リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
3.37
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本棚登録 : 412
レビュー : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017774

作品紹介・あらすじ

僕らは、確かに生きている。君という人間を、僕は憶えている。カンボジアの地を彷徨う日本人少年は、現地のストリート・チルドレンに拾われた。「迷惑はな、かけるものなんだよ」過酷な環境下でも、そこには笑いがあり、信頼があった。しかし、あまりにもささやかな安息は、ある朝突然破られる――。突如彼らを襲った、動機不明の連続殺人の真相とは? 激賞を浴びた『叫びと祈り』から3年、カンボジアを舞台に贈る鎮魂と再生の書。

感想・レビュー・書評

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  • カンボジアのストリートチルドレンの生きる、あまりに過酷な世界。そこで起きた連続殺人事件。いったいだれが、なぜ?その場に身を落とした日本人少年が追ったその真相とは?
    「叫びと祈り」から満を持しての2作目は、ストリートチルドレンを題材にとった長編ミステリ。ミステリの要素よりも、子供たちの世界の特異性が、この日本人の目からはとても痛々しくてたまらない。なにもかもが常識外であるから、一つ一つの彼らの当たり前=諦めがひとつひとつ突き刺さってくる。それでも彼らは生きる。自死という概念の薄いカンボジアで、懸命に生きている…だから。
    …その動機については、作中で何度も何度も叫ばれていることでもあったから、なるほどとは思いました。意外性やトリックの独自性を驚くよりも、このカンボジア、この物語世界でしかなしえない動機ではあると感じました。
    それにしてもただ重い。主人公の少年も辛すぎる。いったいどうしてこんなに道が分かたれてしまうのだろう、などと答えも出せないのに考えてみたりしてしまった。

  • カンボジアのストリートチルドレンの間で起こる殺人事件。前作もそうだったが、その人の生活環境ならではの思考回路による動機が今回もポイント。何とも遣る瀬無い気持ちになる。ミサキが頑なにホームに入りたがらなかったり、日本へ帰りたくないのかが、理解し難い。親族の当てがないにしても日本の保護施設に行きたいとは思わないのかな。

  • 五感に迫るカンボジアの空気の強烈さに、息が詰まりました。絶望の中で生まれ育った少年たちはどうしてこの現実の中で笑えるのだろう。世界の底から空を見上げる彼らに、優しい雨が降り注ぎますように。

  • カンボジアのストリートチルドレン。
    ごみの山から再利用可能なエモノを掘り出して換金して生活している彼らの仲間になったミサキ。
    そんな彼らの仲間が次々と殺されていく。混乱しながらも、その犯人を暴く。
    そんなストーリーですが、最初は社会物の話かと思う位ミサキの目を通して描かれています。ミサキ自身が仲間になった背景の世界の闇の部分を描いています。
    欲張りすぎな感はあり、この手のミステリは初めてでしたが、まあ楽しめました。
    いくつか出てくる誌的な表現は良かったと思います。

  • カンボジアでゴミを拾って暮らす、路上生活児たち。貧しい国の最下層を這う、その実態が衝撃的で、ミステリなのを途中まで忘れてた。もっと彼らのことを知りたいと検索しても、この本ばかりがヒットする。。。

  • <止まらない空の泣き声が,川原に響いていた―>

    通勤バスを降りると,空を見上げるようにしている.
    そうすると,今日を感じることができるから.
    空に,見ていることを知らせてあげることはできないかな,
    呵々と笑っていることを,さめざめと泣いていることを,僕も感じているよと,そう伝えることができたら.
    空の背負ったものを,包み込むものを,少しでも僕が代わってあげられたなら.

  • 面白い話では無い。ストリートチルドレンの思考は偏ってるのを描写したい? 不幸な主人公の成長を?人が簡単に殺されていく実情を? 主人公の推理は妄想に囚われているし。もう読まないな。

  • 『叫びと祈り』に続いて、犯人の動機が一番の謎。
    ………なんですが、理不尽な世界と劣悪な環境の丁寧な描写に、読むのが大変だった。本当にいい話なんですが…。

  • 1年くらい前に買って、何故か埃を被っていた1冊。
    デビュー作の『叫びと祈り』は、私たちとの価値観の違いを理論に落とし込み、異形の動機を描き切った傑作でしたが、本作もそのスタイルは変わらず、長編でその異形の世界を楽しめる素晴らしい一冊でした。
    ただ、このスタイルを貫こうとすると、いずれアイディアが枯渇しそうで怖いのですが…
    本書で描かれる動機は、この世界だから成し得た、こちら側に住む我々にはやはり想像できない、痛烈なものです。これだけで十分評価に値するのに、フーダニットの要素もあり、しかもこれが極めて論理的に解明されるのですから、もう堪りません。
    早く新刊が読みたいところです。

  • 梓崎優の第二作、長編ミステリ。
    異国の、異色の環境下での少年たちの生活と、そこで起こる事件を扱う。
    雰囲気や登場人物たちの感情・行動は、一作目に続きとてもリアルに感じられ、知らない世界へもすんなり引き込まれる。
    フー・ハウ・ホワイダニットとはあまり美しくないが、事件の真相とは別で張られる伏線とその回収は、それなりに興奮した。
    文章に安定感があるので、後作も追っていきたい。
    3+

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