翼を持つ少女 BISビブリオバトル部

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488018207

作品紹介・あらすじ

初の本格的学園ビブリオバトル小説。中高一貫の国際学園で、SFマニアの内気な少女がビブリオバトル部に勧誘され……。紹介書籍は多種多様、リアルな参加体験を得られます。

感想・レビュー・書評

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  • おもしろかった~。
    こんな女子高生いるわけないと思いつつ(笑)。でもいたらいいよね。わたしなんか、読んでも読んでもかたっぱしから忘れていくので、こんなだったらほんとうらやましい。

    SFオタクが主人公といいつつ、SFぎらいを相手に持ってきて、しかも「好きな本をおもしろく紹介する」ビブリオバトルという設定だから、その本を知らなくても読めるというか、むしろそれが当然と思って描かれているので、ひらかれた印象があっていい。

    ビブリオバトルを自分の偏向した思想を語るための道具として用いようとするやつを、BISの面々は同じビブリオバトルでやりこめる。しかし顧問の先生には、方向はちがうようでいてやっていることは同じ。正義ほど危険なものはないといさめられる。ここらへんは答えの出ない問題だけど、それを自分で意識するとしないではぜんぜんちがうよなと思った。先生さすが。いいYA。

  • 面白かった。

    ビブリオバトル考案された山口さんが、この小説の著者が関わっていたソードワールドというロールプレイングRPGファンだったというのも面白い(僕も好きだったし)。
    基本的にビブリオバトルは「バトル」にならないのだけれど、そこは工夫してバトルしながらも更にどんでん返し(思想的にw)。

    ビブリオバトルの本は、紹介される本を読みたくなるのですけれど、この中では「小学4年生の世界平和 ジョン・ハンター」が珠玉かな。

    「…まずい」
    埋火さんの漏らしたささやき声が耳に入りました。
    「あの本は面白い…」

  • 「初の本格的学園ビブリオバトル小説。中高一貫の国際学園で、SFマニアの内気な少女がビブリオバトル部に勧誘され……。紹介書籍は多種多様、リアルな参加体験を得られます。」

  • 作者自身も言っている通り、ビブリア古書堂のSF版のような小説だ。
    とはいえ、新人が人気作をパクって出版するのとはわけが違う。
    『アイの物語』で登場人物に本の話をさせる手法は取り入れているし、構成力も証明されている。
    さらにビブリアとは違い、ミステリではなくビブリオバトルという形式で本の紹介をしている。
    ご存知の方も多いと思うが、ビブリオバトルとは、参加者が本の紹介を行い、聴衆が読みたいと思った本No.1を決める競技だ。
    現実に行われており、You Tubeなどで実際のバトルを見ることができる。

    作品の中では何十冊という書籍が紹介されている。
    主人公の伏木空がSF好きのためSFが中心だが、登場人物たちそれぞれに得意分野があるため、科学本やノンフィクションなども登場する。

    以下、気になった作品。
    都筑卓司『不確定性原理ー運命への挑戦』
    ポール・アンダースン『大魔王作戦』
    メアリー・ヘイスティングス『ジャングルの国のアリス』
    マイク・ブラウン『冥王星を殺したのは私です』
    エドモンド・ハミルトン『反対進化』
    P.J.ファーマー『タイム・トラベラー』
    ジョン・ハンター『小学4年生の世界平和』

    物語の構成は前半が登場人物紹介といったところで、後半からストーリーが進んでいく。
    単行本で400ページと分厚いが、全7章で各章の最後に”引き”があるため、1日1章ずつ読んでいっても楽しめる。

    山本弘の作品はメッセージ性が強いものが多いが、本作の後半はエッセー・小論文というか、その傾向が強い。
    間違ったことは言っていないが、人によっては押し付けがましいものを感じるかもしれない。
    私はそこまでではなかったが、他の作品では登場人物の言葉として響くところが、本作では作者がちらついて見えてしまう部分があった。

    とはいえそんなのは瑣末なことで、面白いものは面白いし、共感もできるし、うまい小説だと思う。

    5章からは、差別的な発言を繰り返してビブリオバトルを政治的主張の場として利用しようとする蟹江が登場する。
    BISビブリオバトル部は、ビブリオバトルで対抗しようとするが、悪に対抗するために正義を振りかざして暴走していってしまう、という皮肉な展開となる。
    「世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく。正義だ。」という朝日奈先生の言葉が重くのしかかる。


    この作品はシリーズになっており、現在3作目まで刊行されている。
    どれも2000円前後と少々高いが、早く読みたいところ。

  • 山本弘さんのSFをあらかた読みつくしてしまったので、ビブリオバトル青春ものに手を出してみました。懐かしいSFがたくさん登場していて嬉しかったです。バロウズ、ブラッドベリ、シェクリイ、星新一などなど...。キャプテン・フューチャーのアニメも見ていました!私は朝日奈先生と同じくらいの世代ですかね。
    青春時代は遠くなったので、青春ものはちょっと気恥ずかしい感じですが、バトルパートも登場人物の人間模様も、楽しく読めました。
    埋火の祖父の書庫は羨ましい限りです。バロウズもブラッドベリも集めましたが、自宅に置くスペースがないので、これだけはというものを除いて、ずいぶん処分してしまいました...。山本弘さんの作品は高校生の息子と一緒に読み進めているので、せっかく息子が古いSFに興味を持ってくれたのに自宅にあまりないので、残念。とりあえず自宅にあるブラッドベリの「火星年代記」や新井素子さんの「いつか猫になる日まで」あたりから勧めてみますか!

  • 本を愛する著者の気持ちが良く伝わってきた。
    本を愛するのであって、小説に限定しておらず
    ノンフィクション、マンガなどに至るまで
    色々な本をストーリを通じて紹介している
    ストーリーそのものは若者向けだが、あとがきにもあるように若者が本を読んでほしいという気持ちから書いているのでそれでいいと思う
    歳を取った私たちは付いていけないと思うか
    若い頃を思い出して楽しむか、人それぞれだと思う
    続編もあり惹かれるが、先に紹介されている本を何冊か読んでみたい気分である

  • 少し思想的な話が表に出てる分、今後のシリーズでどうなるかが、むしろ楽しみ

  • SFを愛する少女がビブリオバトルと出逢う。
    ここには僕の求めている全てがありました。本を読むことの意味、本を読むことの幸せ、本を読むことで救われるもの。そして本を読む先にある未来。
    何より古典翻訳SFが読みたくなります。SF万歳!

  • ミニコメント
    面白いと思った本を5分間で紹介し、参加者全員でディスカッションして、一番読みたい本を選ぶビブリオバトル。臨場感のあるビブリオバトルのシーン。本について、あつく語りませんか。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/579450

  • あまり期待をせずに読んだが意外と面白かった!
    主人公の(作者の?)半端では無いSF知識にまず圧倒される。ちょっとしたお約束的な恋愛っぽい雰囲気も有りつつ、多様性を認め合うといった今時なテーマも有り、最後まで楽しく読めた。
    「ファウンデーションならアシモフにして!(だったかな)」に思わずニヤリ。

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著者プロフィール

元神戸大学教授

「2023年 『民事訴訟法〔第4版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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