オーブランの少女 (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 401
レビュー : 76
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017781

作品紹介・あらすじ

花咲き乱れるオーブランの庭に眠る、少女たちの秘密。第7回ミステリーズ!新人賞佳作ほか、ヴィクトリア朝や昭和初期に生きる少女たちを描く5編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ~、文句ナシに面白かった!
    目は熱狂して文字を追い続け、
    手はページをめくるためだけのマシーンと化す喜びよ(笑)

    デビュー作とは思えないくらいの完成度で、
    ひさびさに誰彼構わずオススメしたい一冊!

    普段一冊読むのに通常一週間以上かける自分が
    珍しく二日で一気読みしたし、
    あまりの心地良い余韻に
    間髪入れずにまた始めから二度読みしてしまった(笑)

    つか、なんでこの短編集が
    中身の充実ぶりに比べて
    まだあまり知られていないのか不思議なくらい
    ホンマいい作品です。

    どの作品も少女が主人公となっていて
    ミステリーを期待して読むとちと弱いけど、
    とにかく細部まで丹念に緻密に構築されていて
    嘘をホントに見せる為の圧倒的なディテールの確かさと
    豊富な語彙を駆使し
    映像喚起力に優れた美しい描写力で
    とにかくグイグイ読ませるのです。
    (先日紹介した梓崎優同様に、物語性に重点を置いたスタンスはミステリーの枠に止まらぬ大器の予感プンプンです)


    ナチス占領下のフランスを舞台に
    比類なく美しい庭園オーブランに集められ
    様々な色のリボンと花の名前を与えられた少女たちが遭遇する凄惨な殺人事件の顛末を描き、
    第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選した表題作
    『オーブランの少女』、

    ヴィクトリア朝時代のロンドンを舞台とし、
    少女に翻弄される冴えない中年医師の悪夢を描いた
    『仮面』 、

    大雨の中、タクシーで隣町の安食堂に現れた謎の少女と
    たった一度の過去の過ちから
    自分の娘ではないかと疑心暗鬼に陥る店主との心理戦を描き、
    掌編と言っていい短さながら
    ラストは見事な着地を決めてくれる
    『大雨とトマト』、

    昭和初期の女学校で生きる少女たちの恋や友情を百合百合しく描き、
    本作品中唯一あたたかな読後感を残す
    『片思い』、

    北欧をモデルにした架空の国の没落を描き、
    スリリングでサスペンスフルな展開に
    ページをめくる手が止まらなくなること必至の傑作短編
    『氷の皇国』など

    時代も国も異なる5つの短編は
    映画『17才のカルテ』、ソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』、
    ルシール・アザリロヴィック監督の『エコール』、 ピーター・ウィアー監督の『ピクニックアットハンギングロック』、
    小説ならフランソワーズ・サガンの『悲しみよこんにちは』などの名作を彷彿とさせ
    どれもバラエティーに富んでいて
    読み応えあり!
    (翻訳小説が好きだという著者の言葉通り、 『仮面』と『氷の皇国』の圧倒的なまでの世界観がとにかく秀逸で個人的にたまらなくツボだった)


    それにしても女ってコワいっ(汗)( >_<)

    純粋と狂気、そこはかとなく香る色香と甘やかさ、
    危うくて儚くて愚かでいて
    美しくも残酷な思春期の少女たち。

    不完全で儚い存在の少女たちをテーマに描くことで
    物語に深い余韻を残し、
    光陰矢のごとしな
    二度と戻らない時間のかけがえのなさや哀しみを
    物語に深く印象づける効果も上げています。


    今流行りの軽い文体とは対極に位置する重厚な筆致なので
    慣れてない人には逆に読みづらいかもだけど、
    意外性のある結末と物語性を重視する方には
    必ずや満足してもらえる内容だし、
    次回は是非とも
    異国情緒溢れるダークな長編を期待してます!
    (恩田陸や米澤穂信のダークファンタジーや桜庭一樹の少女小説が好きならかなりツボなんでは)

    表題作の世界観を見事に表現した
    シライシユウコさんによる表紙のイラストも絶品!

    • kwosaさん
      【緊急速報】
      ダークファンタジー、ゴシックミステリの傑作
      服部まゆみの『この闇と光』が11月25日に新装版で角川文庫からめでたく復刊!
      ...
      【緊急速報】
      ダークファンタジー、ゴシックミステリの傑作
      服部まゆみの『この闇と光』が11月25日に新装版で角川文庫からめでたく復刊!

