今だけのあの子 (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
3.34
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本棚登録 : 225
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017866

作品紹介・あらすじ

私にだけ届かない招待状、彼女が部屋から帰らない理由。さまざまな年代の女性の友情に隠された想いを、情感あふれる筆致で描ききる、今注目の著者が放つ連作ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • どの短編も、読みやすくて面白かったです。

    ほんの少しの疑いや思い込みがどんどん膨らんで、
    取り返しのつかないことになってしまいそうな怖さ。
    謎が解けてみれば、それがやさしい嘘や思いやりが
    裏目に出てしまっただけのこと。

    一番印象に残ったのは、#答えない子どもでした。
    ソウくんママが、画用紙を手に謝りに来た場面。
    大雑把で子育てもずぼらに見えた彼女の、正直で素直な一面。
    そして暴れん坊に見えたソウくんが、
    本当は友達をかばってあげられる、やさしい男の子だったところです。

    疑うことはたやすくとも、信じ切ることは難しいものだなぁと…。
    誤解なら素直に向き合えば、きっと解けるはず…。
    でも実際は、へんな意地やプライドが邪魔をしてしまったりして…。

    ほんの少しのきっかけや、視点を変えることで、
    からまった糸がスルスルとほどけていくような感じがとても良かったです。

    芹沢央さん、初めましての作家さん。
    心理描写がとても巧みで、他の作品も読んでみたいです。

  • ・届かない招待状 ★★★★
    女のドロドロした後味が悪い話かと思ったら、最後にちょっと感動し、うるってなった。

    ・帰らない理由 ★★★★
    読んでてワクワクした。
    オチはもう少しパンチが効いたものが欲しかったが、これも友情の話で読後も悪くないない。

    ・答えない子ども ★★★★★
    ソウくんママ(史絵さん)がとにかく素晴らし過ぎる!!感動した!
    直香が神経質っていうか糞めんどくさいやつなのにいい人すぎる!
    これもちょっと感動して泣きそうになったわ

    ・願わない少女 ★★★
    つまらんくはないが、他の話が感動して心に残ったので普通。

    ・正しくない言葉 ★★★★
    「帰らない理由」のくるみのおばあちゃんの話。
    今が一番楽しいって思えながら生きてくのが幸せよね

  • 短編集。いくつかの作品で登場人物が重なっているから連作短編集かな。タイトルの「今だけ~」という作品はありません。

    「届かない招待状」…サークル内で私だけ親友の結婚式に招待されていない。自分の夫との不倫疑惑も湧き出てくる。原因は少し前に会話で出てきた「親族が過失致死を起こしていたら…」の答えだった。

    「帰らない理由」…かつては親友同士で卓球部だった女子二人。一人は交通事故でなくなるが、自殺との噂も立つ。幼なじみの男子は、亡くなった女子の家を訪れるが、もう一人の女子も来ていた。どうやらこの部屋から持ち出したいものがあるらしい。

    「答えない子ども」…念願の娘を授かり、人気の絵画教室に通わせている母親。おおざっぱで粗雑な印象を受ける教室仲間の家に寄るが、そこで娘は絵をなくしてしまう。相手の息子のせいだと決めつけるが夫は別の見方を示してくれる。

    「願わない少女」…滑り止めどころじゃない中学校に入学し、全然興味のないマンガ制作に挑む。唯一の友達と一緒にいたいために。しかし、高校に進むとその友達は現実的になりマンガに興味を失っていく。

    「正しくない言葉」…老人ホーム。夫に先立たれ、人を待つ暮らしをしていた主婦。お隣さんの嫁姑問題に出くわすが、それはお互いを気遣っての行動だと気づく。

    始めの招待状の話から、もっとイヤミス寄りの作品を予想?期待?していたが、全然でむしろハートフルな作品ばかりだった。それぞれの設定ならもっとむちゃくちゃなラストだってありえるけど、「今からやり直す」「失敗したけどここから進む」みたいに、素直に反応する主人公や、やさしい登場人物が多くて、これはこれでよかった。

  • 5話からなる短編集。

    「届かない招待状」
    仲良しサークルメンバーの中で自分にだけ結婚の招待状が届かなかった女性。
    さらに、結婚する親友は他にも疑惑があり、彼女は招待されていない結婚式である事を画策するが-。

