星を撃ち落とす (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
3.41
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本棚登録 : 245
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017705

作品紹介・あらすじ

津上有騎、水瀬鮎子、長岡茉歩、そして葉原美雲――四人の女子高生の不安定な対立感情が極限に達したとき、ひとつの悲劇が起きた。傷ついたのは誰で、嘘をついていたのは誰なのか?

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ~大好きな世界観(^^)
    面白かったぁぁ~
    (またまたkwosaさん有り難う!)

    特に第一章の怒涛の反転には
    思わずサブイボが出るほど驚いたし!


    ただの青春ミステリーで終わらない
    乙女でダークで妖しい空気感が妙にツボを突いてきたし。
    (ただ、曖昧さを嫌いすべてに決着をつけたい人には少々キツいかも) 
     
    思春期特有の自意識と
    聡明でいて残酷な少女たちの瑞々しい会話も心地良かった。


    オセロのように二転三転する
    登場人物たちの印象と構図。

    何が本当で何が嘘なのか?
    傷ついていたのは誰だったのか?

    思い込みや先入観という視点によって
    いとも容易く変わる他者という存在の曖昧さ。

    いい人だと思っていたものが
    実は悪だったり、
    悪者扱いされていた人が
    本当は善人だったり。

    緊張感を保ったまま
    最後まで引っ張るスリリングな構成も見事!


    世界中を旅した母に憧れるも
    夢に踏み出せない主人公の女子高生、
    津上有騎(つがみ・ゆき)。

    正義感が強く一本気な
    クラスのムードメーカー的存在の
    水瀬鮎子(みなせ・あゆこ)。

    鮎子の幼なじみで
    気が弱く
    いつも怯えて頼りなげな
    長岡茉歩(ながおか・まほ)。

    クラス一の問題児と認められながらも
    学年主席の座を守り続けるミステリアスな少女、
    葉原美雲(はばら・みくも)。

    津上有騎に対するストーカー事件を機に
    有騎と仲良くなった鮎子と茉歩。

    そこへ謎の少女・美雲が現れたことから
    不穏な展開へ。

    長年の友人である茉歩を独占する
    悪評の絶えない美雲に
    対抗心を剥き出しにする鮎子。

    いつのまにか有騎の部屋の中から
    屋外の郵便受けに入っていた
    動くリモコンの謎。

    やがて始まる陰湿なイジメ。

    丘の上に建つ廃園の館での天体観測会。

    そして起こる悲劇と驚愕の真相…


    同じ場所、同じ時間に夜空を眺めていても
    ある人には見えていた星が
    ある人には見えなかったという状況が
    確かにあるということ。

    人はそれぞれがそれぞれの主観で語っているだけで
    それを鵜呑みにしてはいけないし、
    語る言葉すべてが『真実』だとは
    決して言えないということ。

    誰が正義で
    誰が悪かという単純なものではないということ。

    そう、モノの見方や視点を変えるだけで 
    その人の評価も
    とっていた行動もすべてが反転する。

    この作品は何が真実で
    何が嘘かについては 
    決定的に明らかにはしていないので
    そこが不満だという人もいるだろうけど、
    だからこそ読後は議論ができるし(笑)
    余韻の残る作品になりえたんだと思う。


    同じ少女小説でも
    ピュアで気弱なヒロインが
    世界と闘い散りゆく様を
    鮮烈に描いたのが桜庭一樹だとすれば、
    友桐 夏は知的でしたたかでロマンを愛する少女たちの
    自我を守る為の心理戦を
    揺れ動く心の機微を見事に掬い取った丁寧な描写と会話力で
    優れたミステリーとして読む者に魅せてくれる。


    物語の後半、
    詩的でセンスのいい
    『星を撃ち落とす』というタイトルもまた
    真実が明かされる時、見事に反転します。
    (美しい表紙の絵にも秘密があります!)

    それにしても友桐さんは
    初めて読んだ作家だったけど、
    知名度さえ上がれば一気にブレイクしそうな実力を備えた方のようだし、
    過去の作品も読んでみたいなぁ~。

    ちなみに無人島の心理テストは
    自分は物語や詩を書いて暮らしたいでした(笑)

    それにつけても 
    A嬢の過去の殺人事件が気になる!
    ( 有騎の母・侑子さんの冒険譚と共に、この話はまた別の小説として続きが読みたいなぁ~)

    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、いつも沢山のコメントありがとうございます!

      あはは(笑)
      も~、なんぼ欲しいんスか?
      褒め過ぎっスよ~(汗)(...

      kwosaさん、いつも沢山のコメントありがとうございます!

      あはは(笑)
      も~、なんぼ欲しいんスか?
      褒め過ぎっスよ~(汗)(^^;)

      まだまだ改善の余地はありだけど、
      かなりセンスのいい作家さんですよね。

      少女たちの心理戦には
      ホンマドキドキさせてもらったし。

      あはは(笑)
      無人島の心理テスト
      答えカブってましたか!