      美しい書影に、深緑野分さんもtwitter上で「買い直そう!」と言っていました。

      ご興味があれば、評判になってあちこちから情報が漏れ聴こえてくる前に読んだ方がいいと思います。

      と、おもわず興奮してついついコメントを。
      失礼しました。
      2014/11/14
    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、ご無沙汰しております!
      実は本業のボクシングの試合で怪我をして
      去年の年末から先月まで入院しておりまして…(^^;)...

      kwosaさん、ご無沙汰しております!
      実は本業のボクシングの試合で怪我をして
      去年の年末から先月まで入院しておりまして…(^^;)
      体調は良くなりつつありますが、
      まだリハビリ中の身です。

      あと、いつも沢山のお気に入りポチとコメント
      ホンマにありがとうございます!
      kwosaさんはお変わりないですか?

      『オーブランの少女』はホンマ読み応えある短編集ですよ! 
      新人が書いたとは思えないほど面白いし、物語る力というか、そのストーリーテラーぷりに
      最初から最後までニヤケっぱなしで読んでました(笑)

      あははは(笑)
      レビュー読んでないなら
      もう余計なことはチャックチャック(笑)(^^;)

      また感想聞かせてくださいね~♪

      そう言えば深緑さん、春に新作長編が出るとか言ってたけど、
      もう発売されたんかな?
      2015/04/14
    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、よだれタラタラな情報ホンマありがとうございます!
      コレ、今気付きました(汗)((((((゜ロ゜;

      服部まゆみさん...

      kwosaさん、よだれタラタラな情報ホンマありがとうございます!
      コレ、今気付きました(汗)((((((゜ロ゜;

      服部まゆみさんは読んだことない作家だけど、師匠が仰るなら
      是が非でも手に入れます!(笑)
      つか、せっかく最速で教えてもらったのに
      季節まで変わっていてすいません!( >_<)
      kwosaさんはもう読まれたんかな?

      2015/04/14
  • 「オーブランの少女」「仮面」「大雨とトマト」「片想い」「氷の皇国」連作かと思ったら違いました。時間をかけてゆっくり読むのが合うような、考える時間をたくさんもらえた作品でした。


    ミステリが苦手、外国が舞台も苦手…。だけど『戦場のコックたち』の前に読んでみたいと手に取りました。正直…これで新人なの…って驚いた。


    表紙絵。「オーブランの少女」は思わず最後の一文を読んで、思わず二度読みしました。きれいで不穏。鳥肌が立ちました。これは興味のある世界観だったので、すんなりと読めたけど「仮面」は大苦戦。積んだ。積んだ。…数日で返却日なので拒否反応半分出ていましたが、渋々読みました。「仮面」は途中から慣れて文字を追えるようになりましたが、やはり腑に落ちない部分があったような気がする。


    作品のあっちこっちに「理不尽」がいっぱい…。感情移入してしまい、悔しくって手をグッと握ってしまいました。


    「大雨とトマト」は二転三転して、読み終えて…この後一体どうなるのやら…と想像したら、少しドタバタ喜劇かな…と思ったり。色々なタイプの作品があってあきない。


    「片想い」片想い→片想いで百合の花園。エス。岩様、頼もしい。「鯵に違いないわ」のセリフで、私は岩様に惚れました。



    「氷の皇国」…長い…。私は読み切れるのか。かなり不安を感じましたが、この作品が断トツで良かったです♪ケーキリア皇女こわ過ぎる。すべて自分の意のままに権力を振りかざして、突きつけられる身勝手な想いと「理不尽さ」が重々しい。想いが深すぎると人間、やっぱり歪んだり軋んだりしてしまうものなんですね…。皇帝と皇女はきっと「孤独」にさいなまれていたんだろうな…。悲しいことだ。


    “「誰もが常に何かの選択を迫られ、良いと思った方を選んで生きているものなのよ。」”=251ページ=

    “「へイザルを犠牲にして娘を救った代償として、自分は今こそやるべきことをやらねばならない」”=253ページ=

    “生かされてしまった罪悪感に折り合いをつけていく自信がない。”=256ページ=



    生きていくって重い。そして選択の繰り返し。時には何かを捨ててそれで良かったのか、間違っていたのか…は後になってからじゃないとわからないというセリフも深く心に残った。


    皇后のその後はどうなったんだろう。日本だったら自ら命を絶つのが多いだろう。けどそれじゃあ償いにはならない。ならば出家、尼かな…。外国なら…吟遊詩人になって後世に伝わるように歌い継ぐことかな…。