    「帰らない理由」
    交通事故で亡くなった同級生の家を訪れた少年と少女。
    少年は亡くなった少女の恋人で、少女は親友。
    亡くなった少女の日記、そして彼女の部屋で見つかったある物から明らかになった事とはー。

    「答えない子ども」
    子供の絵を写真に撮るため必要になった三脚を返してもらうためにママ友の家を訪れた女性。
    繊細で神経質な彼女は何事にも大ざっぱでガラの悪いママ友が苦手。
    早々に三脚を返してもらい帰るつもりが、その家で娘の絵が無くなってしまう。
    彼女はママ友の息子が絵を隠したのだと確信する。

    「願わない少女」
    漫画家志望の少女と親友になりたいがために自分も漫画家になりたいふりをする少女。
    彼女は知り合いの男性から漫画を借りてその絵を模写する。

    「正しくない言葉」
    半年前に夫を亡くし老人ホームに入居した老女。
    彼女は同じホームにいる女性の元を訪れた息子夫婦の会話を聞く。
    気遣いが出来て穏やかな、いわゆる「いい人」の母親が自分が持ってきたお土産を食べてくれなかった事を二人は気にしていた。

    各話が独立した短編集かと思ったら最終話で今までに出てきた登場人物の名前が出てきたので「あ、つながってたんだ」と気づいた。
    でも、特にそれに意味があるようにも思えない短編集だった。
    私自身の読みが足りなかったからかもしれない。
    文章自体が何となくまだるっこしい感じで読みとばすような読書をしてしまったから見えてない部分があるのかも・・・と思う。
    読んでいる時はそれほど面白いと思わないけど、鋭い感性だな・・・と思ったり、結末にはそれなりに「なるほど・・・」となる本だった。

    特に私が好きなのは「答えない子ども」という話。
    この話では神経質な若い母親とそれと対照的に無神経なママ友が描かれているけど、実は無神経に思われる行動の裏には彼女の神経質の先にある感性が隠されていて・・・という話で、自分自身がわざとそういう事をする事があったのでよく分かった。
    繊細だと思われていた人が実は表面的な物しか見てなくて、無神経な人が実は深い人間性を持っていて・・・。
    こういう感性っていいな・・・と思う。
    私にとっては全体的には退屈だけど、ピンポイントでハッとするような、そんな本だった。

  • なるほど・・・読み友のおススメだけあって、これはよかったです! 連作短編なんだけど、リンクが微妙というか、切り口が新しいというか、リアルでも、もしかしたらこんなふうに繋がってるのかもな~と思ったり。思いやりって、双方が信頼し合っていないと、意外と誤解を生みやすいのかも?人同士の関わり合いって、ホントに難しいものですね~~!!!他の作品も読んでみたくなりました~♪

  • ドロドロとしているのかな?と見せかけて実は相手を思いやる女の友情を描いた作品。
    爽やかに女の友情ものを読めた作品は久々です。
    自分の好みは<答えない子供>と<正しくない言葉>かな。
    少しづつ登場人物がリンクしているのも面白いので、誰かまとめて相関図みたいなの作って欲しい。笑
    文庫には解説にかいてあるのかな?

  • 何となく世界線が繋がっている短編集。芦沢央なのでもっとダークなのかと思っていたら、そうでもなかった。
    2つ目のお話は私も該当するので、なるほどこうなるのか…と思いながら読んだ(こうなるかは分からないけど)

    漫画家の話は完全に叙述トリックにハマってしまって、面白く読めた。

  • 芦沢央初読。作者が女性ということがわかる女性ならではの視点と繊細な描写が特徴。私が小説に求めるものとは方向性が違った。

  • 女の友情と隠された想いがさまざまな年代で描かれていて、描き様によっては重くなり過ぎそうなところだが加減が上手い。

    「届かない招待状」
    「帰らない理由」
    「答えない子ども」
    「願わない少女」
    「正しくない言葉」

  • 表紙の絵が気持ち悪い。
    中はさらっと、すぐ忘れそう。

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ よう)
1984年生まれの作家。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。『罪の余白』は2015年に映画化された。その他代表作に、2016年版「週刊文春ミステリーベスト10」第7位、「このミステリーがすごい!」2017年版第5位、第38回吉川英治文学新人賞候補『許されようとは思いません』、そして第32回山本周五郎賞候補および本屋大賞ノミネート作となった『火のないところに煙は』など。2019年8月28日、『カインは言わなかった』を刊行。

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