折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

著者 : 米澤穂信
  • 東京創元社 (2010年11月27日発売)
3.93
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  • レビュー :452
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017651

作品紹介・あらすじ

ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、"走狗"候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年-そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ?魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場。

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)の感想・レビュー・書評

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  • 日本人の書いた中世のミステリーは何だかドラゴンクエストの様なRPGゲーム感覚の物語。好き嫌いが出る小説で私はどちらかと言うと苦手。

  •  久々に夢中になって読書した気がする。ファンタジーの世界でのミステリという異色作なので、異色であることを売りにしているだけでは、と思ったが、とんでもなかった!
     著者の米澤さんがそうとうなミステリ好きであることは「インシテミル」でよく分かっていたが、ここまで完璧に昇華させるとは!!

     時は1190年。小さな島で起きた領主殺し。容疑者は領主がその夜、殺害現場にいたことを知る数人。
     魔術によって起きた殺人。死なない呪われた人々。集められた傭兵。そんな剣と魔法のファンタジックな世界で繰り広げられる犯人探し。やりくちは普通のミステリ作品とは違うが、謎解きは論理的で、想像だにしなかった結末に悲しみと優しさを感じた。

  • 傑作。
    これはファンタジー世界においてであっても、
    「推理」や「論理」が正しく重んじられるべきでることを説いた、
    本格ミステリーの傑作です。

    舞台は12世紀イギリス、架空の島ソロン諸島。
    領主が暗黒騎士の魔術によって暗殺される事件の謎を、
    騎士ファルク・フリッツジョンと従士二コラ、そして領主の娘アミーナの3人が解き明かすお話です。
    そこに、不死である「呪われたデーン人」の襲来を絡めて、
    単なる推理モノに終わらせない、冒険活劇の要素も取り入れた著者の意欲作。

    特筆すべきは、剣や魔法、不死といった、ある意味なんでもアリのファンタジー的な設定状況下、
    領主殺人事件をしっかりとした「論理」でもって考える、ということ。
    きちんとした理由と動機で、犯人を「推理」する、ということ。
    「論理は魔術も打ち破る」とは文中の引用だけれど、
    まさにその通りです。

    本格推理モノはどちらかといえば苦手な部類に入るはずが、
    こんなにも引き込まれていったのは、ファンタジー世界が舞台だったからかもしれません。
    剣と魔術を駆使して激闘を繰り広げる、騎士と傭兵たちVS呪われたデーン人との戦いは、
    まさに手に汗握るアクション活劇で、ページをめくるのももどかしいくらいに面白かったです。

    現実と架空の融合。7:3(6;4)くらいの比率でしょうか。
    決してファンタジー要素の割合は高くありません。
    魔法が数多く登場するわけでもなく、深く掘り下げた魔術の説明があるわけでもなく、
    あくまで推理のミステリーという土台の上で、
    ファンタジーを融合させているバランスも絶妙。
    しかし、あくまで論理的な推理は、魔法の存在を前提にしている点も秀逸です。
    ”一晩姿を消すことができる魔法の燭台の持ち主が、犯人ではない理由、”
    も実に論理的。

    昨年のこのミス1位は「ジェノサイド」、2位が「折れた竜骨」でしたが、
    個人的には逆。1位が「折れた竜骨」を強く押したい気持ちにさせる、
    そんな素晴らしい作品でした。

  • ブリテン島の東に浮かぶ、大小二つの島・ソロン島と小ソロン島。
    ここを治めるエルウィン家の娘・アミーナは騎士・ファルク・フィッツジョンとその従士・ニコラに出会う。
    彼らは魔術での暗殺を引き受ける暗黒騎士団を追っており、アミーナの父が彼らに狙われていると話す。
    折しも「呪われたデーン人」との戦の準備のため傭兵を募っていた矢先、その警告通りに領主が殺されてしまう・・・。
    どうやら魔術により「走狗」とされてしまった者の仕業らしい。
    論理は魔術に勝ると調査を始めるファルクだが・・・。

    という米澤さんの新作はガラリと変わった設定。
    12世紀末のヨーロッパ、いまだ魔術が信じられていた時代のお話です。
    が、ご本人が言われているように正統なミステリでした。

