る船の道
     ◇白い巨人(ギガンテ・ブランコ)
     ◇凍れるルーシー
     ◇叫び
     ◇祈り


    この春実践した、ひとり本屋大賞マラソン(ノミネート作を、発表前に読もうキャンペーン)で読んだ一冊。

    いろんなランキングで高順位にあがってたんだけど、なかなか手にしなかったのは、これが作者のデビュー作だったのと、それほど表紙に惹かれなかったから。

    世界各国を巡るジャーナリスト、主人公の斉木が巻き込まれる様々な事件。
    舞台は、サハラ砂漠のキャラバン隊、中部スペインの風車、南ロシアの女子修道院、南米アマゾン奥地の先住民族村、東ティモールでの暴動。

    新人賞受賞作の、第一話「砂漠を走る船の道」は文句なしにおもしろかったと思います。詳細は控えるけど、犯人の動機にビックリでした。
    最終話「祈り」は、書籍タイトルにもなっていて、各話のまとめ的な意味合いもあるんだろうけど、ちょっとわかりにくかったかな。

    異国情緒溢れるストーリーが、情景豊かに描かれてるので、海外旅行が好きな人には楽しめるかも。

  • 「砂漠〜」と「白い巨人」に比べると「凍てる〜」は情景描写が多く文体が固いからか読みにくい印象を受けます。
    多くの方が感想としているように、前二つとは表現方法を変えたのかな? という感想を持ちました。
    個人的には白い巨人の、世間に溢れるような、取り合えず甘く・苦くしておけば恋愛小説だよな。という作品(もちろん推理小説とも)と一線を画したこ小説にドキドキしました。
    普段、恋愛ものなど読まないのでこれくらいが丁度いい。

    短編だからでしょうか、あっさりとした印象をうける殺人描写の少ない推理作品って少ないですよね。そこもまた気楽に読み進めることの出来るポイントでした。
    どこで、なにを推理するのか。
    斉木はどこから糸口を見つけるのかを考えるのは楽しかったです。

    私には時間をかけずに読める本でした。
    デビュー作でこのクオリティー。梓崎先生の次回作が待ち遠しい!

  • 短編だが、全体的には1つのテーマ。
    テンポ、状況設定、流れ どれも新鮮な感覚が味わえる一冊。

  • 世界各地を取材旅行する斉木。
    七ヶ国語を操る彼が取材中に起こったさまざまな事件を解決していく話。

    作中、作者は往々にして肝心なことを最後まで話さない。
    その「沈黙」は『砂漠を走る船の道』では「やられた!w」と感じた。
    それはだましているわけで無く、斉木本人には当たり前のことだから話さないという「性格」として感じる面もある…そういう手法がかなり好き嫌いに分かれるかと思うがw

    この本は宗教観や民族観、それぞれの環境化にある心の闇を感じる。
    それはその状況下では必然的なものと感じ、平和な本のこちら側では矛盾を感じる。理解できそうで出来ない感覚がある。
    その中で『白い巨人』は少し気持ちが和らいだ。

    ただ最後の『祈り』は少し後味が悪く感じた。
    確かに、これだけのことを体感したことで溜まった「澱」が心を折れさせることもあるだろう。
    だけどそんな簡単に折れる斉木じゃないと思った。
    サクラのセリフから言えば『斉木は少しだけ気が利く、そして大変デリカシーのない男だった』…それが物語っている気がする。

    新人と言うことで次の作品に期待してみる。
    もちろん復活した斉木の話も読んでみたい…

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