    ヘイザルの笑顔と「また会おう」で、私の心をくり抜かれるくらいストライクな作品。泣けました。すごいの一言に尽きました。

  • 「オーブランの少女」と「氷を皇国」が面白い。
    筆者のデビュー作の短編集。

    「オーブランの少女」は、哀しきミステリー小説だった。
    謎の施設オーブラン。
    ハンディキャップを持った少女が集められる施設で起き続ける死。
    恐ろしき始まりが紐解かれていく。ページをめくるスピードがどんどん早まる展開だった。

    「氷の皇国」は、北欧の国に起きた哀しい歴史小説。
    残虐な国王が溺愛する皇女の計略。
    皇女によって過酷な運命に巻き込まれてしまった少女達。
    面白い、残虐に突き進む時間の流れを洗練された言葉でどんどん先へ先へと運んでいく。
    読み手もぐいぐい引き込んでいく。

    この2作だけでも読むべし。

  • 少女に纏わるお話しが5編。
    いろんな時代設定、場所も日本だったり、異国の地だったり。
    ミステリアスでどんどん引き込まれていきました。
    タイトルの「オーブランの少女」と「氷の皇国」が面白かった。
    また次の作品を読んでみたい。

  • どんどん先を読みたくなるストーリーに、とても読み応えがある文章、幻想的かつ耽美な設定の物語、登場する人物たちの魅力が存分に伝わる描き方。それでいて文章は美しく、ごちゃごちゃしておらず大変読みやすい。素晴らしい作家さんだと思う。とりわけ、少女の描き方がとても良い。

    ・オーブランの少女
    病弱な少女たちが集うサナトリウム。手首に巻かれたリボンの意味、なぜ悲劇が起きたのか、この施設の本当の目的とは……全てが収束し物語が今に戻ってくる様は圧巻。

    ・仮面
    真の企みの全てがわかった時は唸らされた。リリューシカはどんなに美しい少女なのだろう。

    ・大雨とトマト
    流行らない飲食店の中、店主と2人のお客。それだけの舞台設定で短い話だが、よくまとまっていて、意外性もある。

    ・片想い
    花の大正、『はいからさんが通る』を想起させるような、日本の女学校が舞台の物語。エスという言葉が秘密めいていて、雰囲気だけでも素敵な物語だが、ちゃんと謎が仕掛けられている。

    ・氷の皇国
    表題作と並んで好きな作品。ヘイザルには気の毒な末路であったが、あの絶望的な状況をひっくり返しただけでも凄いことだったのだろう。美しいが傲慢で欲深いケーキリア皇女、嫌いになれない。

  • 5つの短編からなっていますが、どれも秀作です
    特に表題のオーブランの少女はとても面白かったです
    映画にしても良いくらいです
    美しい庭園オーブランの管理人である年老いた姉妹、ある日姉が惨殺され、妹は自殺し、犯人は老衰のため死んでしまう
    美しい庭園に隠された過去

    ミステリーというには物足りなさがありますが、これは、お薦めかな…

  • コックさんがなかなか借りれないから…。わりと苦手な分野なのに、お昼休みにドキドキしながら読んだ。あまりにエキセントリックな少女よりふつうな少女がいいな。少女たちの物語って帯にあるけどむしろ周りの大人。「大雨とトマト」「片想い」が好きです。

  • 表題作が面白くなかったわけではないけれど、最後の「氷の皇国」が抜群に好み。
    様々な時代と文化を舞台に、ほんのり謎解きとすっきり大団円に終わらせない短編、中編を収めた良い本。

  • 古典を思わせる美しい文章。
    具体的なトリックどうこうより、お話の空気感がかなり好みでした。
    ただ、装丁がものすごく残念。アニメっぽい少女達の絵が内容にそぐわない。布張り(は無理だから布張りっぽい)だったら良かったのに。

    『オーブランの少女』
    静かな町の優美な庭で起きた、怪物のような謎の老婆による、美しい老婆の殺害。庭には怪物を閉じ込めていた形跡があり、殺された老婆は水とパンの入ったバスケットを持っていた…。
    語り部の娘が、美しい老婆の妹からもらった日記に、その答えが記してあった。語り部は小説家の性から、それを警察に届けずに自分の小説として書き示す。