    ただどうにも違和感が拭えず・・・。
    ファンタジーでもあり、もちろんミステリでもあり、そして少年少女の成長物語でもあるこの作品。
    それぞれで水準以上ではあるのですが、肝心のミステリの真相が・・・。
    予想できる範囲だったのが残念。
    「ミステリ」と明言されていたおかげで逆にそこのマイナスが目立ってしまいました。
    そして素晴らしいラストシーンのおかげで成長ものとしてじっくり読みたかったなぁと思ってしまったり。
    傭兵たちがとても魅力的だったので、そこを書き込んでほしかったなぁと(ファンタジー部分ももっと読みたかった)思ってしまったり。
    手を広げられたおかげで、こっちも欲張りになってしまいました。

    まぁこちらが期待しすぎてしまった部分を除けば、十分楽しませていただきました。
    単純にRPGだと思えばいいのかな。

    まぁとにかく、一番やられたのはラストシーンでした。
    そうかぁ、タイトル、そういう意味だったのね。
    やっぱり米澤さんのノンシリーズは外せないわぁ。
    いまのところどれも大好きです。

    • ともさん
      >mametarou77さん
      コメントありがとうございます。
      mametarou77さんの感想も拝見させていただきました。
      mametarouさんも米澤さんのノンシリーズで同じ思いを抱かれていたようで、嬉しいです。
      ノンシリーズのほうがやりたいことをしている感があって、そのやりたいことがまたツボだったので今回も期待してしまったのですけど。
      やっぱり期待しすぎちゃったのが敗因でしょうか。
      もうちょっとミステリ以外を書き込んでほしかったですよね~。
      でも十分な厚さでしたから、これ以上はムリだったのかなぁ。
      2010/12/30
    • はぴさん
      米澤さんいつか読んでみたいと思いつつなかなか手が出ないんですが、この作品は特に気になっています。
      >ファンタジーでもあり、もちろんミステリでもあり、そして少年少女の成長物語でもあるこの作品。
      なんとなく好みの予感がします^^
      2011/01/27
    • ともさん
      >はぴさん
      米澤さん、実はけっこうブラックなので気に入っている作家さんなのですよ(^^)
      ぜひぜひ、手に取ってみてください♪
      この作品も面白く読みましたが、あくまでミステリなので、はぴさんのように児童書・ファンタジーが得意でしたらその点で少し物足りないかもしれませんが・・・。
      2011/01/28
  • 久しぶりに子供のころに戻って三銃士や八剣伝を読んだ時みたいにワクワクしながらあっという間に読み進みました。単なる姫とナイトの活劇に非ず、いやあ面白かったです。よくまあ こんなストーリーを思い付くものですね。そしてラストのラストでもう一捻りと来ましたか!

  • 良かった。超良かったよ。

    今までのミステリーとは打って変わって中世ファンタジー調の話だから、「貴志の『新世界』みたいにミステリー作家がファンタジー書くのが流行りなのか!?」と思いきや、中世を舞台にしたミステリーでした。
    魔法とか呪いとかありますが、最初から最後まで「誰が領主を殺したか」が主軸です。普通のミステリー。

    感動したのは、魔法とか呪いとか何でもありの世界で、そういった非現実的な可能性を全部潰していっての解答編が素晴らしい。そしてニコラが可愛らしい。

  • 特殊設定下でのミステリ。舞台が中世英国という点が個人的にツボだったのと、久しぶりに再会した「米澤穂信」印の謎解きの面白さに、大満足。
    登場人物はみな個性的で、東方からきた騎士ファルク、その従士ニコラ、女傭兵などもっと掘り下げてアナザーストーリーも書いて欲しいくらい。
    孤島や砦、町の様子や服装や食事、どれも想像力が掻き立てられるようによく描かれていて…映像化…して欲しいなぁ。

  • 面白かった。
    ミステリーというよりはエンターテイメント小説といった感じ。
    どのキャラクタもとても魅力的。アミーナ始めとし、凛としたキャラクタが多くとても美しい。

  • 2段組みだったので読むのが嫌になりそうだった。(しかも異世界が舞台のファンタジーミステリーだし)だけど、最後まで一気に読ませる筆力は確か。米澤穂信はライトなミステリーのイメージが強かったけど、こんな作品も書けるんだと。最後まで二転三転する展開にドキドキ。そしてタイトルの妙。この作品はまさに米澤穂信の新境地。面白かった。2011/285

  • 誰が何と言おうと好きな本。
    歴史的な要素が感じられる中で、魔術の要素が組み込まれたミステリという複雑な設定だけど、登場人物が多彩で飽きずに読める。
    登場人物のこれからがすごく知りたいけれど、綺麗に終わりすぎてて半端なのは見たくない!って思ってしまう。

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