今だけのあの子 (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
3.37
  • (9)
  • (60)
  • (75)
  • (11)
  • (4)
本棚登録 : 336
感想 : 66
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017866

作品紹介・あらすじ

私にだけ届かない招待状、彼女が部屋から帰らない理由。さまざまな年代の女性の友情に隠された想いを、情感あふれる筆致で描ききる、今注目の著者が放つ連作ミステリ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 各年代の女性の友好関係、親子関係、夫婦関係を土台とした短編ミステリー。
    1編目の「届かない招待状」の読み出しで、ドロドロ系かな…と思いきや、どれも重すぎず、ハートフルな気持ちでサラッと読了。
    特に最後の「正しくない言葉」の、"ずっと子供でいるのと、ずっと大人でいるの、どっちがいい?"の質問はいろいろと考えさせられる。"子供になりたくない(ずっと大人がいい)"と答えたら、今子供であるその子を否定することになる。でも、"ずっと大人がいい"は、いくつになっても楽しいことは沢山ある、そう示すことができる。
    最近は歳を重ねたくないなと感じる日々だけれど、この章を読んでそんな沈んだ気持ちが少し和らいだ。

  • 少しのすれ違いや勘違いで大きく仲違いしてしまう友情。
    中高生、OL、ママ友、高齢者、様々な年代の女同士のやりとりで、もつれた糸が最後には綺麗に解けるストーリー。
    相手ことを思うが故に黙っていたりすると、相手にとってはそれが怒りや悲しみにつながることもある。
    それでもお互いの真意に気づくことで友情がまた強く結びつく。
    言葉に出すことは大事。

  • 親友の結婚式に招待されないのは何故?優しい義母がお土産を食べなくなったのは?ちょっとした疑いや思い込みから生まれる黒いもやもやした感情が取り返しがつかなくなる前に視点の切り替えで解放される短編集。登場人物がリンクしているけど人は思わぬところで繋がっているとぼんやり思う程度のゆるさ。
    解放の先にあるのは光だったり新たな闇だったりで一律ではないところがいい感じ。
    好みなのは「答えない子ども」「願わない少女」ミステリ好きとしては論理の過程が楽しめる「帰らない理由」もかな。
    ただ「届かない招待状」の結びがいまいちわからなかった。時系列とそれぞれの関係がぴんとこない。

  • どの短編も、読みやすくて面白かったです。

    ほんの少しの疑いや思い込みがどんどん膨らんで、
    取り返しのつかないことになってしまいそうな怖さ。
    謎が解けてみれば、それがやさしい嘘や思いやりが
    裏目に出てしまっただけのこと。

    一番印象に残ったのは、#答えない子どもでした。
    ソウくんママが、画用紙を手に謝りに来た場面。
    大雑把で子育てもずぼらに見えた彼女の、正直で素直な一面。
    そして暴れん坊に見えたソウくんが、
    本当は友達をかばってあげられる、やさしい男の子だったところです。

    疑うことはたやすくとも、信じ切ることは難しいものだなぁと…。
    誤解なら素直に向き合えば、きっと解けるはず…。
    でも実際は、へんな意地やプライドが邪魔をしてしまったりして…。

    ほんの少しのきっかけや、視点を変えることで、
    からまった糸がスルスルとほどけていくような感じがとても良かったです。

    芹沢央さん、初めましての作家さん。
    心理描写がとても巧みで、他の作品も読んでみたいです。

  • モヤモヤの原因、女子たちがこじれる原因って、勘違いや被害妄想なのかも、、と思わせる短編集。

    ちょっと誤解があるんじゃないかな、、と思いながら読むと、さらに向こう側に答えがあるような気持ちいい裏切られ方。

    子供のときも、成人しても、ママになっても、老人ホームに入っても、こういうことって起きるんだなぁ〜 でもこんなふうに、真実は自分の想像の外にあるのかもしれない。

    『答えない子ども』の旦那さんと、ママ友がステキでした。

  • あ、そうなんだーと思っている間に読めてしまう短編集。バライティ豊かに楽しめるとも言えるし、消化不良でお腹いっぱいになるとも言えるので、エネルギーがないけど活字に集中したいときにはいいのかな。基本的に読後感は悪くないけど、すっきりしないけど、という感じ。

    著者の長編‥は
    まだ挑戦出来なさそう。

  • ・届かない招待状 ★★★★
    女のドロドロした後味が悪い話かと思ったら、最後にちょっと感動し、うるってなった。

    ・帰らない理由 ★★★★
    読んでてワクワクした。
    オチはもう少しパンチが効いたものが欲しかったが、これも友情の話で読後も悪くないない。

    ・答えない子ども ★★★★★
    ソウくんママ(史絵さん)がとにかく素晴らし過ぎる!!感動した!
    直香が神経質っていうか糞めんどくさいやつなのにいい人すぎる!
    これもちょっと感動して泣きそうになったわ

    ・願わない少女 ★★★
    つまらんくはないが、他の話が感動して心に残ったので普通。

    ・正しくない言葉 ★★★★
    「帰らない理由」のくるみのおばあちゃんの話。
    今が一番楽しいって思えながら生きてくのが幸せよね

  • 何となく世界線が繋がっている短編集。芦沢央なのでもっとダークなのかと思っていたら、そうでもなかった。
    2つ目のお話は私も該当するので、なるほどこうなるのか…と思いながら読んだ(こうなるかは分からないけど)

    漫画家の話は完全に叙述トリックにハマってしまって、面白く読めた。

  • なんとなくスッキリしそうでしなそうで、やっぱり落ち着く話。さすが。
    結婚式に呼ばれない女性、漫画家目指す女子高生、友達が交通事故で亡くなった女子高生と亡くなった子の彼氏、老人ホームで暮らして子供が持ってきたお菓子を食べない理由。
    短い話なのに、どれもそれなりに深い闇があってハッとする。

  • 図書館で借りて読んだ。

    女の友情を書いた短編集。5編。長さ的には中編。それぞれが薄っすらと繋がっていることに後の方になって気が付く。イヤミスに分類されると思うが、それだけではない爽やかな読後感が残る。「願わない少女」は以前どこかで読んだので再読。

全66件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

芦沢央の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
辻村 深月
湊 かなえ
辻村 深月
宮下奈都
米澤 穂信
湊 かなえ
湊 かなえ
湊 かなえ
東野 圭吾
湊 かなえ
坂木 司
辻村 深月
恩田 陸
柚木 麻子
辻村 深月
奥田 英朗
米澤 穂信
柚木 麻子
瀬尾 まいこ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×