ペンギンは空を見上げる (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
3.84
  • (22)
  • (18)
  • (24)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 218
感想 : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488020019

作品紹介・あらすじ

将来、NASAのエンジニアになりたい小学六年生の佐倉ハルくんは、風船宇宙撮影を目指しています。ハルくんは意地っ張りなこともあって、同じクラスに友達はひとりしかいません。しかし、あることをきっかけに、クラスのだれとも話そうとしない、金髪の転校生の女の子に妙になつかれました。結局、撮影は三人で挑むことになりますが……。ハルくんの、夢と努力の物語。奮闘するこの少年を、きっと応援したくなるはずです――読み終えたあとは、もっと。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なるべく自分の力だけで風船ロケットでの大気圏突破に挑戦している小学6年の佐藤ハル。幼馴染の三好以外とは過去のある出来事が原因でクラスから孤立しているし両親ともぎくしゃくしているが、NASAかJAXAでのロケットのエンジニアを目指して一人静かにこつこつと研鑽している。ある日クラスに金髪碧眼の鳴沢イリスがアメリカから転校してくるが、彼女はある理由で自分から孤立の道へ。そんな二人があるきっかけで交流を始め、それぞれが自分を覆う殻に気付き、壊そうと挑戦していく。困難に直面したハルが他者に協力を要請出来るようになっていく過程が正に王道の青春小説で爽やか。ハルとイリスのぶつかり合いで時々疑問が生じていたけど、最後に全てが明かされるとそれまでの過程にしっかりとした根拠が土台となり爽やかさに重みが生じるのは見事。タイトルの意味が染みてくる。ミステリ·フロンティアこう来るか。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    将来、NASAのエンジニアになりたい小学六年生の佐倉ハルくんは、風船宇宙撮影を目指しています。できる限り大人の力を借りず、自分だけの力で。そんなことくらいできないようでは、NASAのエンジニアになんて到底なれないから、と。意地っ張りな性格もあってクラスでは孤立、家に帰っても両親とぎくしゃくし、それでもひたすらひとりで壮大な目標と向き合い続けるハルくんの前にある日、金髪の転校生の女の子が現れて…。ハルくんの、夢と努力の物語。奮闘するこの少年を、きっと応援したくなるはずです―読み終えたあとは、もっと。

    なんでミステリーのカテゴリーから出ているのか謎でしたが、読めば分かるからとりあえず読みたまえというものでした。
    宇宙を夢見る少年ハルがとにかく強靭でゆるぎない精神の持ち主で、おまえ本当に小学生なのか?と問いかけたい気持ちで一杯ですが、将来世に出るような強い心を持った人達、また名を成した人の子供の頃って案外こういう感じなのかもしれないなあ。
    頑固で融通効かないけれど、信じた道を真っ直ぐ努力して、窮鳥が飛び込んで来ればこれを守るような男の子っていうのは現実的には相当なレアキャラですが、小説の世界では主人公中の主人公として古今東西人気が有ります。この本の中では上手く生きられないハル君も本を通して読むとみんな応援してしまう魅力満載な男の子です。宮部みゆきさんが読んだら胸キュンなんじゃないか?あの方相当な少年フェチですから。

  • 風船での宇宙撮影を目指す少年の青春小説、的な。
    元々がライトノベル畑の作者さんなんですかね。なんとなくそんな感じだな、と思って読みました。平易な文章で読みやすく、舞台設定は若干ありがちで、読み応えにちょっと乏しい。陰キャと美少女という組み合わせでちょっと食傷な気分に。
    内容は・・まあほどほどでした。青春小説で「ほどほど」以外の作品に出会うほうがとにかく稀だと思ってはいるんですけども。
    主人公ハルくんの秘密についても序盤からなんというかあからさまな感があってかなりはっきりと気付けるようなレベルだし。。。

  • きっとまた会えるよ

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • みんな小学生とは思えない。

  • ハルくんの事情は、途中でなんとなく想像ついてしまうものの、それは全く問題にはならない。素晴らしい青春小説を読みたい方はぜひ。

  • sg

  • 私と同じ北海道札幌市出身の作家。
    メディアワークス文庫のライトノベル『終わりの志穂さんは優しすぎるから』を読んだことがある。
    最近のライトノベルというと、いわゆる「なろう系」の異世界転生モノが乱発されているが、著者の作品は一昔前の独特なのんびりとした雰囲気を持ったライトノベルに近い。

    本作は北海道の札幌近郊を舞台にしており、北海道らしいやはりのんびりとした空気が漂っている。
    地名をぼかしているが実在する公園や施設も出てくるので、それらを知っている人はより作品に入り込むことができる。
    もちろん知らなくても十分に伝わる魅力を持っている。

    ストーリーは上記の内容紹介の通りでよくあるボーイミーツガールに見えるが、以前読んだストーリーの似ている『ひとりぼっちのソユーズ 君と月と恋、ときどき猫のお話』より遥かに面白いし伝わるものがある。

    実際のところ、イリスと出会う前と後で、ハルの目指すものはそう変わらない。
    たとえイリスがいなかったとしてもエンジニアを目指し続けていただろう。
    でも、以前のハルには半ば自暴自棄になっているところがあった。
    そのまま道を進んでいたら、たとえ心に決めたものがあっても途中で辛くなっていたと思う。
    それがイリスとの交流によって、彼の中で納得したものができて、目標はより強固なものになった。

    夢を持つこと、それに向かって努力すること。
    それにまつわる爽やかさを持ったいい作品だった。

    ただ、良くも悪くもライトノベルっぽいところがあって、イリスは小学6年生にしては幼すぎるし、ハルは同年齢にしては大人すぎる。
    それがキャラクターとしての良さでもあるのだが、物語の力というかメッセージ性のある本なのでもう少しリアルにしてもよかったと思う。

    また、東京創元社のミステリ・フロンティアというレーベルで発行されているが、次の展開を期待するようなミステリを想像すると肩透かしを食らうことになると思う。
    ミステリ好きというよりは、良作のライトノベルを読みたいという人にお勧めしたい。

  • 6年生のハルはNASAのエンジニアを目指し、今は風船ロケットをあげることに熱心。
    友達はいないけど、三好くんから好かれている。
    昨年、何かがあったらしい。そのため親ともうまくいってない。
    アメリカきら金髪の女の子が転校してくる。
    この子も友だちはいらないと言う。
    などなどの伏線があり、回収されていく。
    切ないけど、前向きな。
    これは児童書ではない?まぁ中学生には読めるから是非読んでほしいかな。

全36件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

八重野 統摩(やえの とうま)
1988年、北海道札幌市生まれの作家。立命館大学経営学部卒業後、書店員をしながら執筆。2011年第18回電撃小説大賞に作品投稿し、編集部の目にとまりデビューに繋がる。代表作に、『還りの会で言ってやる』など。

八重野統摩の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×