- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488018139
作品紹介・あらすじ
地震、台風などと同じく自然災害の一種として"怪獣災害"が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、気象庁内に設置された怪獣対策のスペシャリスト集団"気象庁特異生物対策部"略して"気特対"が、人を守るため昼夜を問わず駆けまわっている。7年前に出現した、少女の姿をした怪獣6号「ヒメ」。眠りについたままのヒメを移送中のヘリが、突如飛来した青い火球と接触、墜落する。それと相前後して、つくば市に暮らす高校1年生、案野一騎の頭の中へ呼びかけてきた少女の声-それは、宇宙怪獣の地球襲来を警告するものだった!未曾有の"宇宙怪獣災害"に巻きこまれた一騎とその女友達、亜紀子は…!?本格SF+怪獣小説『MM9』第2部。
感想・レビュー・書評
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続編のほうが、より面白くなってました。
次の第3巻も期待してます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
伊勢BF
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不謹慎かもしれないが、東日本大震災の津波の被害を見て、怪獣映画を連想してしまった。といっても、たとえゴジラが三陸を縦断したとしても、あそこまで破壊されなかっただろうという感想。もっとも放射能怪獣の恐怖は原発事故で現実化してしまったともいえるが、それはいささか別の話である。
『MM9』の世界は、地震をはじめとする天災被害が、すべて怪獣による被害、すなわち怪獣災害となっているという、いわばパラレルワールドである。怪獣の容積に従って被害も大きくなるということで、気象庁特異生物部対策課(気特対)がモンスターマグニチュード=MMを定めて警報を発するという設定だが、まさか作者も現実にマグニチュード9の地震が来るとは思っていなかっただろう。
怪獣は物理法則に従わず、巨大化したり、物理的兵器が効かなかったりするが、それは科学法則に従うビッグバン宇宙と科学法則を無視した神話宇宙が併存しているからだと宇宙論の人間原理を濫用して説明しているのが、背景の骨子である。
本書『MM9─invasion─』はMM9シリーズ初の長編で、東京創元社のウェブ・マガジンに連載という試みもなされた。今回は、神話宇宙に属する妖怪が蘇らせた古代の大怪獣クトウリュウに対して人間の女の子型の怪獣ヒメが迎え撃つという『MM9』のエピソードの続編である。地球怪獣でダメなら宇宙怪獣というお約束を踏襲して、本編では妖怪が謎の宇宙人と結託して、宇宙怪獣を呼び寄せる。迎え撃つはヒメ。しかし今回のヒメはヴァージョンアップしていて、ますますウルトラマンぽくなっており、随所にあるウルトラマンへのオマージュにニヤリとする。主人公は気特対の元隊員の息子の高校生。これは星野少年へのオマージュか。舞台はいままさに怪獣ものといったら破壊の舞台にするしかない旬の建造物。
舞台と役者は揃った。話はストレートに地球侵略に飛来する宇宙怪獣とその迎撃に絞り込まれていく。怪獣被害でいったいどれほどの人が死ぬのかなどと登場人物が案ずる場面では、否応なく震災の被災地のことを思ってしまう。それだけに怪獣の撃退は爽快だった。
だが、まだ宇宙怪獣はいるんだぞ。って『MM9─destruction─』に続く。 -
2014/11/19
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特撮愛という愛情表現を、庵野秀明氏の製作したショートフィルムやプロデュースした展覧会などで体感、実感することがここ数年ありました。なるほど、一昔前ならマニアの嗜好だったそれらを表舞台に引っ張り上げた氏の功績は大きいと思います。
しかし、ことその愛情を文章で表現することにかけては、やはり山本弘氏に適うものはいないのではないでしょうか。や、単にワシが本作シリーズ以外に「特撮小説」を読んだことが無いってだけでもあるのでしょうが。
そう、このシリーズは著者の、「特撮」へのラブレターでは無いか、そんな埒もないことを感じます。
ワシはさして特撮物に詳しくありませんが、それでも溢れ出る過去作へのリスペクトはビシビシと感じますし、それでいてしっかり「作品」あるいは「小説」としてはオリジナルを貫いています。その独創性である、怪獣を、造形などとは別の意味で、SF的に「リアル」に描いた視点は、やはり前作に続き面白いものです。 -
珍しく小説で声を出して笑ってしまった。
一騎くん、本当にうらやま(おっと)、大変でしたねえ。 -
前作から月日が経って、ヒメが成長している!というかなんというか・・・ともかく長編になったと言うのに、まだ続くのかという感じ。短編とは違った人間関係が描かれていて、そういう視点では面白いが、本来のぶっ飛んだ設定が逆に制約になってしまっている感じもする。面白いからそれはそれで楽しめるのだけれども、著者はどこを落としどころにするのか?やはりヒメがキーなのかなぁ。
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第1作のウルトラQ的な内容に、少しラブコメ要素も足された続編。ラブコメも軽目で微笑ましくすんなり読めたし、相変わらず膨大な知識に裏打ちされた荒唐無稽な怪獣描写が素晴らしい。