- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017866
作品紹介・あらすじ
私にだけ届かない招待状、彼女が部屋から帰らない理由。さまざまな年代の女性の友情に隠された想いを、情感あふれる筆致で描ききる、今注目の著者が放つ連作ミステリ。
感想・レビュー・書評
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少しのすれ違いや勘違いで大きく仲違いしてしまう友情。
中高生、OL、ママ友、高齢者、様々な年代の女同士のやりとりで、もつれた糸が最後には綺麗に解けるストーリー。
相手ことを思うが故に黙っていたりすると、相手にとってはそれが怒りや悲しみにつながることもある。
それでもお互いの真意に気づくことで友情がまた強く結びつく。
言葉に出すことは大事。 -
親友の結婚式に招待されないのは何故?優しい義母がお土産を食べなくなったのは?ちょっとした疑いや思い込みから生まれる黒いもやもやした感情が取り返しがつかなくなる前に視点の切り替えで解放される短編集。登場人物がリンクしているけど人は思わぬところで繋がっているとぼんやり思う程度のゆるさ。
解放の先にあるのは光だったり新たな闇だったりで一律ではないところがいい感じ。
好みなのは「答えない子ども」「願わない少女」ミステリ好きとしては論理の過程が楽しめる「帰らない理由」もかな。
ただ「届かない招待状」の結びがいまいちわからなかった。時系列とそれぞれの関係がぴんとこない。 -
どの短編も、読みやすくて面白かったです。
ほんの少しの疑いや思い込みがどんどん膨らんで、
取り返しのつかないことになってしまいそうな怖さ。
謎が解けてみれば、それがやさしい嘘や思いやりが
裏目に出てしまっただけのこと。
一番印象に残ったのは、#答えない子どもでした。
ソウくんママが、画用紙を手に謝りに来た場面。
大雑把で子育てもずぼらに見えた彼女の、正直で素直な一面。
そして暴れん坊に見えたソウくんが、
本当は友達をかばってあげられる、やさしい男の子だったところです。
疑うことはたやすくとも、信じ切ることは難しいものだなぁと…。
誤解なら素直に向き合えば、きっと解けるはず…。
でも実際は、へんな意地やプライドが邪魔をしてしまったりして…。
ほんの少しのきっかけや、視点を変えることで、
からまった糸がスルスルとほどけていくような感じがとても良かったです。
芹沢央さん、初めましての作家さん。
心理描写がとても巧みで、他の作品も読んでみたいです。 -
モヤモヤの原因、女子たちがこじれる原因って、勘違いや被害妄想なのかも、、と思わせる短編集。
ちょっと誤解があるんじゃないかな、、と思いながら読むと、さらに向こう側に答えがあるような気持ちいい裏切られ方。
子供のときも、成人しても、ママになっても、老人ホームに入っても、こういうことって起きるんだなぁ〜 でもこんなふうに、真実は自分の想像の外にあるのかもしれない。
『答えない子ども』の旦那さんと、ママ友がステキでした。 -
あ、そうなんだーと思っている間に読めてしまう短編集。バライティ豊かに楽しめるとも言えるし、消化不良でお腹いっぱいになるとも言えるので、エネルギーがないけど活字に集中したいときにはいいのかな。基本的に読後感は悪くないけど、すっきりしないけど、という感じ。
著者の長編‥は
まだ挑戦出来なさそう。 -
何となく世界線が繋がっている短編集。芦沢央なのでもっとダークなのかと思っていたら、そうでもなかった。
2つ目のお話は私も該当するので、なるほどこうなるのか…と思いながら読んだ(こうなるかは分からないけど)
漫画家の話は完全に叙述トリックにハマってしまって、面白く読めた。 -
図書館で借りて読んだ。
女の友情を書いた短編集。5編。長さ的には中編。それぞれが薄っすらと繋がっていることに後の方になって気が付く。イヤミスに分類されると思うが、それだけではない爽やかな読後感が残る。「願わない少女」は以前どこかで読んだので再読。