うどん キツネつきの (創元日本SF叢書)

著者 :
  • 東京創元社
3.07
  • (1)
  • (11)
  • (7)
  • (5)
  • (3)
本棚登録 : 81
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488018191

作品紹介・あらすじ

その生まれたての子犬はビルの屋上から信じられないほどの太い声で啼いていた。学校帰りに奇妙な犬を拾った三人姉妹の話――第1回創元SF短編賞佳作の表題作など全5編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  •  5編からなる短編集。
     表題作の「うどん キツネつきの」が第一回創元SF短編賞佳作に選出されている。
     実はその表題作が一番面白くなかったりした。
     とんでもなく僭越な言い方が許されるのなら、物凄い才能がありながら、それをきちんと表現出来ていないんじゃないかな、という印象が強い。
     物語の発想も構成も話の進め方も、とても面白いと思えるのに、どうしても文章や表現がとっ散らかっているように思えてしまい、素直に面白がれなかったりするのだ。
    「おやすみラジオ」にしても「巨きなものの還る場所」にしても、とても大きくて深い世界観を感じられるのに、手放しで称賛できないもどかしさの方が強い。
     それと、もう少し「何が起こったのか」を説明してもいいように思える。
     僕自身は、白黒はっきりしない、何が起こったのか状況が上手くつかめない、といった作品を割と面白く読める方だと自負しているが、本作に関しては少し説明不足で不親切な印象を受けた。
     いずれにしても、とても気になる作家さんが登場してきたな、と思う。
     次の作品が今から待ち遠しい。

  • 目指してるものはなんとなく分かるけど、楽しめなかった

  • パチンコ屋の屋上で見つけた犬、狐憑きの「うどん」と三姉妹の年月。

    ミドリ荘に住む風変わりな人たち。

    島に住む16人姉妹たちと母の思惑。

    ネットの拡散されているラジオについての子供の日記に翻弄される世間の人たち。

    ねぶた、に魅了された過去と現在の人たち。

    どれも不思議な話で、最後の話はもう正直、現実主義の凝り固まった頭では、ついていけなかった。
    おやすみラジオはなんだかホラーちっくで意味深だな。

    ミドリ荘の人たちの話が面白かった。

  • よよよよよくわからなかった…正直ついていけなかった…誰かにベタに解説してほしいくらい。

  • 目次より
    ・うどん キツネつきの
    ・シキ零レイ零 ミドリ荘
    ・母のいる島
    ・おやすみラジオ
    ・巨きなものの還る場所

    SFといっても、科学的なことはほとんど書いていない。
    強いて言うなら『田中館愛橘先生』(日本の地球物理学の礎を築いた人)の名前くらい。
    なんとも不思議な読後感。

    現在の日本を舞台にしているはずでも、どうも昭和の香りが強い。
    それは親子や近所の人たちとの濃密なつながりによるものだと思う。
    その、ごくごく日常的な毎日の情景が90%以上を占める。
    そこにごく少量の違和感。

    違和を感じる人はもやもやしながら読むことになる。
    感じない人は、ぼんやりした小説だなあと思いながら本を閉じるかもしれない。

    濃密な人間関係を核として、ごく普通の日常という世界。
    さらにその外側にあるのが、透明で不定型な何か。
    そんな作品。
    ああ、まるで細胞みたいなつくりの作品だな、と思った。なんとなく。
    個としての生命、種としての生命。
    繋がれていく思念と本能。

    「うどん キツネつきの」のほのぼのした感じも、「シキ零レイ零 ミドリ荘」のドタバタした感じも、「おやすみラジオ」のぞわぞわした感じも好き。
    母の生き様が格好いい(ような気もする)「母のいる島」が一番好き。

    でも、圧巻は最後の「巨きなものの還る場所」
    時代も場所も異なるいくつかの物語が、クライマックスに向かいにつれて増す不穏。
    自分の居場所と、一族を想う、想いだけがあること。
    身の丈に合わない大きいものを作ってしまう人間。
    あるべき場所に戻る力。
    部品の持つ、集める我々、こそが、部品であること。

    わかりやすい文章で、日常を書いた作品であったはずなのに、気が付けば遠いところに連れてこられてしまった。
    理解できたかといわれると正直自信はないけれど、だから余計にずっと心に引っかかる作品になったのではないかと思う。

  • 短編集

    『うどん キツネつきの』★★★
    次女が拾ってきた謎の犬?うどんの周辺
    『シキ零レイ零 ミドリ荘』★★★
    土に帰る寸前のぼろアパートの訳あり、多国籍住民の日々
    『母のいる島』★★★★
    15人目の出産で入院した母のため、故郷の島に集まった娘たちの元で起こる事件
    『おやすみラジオ』★★★
    小学生のブログ日記から始まる出来事
    『巨きなものの還る場所』★★
    ねぶたの街を主軸にした幻想譚