      占いは基本的には信じひんねやけど、
      心理テストはなんか好きでやっちゃうんですよね~(^^;)

      kwosaさんはちなみに
      無人島に一冊の本と
      音楽アルバムと映画を一本持っていけるとしたら
      それぞれ何を選びますか?
      (つい最近そんな本読んだんで、ちょっと聞いてみました。あっ、コレは心理テストではないので笑)


      2014/11/02
    • kwosaさん
      円軌道の外さん!

      またまたこんばんは。

      友桐夏 『裏窓クロニクル』って完全新作が10月末に出ましたよー。
      って情報だけを入手し...
      円軌道の外さん!

      またまたこんばんは。

      友桐夏 『裏窓クロニクル』って完全新作が10月末に出ましたよー。
      って情報だけを入手して、あとはシャットダウンしているので旬のうちに読んでみようかと思っています。

      無人島ですか。
      ぱっと思いついたところで、寺田寅彦『柿の種』、アルベール・ラモリス監督の『赤い風船/白い馬』のDVD・BOX、Bill Evans Trio の『Portrait In Jazz』です。

      なんか、静かで穏やかな感じがいいんです。
      円軌道の外さんは?
      2014/11/13
    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、お待たせしました!(笑)
      仕事が休める間に半年間溜まったお返事をなんとか返したいと、
      毎日必死のパッチでお友達さんの...

      kwosaさん、お待たせしました!(笑)
      仕事が休める間に半年間溜まったお返事をなんとか返したいと、
      毎日必死のパッチでお友達さんの本棚を御礼参りしております(笑)

      つか、半年間練習してないので
      いつの間にやら
      10キロ近く太ってしまいましたよ(泣)( >_<)
      kwosaさんはどないですか?
      30越えると贅肉も落ちにくくなりますよね~
      (特に腰回り…)

      つか、友桐夏の新作出てたんやぁぁーっ!!((((((゜ロ゜;
      いつもいつも有益な情報ありがとうございます!!
      図書館にあるかな~?

      あっ、無人島ネタは
      音楽や映画や本好きの著名人が無人島に何を持って行くかという
      本をたまたま立ち読みしたら、
      かなり面白かったので 
      真似してみました(笑)

      つか僕の知ってるのは
      Bill Evans Trio の『Portrait In Jazz』だけやなぁ~(汗)(^^;)
      (確か村上春樹もかなりのお気に入り盤でしたよね)

      静かで穏やかって
      まんま僕が感じてるkwosaさんのイメージそのまんまですね(笑)

      う~ん、自分なら~
      ジェイムズ・クラムリーの『さらば甘き口づけ』、
      ジョン・ウー監督の『狼/男たちの挽歌 最終章』、
      Bruce Springsteenの『Born To Run 明日なき暴走』かな。

      僕もとりあえず今思い浮かんだものなんで、明日には変わるかもしれんけど(笑)、
      何度触れても飽きないということと、
      若い自分に影響を与えた自分の核になってる作品を選んでみました(笑)

      自分の場合は静か過ぎても嫌なんで(笑)
      無人島の夜を賑やかにするために『男たちの挽歌』の凄まじい銃撃戦をあえて選んでみました(笑)





      2015/04/14
  • 少女小説、少女ミステリ。

    「青春ミステリ」「日常の謎」という乱暴なジャンル分けが躊躇われる不思議な読後感と完成度の高さ。

    十代で家出をし、世界各国を放浪した上にシングルマザーとなった自由奔放な母。そんな母に憧れ日本を飛び出すことを夢見る反面、恐れを払拭できず堅実に生きようとする高校生の津上有騎(つがみゆき)。裕福な家庭に育ったゆえのおおらかさとリーダーシップで皆に慕われる水瀬鮎子(みなせあゆこ)。そしてその陰に隠れるように寄り添う引っ込み思案の長岡茉歩(ながおかまほ)。
    最近そろって登下校をする三人につきまとうストーカーの気配。
    遅刻の常習で不良の元締めと噂される葉原美雲(はばらみくも)。
    そして廃園の館で夜な夜な行われる天体観測会。

    現実から5ミリ程度宙に浮いた世界観は、細部のリアリティと心情的な説得力によって支えられている。三章立ての物語は各章が短篇ミステリのような味わいを持ちつつ、何度も訪れる構図の反転によって大きな驚きを湛えたひとつの物語となっている。
    事件を解決する、謎を解き明かすといった類いの話ではないが、これはまぎれもなくミステリの傑作であり、少女たちの成長物語である。

    説明するのは難しいが、説明し難いことこそが読書の醍醐味だろう。すでに隠れた名作として埋もれてしまいそうな予感はあるが、興味を持った方には是非読んで頂きたい。
    作者は一部の読者から熱狂的な支持を得つつも沈黙。このたび五年ぶりの本作で完全復活だそうだが、これからも書き続けてほしい。早くも次回作を期待している。

    • 円軌道の外さん

      いやぁ〜
      素晴らしいレビューに
      ひととき引き込まれました(笑)(^O^)

      kwosaさんのレビュー自体を引用したいくらい(笑...

      いやぁ〜
      素晴らしいレビューに
      ひととき引き込まれました(笑)(^O^)

      kwosaさんのレビュー自体を引用したいくらい(笑)
      名言続出だし、

      インパクトあるタイトルも
      自分好みで惹きつけられます。


      廃園の館で
      夜な夜な行われる天体観測会なんてくだりだけで、
      映像が浮かんできて

      ドキッとしてしまったし(汗)


      図書館にあるかなぁ〜(^_^;)

      2012/12/07
    • kwosaさん
      >円軌道の外さん

      恐縮です。
      そんなに褒めて頂けるなんて......恐縮です。

      この『星を撃ち落とす』は今年出版された他のミステリにくら...
      >円軌道の外さん

      恐縮です。
      そんなに褒めて頂けるなんて......恐縮です。

      この『星を撃ち落とす』は今年出版された他のミステリにくらべて、そこまで話題に上っていなかった印象があるのですが、なんとなく勘が働いたというか「匂い」を嗅ぎ当てました。そういうので「当たり」を引くのは嬉しいものですね。

      思い入れたっぷりにレビューを書いちゃったので、お気に召すかちょっと心配です。
      2012/12/07
  • 全くのノーマークでしたが、オススメされて
    読んでみて、すっっかりはまってしまいました。

    本書のテーマというか醍醐味は
    「一体何が真実で何がうそなのか」を考えること
    その一点に尽きると思います。

    絡み合った人間関係の中で
    立場による相違、善意と悪意が入り乱れ
    思春期特有の思い込みの激しさで語る登場人物に惑わされ
    誰が真実を言っているのかわからなくなります。
    さながら、作者が用意した迷宮に、
    はまり込んでしまったかのように。

    その中で真実を見付け出すことが
    本書の中で用意されたミステリーなんだと思います。

  • 主人公の友人が車にはねられ意識不明になります。彼女は親友らとの間に距離を置き、あまりいい噂を聞かない同級生とつるんでいました。なぜ友人が飛び降りたのか、何が彼女をそうさせたのかを探るミステリーです。
    真相と思えたことが二転三転する展開は面白いと思いましたが、憶測で作り上げられた推理に皆が納得しているだけで、結局何も解決していません。途中で挟まれる「屋敷の一角に閉じこもったお譲様の話」もほったらかしで、不満だらけでした。

  • 図書館で借りる。女子高生4人の物語としては、わかりやすく面白かった。その周囲の天体観測会とかお嬢様の話はなくてもよかったかなーと、もやっとしたままで残念。いじめっ子がイジメの標的になるなど、物事は一面的な見方は出来ないと伝えたかったからのエピソードと思っている。

  • 茉歩の首に巻かれた紐を飼い犬の散歩のように握る美雲、扉の奥に閉じ籠るA嬢、そして茉歩の自殺未遂――。序盤こそ少女たちのあまりにもぴりぴりとした対立関係に胃が痛みましたが、第1章が終わる頃にはすっかり虜になっていました。確かな事実の裏に潜んだ真意を、外堀を埋めていくことで推理する。新たな推理が披露される度に色を変える人物像と、そこから見える景色。何が正解だと明言されないからこそ底知れない怖ろしさを感じさせ、どの推理にも相応に“真実”である可能性を残します。絶対的な答えを導き出すことよりも、論理を用いて何パターンもの推理を提示してみせることに重きが置かれた多重解決モノに近い構造で、ジャンル的には日常の謎に分類されると思うのですが、こういうタイプのミステリはちょっと読んだことがないです。

  • 当初も思っていたような女子高生同士のドロドロとしたようなミステリではなく、透き通った残酷さと青春期特有の承認欲求が内混ぜになった青春ミステリでした。星を撃ち落とすというタイトルもいいし、透き通った星空の希望を孕んだもの寂しいイメージと内容が合致している。3章仕立てで間に別のエピを挟むという変則的な構成ながらも、しっかりと読めるつくりになっている。

  • 高校の友人たちの上下関係が気になってはいたけれど、それよりも自分は何をしたいのかわからずにいた少女が、苦い経験をもとにそれをつかむまで。女子高生ミステリ。きゃっきゃウフフな雰囲気ではなく、どこかに冷静な部分を残したような少女たちのかけあいが面白かった。百合……ではないんだけど、百合マンガにありそうな透明な空気感が素晴らしい。表紙も好き。フォントも合っている。

  • 四人の女子高生たちのミステリで、廃園に囲まれた舘やそこに閉じ籠もっている主である少女や、感受性が豊かであったが為によじれてしまった少女等、題材はすきそうなのに、表層を受け取るくらいしか出来ずあまり入り込めなかった。良い意味で現実味のない雰囲気はすき。

  • 妬ましくて、愛おしくて、少女というもの。

    著者の話をいくつか読んだが、ちょっとした悪意だったり、裏の気持ちだったりが、降り積もっていく話だな、と思う。人間である以上、好き嫌いはあるし、成長しきれていない部分がある。ましてや、少女では。

    津上有騎、水瀬鮎子、長岡茉歩、葉原美雲。四人が抱える想いは、優しさか、恨みか、ねたみか、同情か。私と同じだ、と思えなくても、わかるところがどの少女にもある。誰が悪かったのか、なんて、わかるわけがない。

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