    『仮面』
    不幸な少女達を救おうとした貧しい医師。少女の依頼どおりに少女達の雇い主を殺したが、全ての罪を被せられてしまった。

    『大雨とトマト』
    大雨の日のラーメン屋。店主と常連の男と美しい少女。
    人を探しに来たと言う少女の話に、店主は昔の女が子供を
    産んでいたのかもしれないと思い慌てるものの、むしろそうであったら今の生活を捨ててあの女のところに行くのにと思う。
    結局、少女の探している人というのは、店主の息子。
    少女が店主の息子の子供を身ごもっていると気づいた常連客は、店の募金箱から小銭をくすねていたことを黙っていろと帰りざまに脅迫する。

    『片想い』
    「エス」と呼ばれる女子校内での親友以上の関係。
    同室の彼女は誰からの願いも断り続けている。
    実は、彼女は本来入学すべきお嬢様の身代わりに入学していた。

    『氷の皇国』
    小さな村に、氷河にのって首なしの死体が流れてきた。
    町外れに住む老婆と旅の詩人だけは、それが誰だか知っていると言い、詩人は酒場でその死体のいきさつを詠う。

    使用人を愛してしまった皇女。その使用人が国を出て行くと言うので、
    皇女は、王位継承権を得る為にも以前から殺そうと考えていた弟(皇子)を殺し、その罪を使用人とその娘、そして娘の友人で使用人の親友の娘になすりつける。
    「指示したのはその使用人で、娘たちはそそのかされたに過ぎない。よって最も罰するべきは使用人で、処刑よりも辛い思いをさせながら生きながらえさせるべき」として、使用人に、皇子を殺した実行犯は娘なのか親友の娘なのかという辛い選択をさせ、
    実行犯は処刑。もう一方は吹雪の中へ国外追放。そして使用人自身は永久に牢にとじこめておく、と告げる。
    どちらかを選ぶタイムリミットの寸前、皇后が現れて、皇子を殺すチャンスがあったのは皇女だけだと推理を披露する。
    しかし皇后は皇女に向かって「あなたは使用人をかばっているだけなのよね?」とウソをつくことを促す。
    それを聞いた使用人は、歓喜の表情で皇子を殺したのは自分だと叫び、処刑される。その直前、彼は娘に向かって「また会おう」とつぶやく。
    皇女をかばって使用人を無実の罪で処刑させてしまった皇后は、謝罪を込めて、通常であれば遺棄される使用人の遺体を、娘に渡す。
    国を出る旅をしている途中、ソリが壊れて荷を軽くしなければならなくなり、「また会おうね」と言って父親の遺体を氷河のへ流す。

  • 色々な種類の美しい花々が咲き乱れるオーブランの庭。
    ある日、謎の老婆に女管理人が惨殺され、その妹が自殺した。
    その殺人現場に居合わせた私は
    奇妙な縁から管理人妹の日記を手に入れる。
    オーブランには、かつて重度の病気や障害を持つ
    少女達が集められ世界から完全に隔離されていたというが…

    以前ミステリアンソロジーで読んで
    すごく印象に残っていて、いつかこの作家さんの本が
    でないかな~と思っていたのですが…
    ついに一冊の本になったのですね!
    嬉しかったですし、他の作品も読んでみて
    やはり好みの作家さんだな、と思いました。

    一番好きなのは
    表題作の「オーブランの少女」ですね…
    世界から隔絶されたサナトリウムで過ごす
    花の名前を持つ少女たち。
    手首にまかれた色の違うリボン。
    その中で起こる惨劇とオーブランの存在の意味。
    恐ろしい童話のようでとても好きです。

    他の作品も美しくそれでいて残酷で良いですね…!
    「氷の皇国」も好きです。

    「仮面」醜い姉と美しい妹の少女たちに魅せられて
    殺人に手を貸した医者の末路。

    「大雨とトマト」土砂降りの雨の中、街の食堂の店主は
    帰らない薄気味悪い常連客と突然現れた少女と
    気詰まりな時を過ごしていた。
    少女は昔一度だけ関係を持った女に似ている気がする…

    「片思い」女学校で皆の憧れの的

    「氷の皇国」凍てつく寒さの中、恐怖政治を布く王には
    それはそれは美しい皇女がいた。

    今後の作品が楽しみです。

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著者プロフィール

深緑野分(ふかみどり のわき)
1983年、神奈川県生まれ。神奈川県立海老名高等学校卒業。パート書店員を経て、専業作家に。2010年、短編「オーブランの少女」で第7回ミステリーズ!新人賞の佳作に入選、作家デビュー。同作は2013年に単行本で刊行。2016年、『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、第18回大藪春彦賞候補、第13回本屋大賞候補に。2017年、第66回神奈川文化賞未来賞(奨励賞)を受賞した。2018年、『ベルリンは晴れているか』で第160回直木賞ノミネート。

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