  • 1番最初に「うどんキツネつきの」だったのでもう頭の中が?だらけになった。「で?なんなの?」といった感じ。読みやすい文章なので尚のこと「で?なんなの?」。とりあえず先に進めて読んでみると、あぁ、こういう読み方をする話なのかと落ち着いて読めた。ミドリ荘とラジオが面白かったな。不思議に対面している人々が不思議を普通に受け入れている。こうやってSF(少し不思議)は守られているのかもしれない。高野文子さんが漫画化したら良さそうな雰囲気。

  • 表題作が創元短編賞の佳作に選ばれているので読んでみた。「うどん キツネつきの」は個人的には面白く読めなかった。よく意味が分からなかったというか、関西の感覚で表現するなら、「オチは何?」って聞きたくなるほどの分からなさだ。本書に収録されている他の作品の方が楽しめた。個人的には「母のいる島」と「おやすみラジオ」が面白かった。

    以下、個別作品の感想。

    ◎うどん キツネつきの
    よく意味が分からなかった。第二回創元SF短編賞の佳作の作品。期待しすぎたか。

    ◎シキ零レイ零 ミドリ荘(しきぜろれいぜろ)
    ボロアパート(昭和の古い時代くらいに建てられたものか)に住む住人たちの物語。各部屋に住む人たちのキャラが立っていて、それらの人の話が面白い。子供は子供で楽しく生きているし、大人は大人で楽しく生きている。裕福な住人はいない。でも楽しさが伝わってくる。昔ってこんな感じだったのだろうか。今でもこんな感じのアパートってあるのだろうか。ありそうな気がする。世の中は変化しているようでしていない所もありそうだから。

    ◎母のいる島
    16人の子供を命懸けで産んだ母親の話。なぜ子供をたくさん産んだのかその理由が明かされたとき、背筋が凍りそうな感覚に襲われる。決してネガティブではないが、母は強しと言うべきか、恐るべし女の執念と言うべきか。面白かった。

    ◎おやすみラジオ
    ほのぼのとした話かと思いきや、まさに衝撃のラストシーンに驚かされる。とても柔らかい感じがする話であるが、ラストに向けて恐怖を感じてくる。ブログ恐い。

    ◎巨きなもの環る場所(おおきなものかえるばしょ)
    関係ないいくつものストーリーが少しずつクロスする様が面白い。自分を含めて世の中というものは他の何かから出来ていることを感じさせる。

  • SFか?と訊かれたら「そうかも」と答えるくらいのソフトな感じで、私は高野文子の「奥村さんちのお茄子」が雰囲気近いな、と思った。
    全てを語り過ぎないところがかなり好き。
    表題作はまあ、賞をとったのだからたまたま良いということもあるかも、と読み進めると、全作品が一定以上の水準。しかもテイストがそれぞれ違う。
    キャラクターの際立つ「ミドリ荘」、マンガにしても面白そうな「母のいる島」、最初はジュブナイル風のサイバーパンク?「おやすみラジオ」、そして壮大な「巨きなものの還る場所」。
    新人とは思えないクオリティーの高さ。タイトルのセンスもいい。
    次回作に期待大。

  • 語り過ぎないというか、言わぬが華、という風情。なのに、登場人物の会話は軽妙。
    しれっと空飛ぶスパゲティ・モンスター教とか出てくるし。
    「シキ零 レイ零 ミドリ荘」「母のいる島」「おやすみラジオ」が好き。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

高山羽根子(たかやま はねこ)
1975年、富山県生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科卒。2010年、「うどん キツネつきの」が第1回創元SF短編賞の佳作に選出され、同作収録したアンソロジー『原色の想像力』(創元SF文庫)でデビュー。2015年、「おやすみラジオ」が第46回星雲賞(日本短編部門)参考候補作に。同年、短編集『うどん キツネつきの』が第36回日本SF大賞最終候補。2016年、「太陽の側の島」で第2回林芙美子文学賞受賞。2018年、短編集『オブジェクタム』が第39回日本SF大賞最終候補作に。「居た場所」(『文藝』冬号掲載)で第160回芥川賞初ノミネート。

うどん キツネつきの (創元日本SF叢書)のその他の作品

高山羽根子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
辻村 深月
伊藤 計劃
米澤 穂信
アンディ・ウィア...
森見 登美彦
宮下 奈都
辻村 深月
ピエール ルメー...
三浦 しをん
村田 沙耶香
ジェイムズ・P・...
恩田 陸
又吉 直樹
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする