体育館の殺人

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 179
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488023102

作品紹介・あらすじ

放課後の旧体育館で、放送部部長が何者かに刺殺された。外は激しい雨が降り、現場の舞台袖は密室状態だった!?現場近くにいた唯一の人物、女子卓球部の部長のみに犯行は可能だと、警察は言うのだが…。死体発見現場にいあわせた卓球部員・柚乃は、嫌疑をかけられた部長のため、学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼んだ。なぜか校内で暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に-。エラリー・クイーンを彷彿とさせる論理展開+抜群のリーダビリティで贈る、新たな本格ミステリの登場。若き俊英が描く、長編学園ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • //━━━━━━━━━━━━
    1.感想 
    ━━━━━━━━━━━━//
    最近よく目にする青崎有吾さん、デビュー作から読んでみようと思い、手にしました。この作品を出版したときは、まだ大学生とのことで、素晴らしいですね。

    推理小説でしたが、登場人物が多いですね。
    いつも登場人物をメモしているので、クラスまで説明しているところに違和感があって、クラスが関係するんだろうな〜という想像ができました。メモってないけど…この辺の気づきは、ちょっといい気分でした(笑)

    あとは、ちょっと、裏染探偵の説明がながいな〜というのが、気になったところでした。

    ほんと、単純に起こった殺人事件を解いていくだけで、お話自体も2日間の短いお話、場所も基本体育館だけ。なので、シンプルなはずなのに、読むのは時間がかかった感じでした。


    //━━━━━━━━━━━━
    2.概要
    ━━━━━━━━━━━━//
    朝倉が体育館に入ってきた3時3分から15分の間に殺害される。
    鍵となるのは、朝倉が入ってきてすぐに降ろされた幕と、ドーンドーンという音。
    体育館で起こる密室殺人事件です!!
    裏染天馬が探偵となって、なぞを解明していきます。


    //━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物
    ━━━━━━━━━━━━//
    ■学校関係者
    o袴田柚乃 1年、ゆの、卓球部
    o裏染天馬 2年、頭いい、900点満点
    o向坂香織 2年、さきさか、新聞部部長

    朝島友樹 3年、生真面目な顔立ち、放送部、部長、殺される
    野南早苗 1年、さなえ、卓球部
    o佐川奈緒 2年、卓球部、部長、情熱的、前向き、練習熱心
    o針宮理恵子 2年、金髪、スケバン風、いじめに加担
    o正木章弘 2年、生徒会長
    o梶原和也 2年、演劇部、部長
    o三条愛美 2年、まなみ、演劇部
    o志賀慶介 1年、演劇部
    o松江椿 1年、演劇部
    o日比谷雪子 1年、生徒会
    o矢橋千鶴 2年、生徒会副会長
    o森永悠子 3年、放送部副部長
    o蒔田千夏 2年、放送部
    o津田沼寛ニ 2年、放送部
    o巣鴨康平 1年、放送部
    o秋月美保 2年、放送部、いじめにあう
    o早乙女泰人 1年
    o増村慎太郎 卓球部顧問兼コーチ、青年

    o最後に集められる人たち

    ■刑事
    袴田優作 刑事、柚乃兄
    仙堂 警部

    • 土瓶さん
      うっわぁ。登場人物多い。
      そうそう。俺も全く同じでこの作者さんよく目にするようになったんで、何か借りて読んでみたかったんだけど、なぜか我が...
      うっわぁ。登場人物多い。
      そうそう。俺も全く同じでこの作者さんよく目にするようになったんで、何か借りて読んでみたかったんだけど、なぜか我が町の図書館にはこれの続編(?)の水族館の殺人だったかな、あれしか置いてなくて迷ってました。
      これはちょっと辛いかなー。
      特に続編からだと。
      2024/03/03
    • Manideさん
      土瓶さん、こんばんは〜

      やっぱり、読んでみたくなりますよね、私も今のヒット作品を読む前に、最初から読んでいこうと思ったんです!!

      だけど...
      土瓶さん、こんばんは〜

      やっぱり、読んでみたくなりますよね、私も今のヒット作品を読む前に、最初から読んでいこうと思ったんです!!

      だけど、もうお腹いっぱいになったので、素直に地雷グリコを読もうと思います…

      水族館も容疑者11人のようなので、登場人物をきっちり記憶しないと面白さ半減かもしれないですね。
      2024/03/04
  • 友達から面白いとお薦めされていた
    裏染天馬シリーズの
    「体育館の殺人」面白かったです。

    このシリーズの1作目なのですが
    なぜだか、うちの方の図書館にはなくて
    お取り寄せしました。
    やっと読めて良かったです。

    〈あらすじ〉
    高校の旧体育館で放課後、放送部部長が刺殺された事件が発生。
    外は激しい雨で密室状態の体育館にいた唯一の人物、女子卓球部部長の犯行だと警察は決めてかかる。
    卓球部員の柚乃(ゆの)は、憧れの部長の嫌疑をはらすため、学年一位の成績で天才と呼ばれている…裏染天馬(うらぞめてんま)に、真相の解明を依頼する。
    彼はなぜか学校の部室で暮らしているという噂があったり、アニメオタクの駄目人間でも謎解きは見事に解決していくミステリー作品。

    アニメオタクの高校生探偵という面白い設定と、登場人物も個性的で良かったですし
    犯人も二転三転……と気になる展開に
    なってました。

    まず驚いたところは
    柚乃の現代っ子ぶりのキャラクター!
    なんとお金で、天馬に探偵を依頼している。
    しかも、自分だけで勝手に依頼しておいて、卓球部全員で割り勘にしよう〜などと
    軽〜く思ってるところ。。。。
    (ええ、ないわーーー!と、ツッコミ入れなから読んだりしてました…)(笑)

    天馬くんのキャラもギャップが魅力的!!

    頭も良くて、論理的推理力と行動力に
    警察の方も翻弄されてしまったり
    警察に指示まで出してしまったり
    みんなの前で推理を説明したりしてみせる
    カッコ良くクールな面と…
    自分が推理している時に
    感情的なひとりごとを言ってしまうところ。

    「そうだ!ああもう…どうしてわかんなかったんだ俺の馬鹿!死ぬほど単純なことじゃねえか!死ね!死ぬわ!死のう!死ぬ!死ねば!死ぬ時!」って。。。(笑)


    学校に住みついている等々の
    無茶振り、ツッコミどころも
    満載なところを含めて…
    謎解きにも圧倒され楽しめました。

    • かなさん
      チーニャさん、おはようございますっ♪
      裏染くんのキャラが私は好きです(*^^)v
      ありえないキャラ設定だけど
      天然というのか、憎めない...
      チーニャさん、おはようございますっ♪
      裏染くんのキャラが私は好きです(*^^)v
      ありえないキャラ設定だけど
      天然というのか、憎めないし、結構好きなんですよねっ!
      チーニャさんに、すすめてもらえてよかったです。
      2024/03/11
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん、おはようございます♪
      やっと読めました。
      こちらこそありがとうございます♡
      友達から面白いと聞いて、自分はまだ未読なのに、かなさ...
      かなさ〜ん、おはようございます♪
      やっと読めました。
      こちらこそありがとうございます♡
      友達から面白いと聞いて、自分はまだ未読なのに、かなさんにお勧めしてましたけれど、自分ではなかなか読めずにいましたね…
      (><) ゴメンナサ~イ…!!

      もう一つ友達お薦めの「紅蓮館の殺人」の方。阿津川さんの作品の方を、はじめに私は読んでみて、私には難しかったのですよね…
      それで、もしかしたら友達と好みが合わないのでは…とチョット、感じてしまって…(x_x)

      「体育館の殺人」は、ブクログの皆さんの評価も割れていて、合う合わないがありそうで…こんなに遅くなっちゃいました…^^;

      でも作品の好みや、合う合わないは人それぞれですし、その時読むタイミングによっても感じ方は違うからと、思うようになれて今回手に取れました。

      かなさん、長〜くお待たせしました。
      読んで良かったです、面白かった〜
      ありがとうございました〜(*^^*)♡

      2024/03/11
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      私もそう、裏染君のキャラ好きです〜
      ‘’ギャップ萌え‘’って感じね、かなさんのレビューにもありましたよね…(笑)

      かなさんと、こんな風に気...
      私もそう、裏染君のキャラ好きです〜
      ‘’ギャップ萌え‘’って感じね、かなさんのレビューにもありましたよね…(笑)

      かなさんと、こんな風に気持ちを共有できて嬉しい…です、やっとだ〜!(^o^)!
      2024/03/11
  • 第22回鮎川哲也賞受賞作品

    風ケ丘高校の旧体育館で、放送部部長・朝島友樹が殺された。
    体育館に居た生徒たちの証言により、現場は密室状態だった。
    ただ一人、犯行可能な人物として、卓球部部長・佐川奈緒が、容疑者として疑われる。
    彼女に憧れている、卓球部の袴田柚乃は、佐川奈緒の疑いを晴らすため、学内随一の天才・裏染天馬に真相解明を頼んだ。
    彼は、校内に住み着いていると噂があり、アニメオタクの駄目人間。

    まさしく大学生が書いたと言うような作品だった。



    • bmakiさん
      あ!ちょうど今これ読み始めました(^-^)

      大学生が書いたような、、、
      ちょっとライトな感じなのでしょうか?

      私の好きなジャン...
      あ!ちょうど今これ読み始めました(^-^)

      大学生が書いたような、、、
      ちょっとライトな感じなのでしょうか?

      私の好きなジャンルのミステリかな??
      楽しみに読みたいと思います(^-^)
      2023/06/15
  • 『受賞の言葉』を読み、如何にも大学生ですと言っているような、初々しさ漂うコメントも印象的だったが、それにしても、鮎川哲也賞史上初の平成生まれである。

    そして、本書が当然、青崎さんのデビュー作となり、ブク友のakikobbさんによると、文庫版で大分手直しをしているそうだが、私にしたら、これでも充分凄いと思って、何と言ってもまずは、テンポ良く楽しく読ませてくれる物語が良かったし、その構成も、探偵の凄さを披露した後に、一度躓かせて、その後に真相に辿り着き、「謎は全て出揃った、さて犯人は?」といった、推理ものの王道の展開に加えて、論理的思考に基づく謎解きは、エラリー・クイーンや有栖川有栖さんを彷彿させるような、感嘆のため息・・とまではいかなかったけれど、それでも楽しかったです。

    ただ、鮎川哲也賞選評に書かれているような、論理的思考の詰めの甘さや(高二の探偵だからという問題ではないのね)、トリック自体に微妙な点が幾つかあるとかも、そうかもしれないが、私的には演出過多により、論理的思考に関係なく、犯人が推測できそうな点の方が気になってしまい、私も序盤でのある台詞から、この人かなと思ったら、本当にそうだったので、もったいないかなと。この辺も文庫版で訂正されているのだろうか。気になる。

    しかし、それを差し引いても、青崎さんの個性あふれる登場人物たちは、とても魅力的で、女子同士の何気ない会話や、部活動メンバー同士の独特の連帯感など、やはり高校生の描き方が上手いなあと思います。

    特に、探偵役の「裏染天馬(うらぞめてんま)」と、幼馴染みの「向坂香織(さきさかかおり)」の少々デコボコながらも、長い目で見るとバランスが取れているようなコンビぶりが面白く、向坂については、先にアンソロジーの短編、「あるいは紙の」で知っていたが、こんなに明るいキャラだとは思わず、まずはそこにびっくり。

    それから、「柚乃」についても書かないといけませんね。表紙はおそらく彼女だと思うのだが、天馬や向坂とはまた違った魅力があって、しかも意外に侮れないものを持っているところが、私は好きで、その策略に、まんまとハマった天馬も天馬だが、その後の展開を見ると、あまり他人に心を開かなそうに見えた天馬を振り向かせた凄さもあるし、とある関係から、今後もレギュラーメンバーなのは間違いなさそう。

    そして、改めて、天馬の魅力について。
    最初の印象の悪さは予想通りというか、島田荘司さんの御手洗潔みたいな感じかと思いきや、上記の柚乃の策略に乗った台詞は、明らかに欲に吊られたようで、カッコ悪かった。

    しかし、それはあくまで、彼の中の一部分であり、その後の台詞で、私の中での彼のイメージは様変わりした。

    『なに辛気臭い顔してんだよ、後ろで後輩が心配そうな顔してるぜ。……笑いかけてやれよ』

    実は、エピローグにおいてもそうだが、彼の場合、口も態度も比較的悪そうに見えて、実は相手によって、それを使い分けている節があり、しかも、欲の塊に見えるようでいて、それとは全く関係ない行動を見せることもあり、そこにあるのは、探偵ならではの正義感というよりは、彼自身の正義感と優しさであり、こうした一面も持ち合わせている探偵像を、デビュー作で書いてくるというのは、もっと注目してもいいのではと感じましたが、今日において、実際に素晴らしい作品を、多く書き続けているのだから、私が言うまでもないのでしょう。

    • たださん
      111108さん、おはようございます。コメントありがとうございます(^^)

      そうなんです。市の図書館に単行本しか無かったので、やむなくとい...
      111108さん、おはようございます。コメントありがとうございます(^^)

      そうなんです。市の図書館に単行本しか無かったので、やむなくといった感じでしたが、読んでよかったと思いましたし、そんなに訂正箇所あるのかなというのが、正直なところでした。

      天馬は、確かに癖が強いですよね。でも、それ以外の部分とのバランス関係がちょうど良いようにも思えましたし、癖の強さは天馬に限らず、向坂も個性が強く、曲者に感じまして、だからアンソロジーでは、ああいう一面も見せたのかなと、こちらもバランス関係が興味深かったです。
      2023/03/12
    • たださん
      akikobbさん、おはようございます。コメントありがとうございます(^^)

      単行本読むと、やはり文庫版も読みたくなりますね。これはもう買...
      akikobbさん、おはようございます。コメントありがとうございます(^^)

      単行本読むと、やはり文庫版も読みたくなりますね。これはもう買うしかないか、と考えてます。青崎さんも、それを踏まえて、内容を洗練させることが出来るのだから、プロは凄いですよね。更に、論理的思考の部分が大幅に増えていたら凄いなとは思いますが、さすがに推理の肝の部分は変えませんよね。

      天馬は、最初、若手の探偵によくあるタイプかと思っていたのですが、次第に印象が良くなっていき、あまり人前では出しませんが、割と自分の中での許せない部分に対して、ちゃんとケリをつけるタイプだなと思って、自らヒール役を被るような姿勢には、逆に哀愁めいたものも感じさせ、本当は人恋しいのかななんて思い、そうした点を、柚乃とのやり取りに垣間見えるようで、二人の今後も気になりますね(既にそんな予感が)。
      2023/03/12
    • 111108さん
      たださん、akikobbさんおはようございます♪

      やはり青崎さん手直し前でも相当の物を書かれたんでしょうね。でもやっぱり私も気になって単行...
      たださん、akikobbさんおはようございます♪

      やはり青崎さん手直し前でも相当の物を書かれたんでしょうね。でもやっぱり私も気になって単行本を今度予約してみようと思います。

      確かに、天馬くんだけでなくみんながみんな癖が強いですよね。いい人だけでもモブだけでもないところが面白い所以かなと思います。
      たださん言うように自らヒール役を被る天馬くんには、akikobbさん言うように私も人間的に惚れてしまうかも♪
      2023/03/12
  • 2020/12/13読了
    #青崎有吾作品

    裏染天馬シリーズ第1弾。
    個人的に好きな学園ものかつ
    本格ミステリ寄り。
    登場人物のクスッと笑える
    会話のやりとりも魅力。
    ミステリ初心者でも
    読み物として充分に楽しめる。
    お気に入りの著者に加えたいgood。

    • goya626さん
      裏染天馬シリーズの「水族館の殺人」「図書館の殺人」もいいですよ。間違いなく面白いです。
      裏染天馬シリーズの「水族館の殺人」「図書館の殺人」もいいですよ。間違いなく面白いです。
      2020/12/13
  • 風が丘高校の旧体育館で放送部の部長が殺害された。殺害現場は密室でもあり警察も事件の真相に迫れない中、学年1位の成績を収めながら部室にてアニメキャラに囲まれ過ごす裏染天馬くんが真相を解明する…。
    裏染くんのキャラにすごく惹かれました!ギャップ萌えっていうのか…読んでいて暗くならずに明るい気持ちのまま読み終えられました。青崎さんの作品で裏染くんが登場する作品、「水族館の殺人」と「図書館の殺人」それと「風ヶ丘五十円玉祭りの謎 」も読んでみたくなりました!
    この作品はチーニャ、ピーナッツが好きさんから、おすすめしていただけた作品です。やっと読むことができました!おすすめありがとうございました(^^)

    • かなさん
      チーニャ、ピーナッツが好きさん、コメントありがとうございます!
      この作品、すごく新鮮な気持ちで読ませてもらいました。
      終始楽しい気持ちの...
      チーニャ、ピーナッツが好きさん、コメントありがとうございます!
      この作品、すごく新鮮な気持ちで読ませてもらいました。
      終始楽しい気持ちのまま読み切れる本っていいですね(^^)
      私、最近は本を読むことが生活の中にすっと入ってきてて
      それが楽しくて仕方がない…活字中毒みたいなもんです(汗)
      2022/09/14
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん、こんばんは♪
      遅い時間にごめんなさいm(_ _)m

      読むのも、ものすごく遅くなりましたけれどね…(笑)

      思ったより面白かった...
      かなさ〜ん、こんばんは♪
      遅い時間にごめんなさいm(_ _)m

      読むのも、ものすごく遅くなりましたけれどね…(笑)

      思ったより面白かったので良かったです…
      (*^^*)ᴠ
      2024/03/10
    • かなさん
      チーニャさん、こんにちは!
      私もこの作品は面白くって好きですよ♪
      チーニャさんのおかげで、
      楽しい読書時間もてましたよ(*'▽')
      チーニャさん、こんにちは!
      私もこの作品は面白くって好きですよ♪
      チーニャさんのおかげで、
      楽しい読書時間もてましたよ(*'▽')
      2024/03/11
  • 読み終えたら眠ろうと思っていたのに。

    エピローグ 舞台裏の余韻がぐるぐる頭を巡って、逆に目が冴えてしまった。

    ラストだけでなく、全体的に僕にはちょうどいい感じ。

    僕は、推理小説は好きな割に、複雑すぎるとトリックや推理が理解できなくなるし、登場人物が多いと、混乱してしまうこともたまにある。

    そんな僕でも楽しめた。読み終えたあと、「ついていけた」という充足感を味わうことができた。

    普通に考えればなんでもないモノやちょっとした事象が、視点を変えることによって、糸口になっているのは本当に鮮やか。

    読めて良かった。

    この作品を教えてくれたフォロワーさん、ありがとうございました。

  •  「平成のエラリー・クイーン」と呼ばれている若い作家さんがいると知り、エラリー好きとしては放っておけぬと読んだ。
     なお、私が読んだのは二〇一二年刊行の単行本で、巻頭には青崎有吾さん自身による受賞のことばが、巻末には第二十二回鮎川哲也賞の三人の選考委員による選評が、収録されている。東京創元社無料読本『青崎有吾の挨拶』によると、その後二〇一五年の文庫化に際しては、かなりの修正が加えられたらしい。確かに、『〜挨拶』に収められた文庫立ち読み版を読んだだけでも「え、こんなこと書いてなかった!」という箇所に気づく。
     さて、『体育館の殺人』単行本を読み終わった今はとにかく、「他の本も読みたいけど、記憶が薄れないうちに文庫も読んじゃおうかな…」という気持ち。というのは、単行本巻末の選評がけっこう辛口で、もちろん褒めるところは褒めつつも、本作の最大の売りのひとつである「クイーン流論理展開」に対し、ここも雑あそこも穴だらけと愛の鞭がビシバシ打たれていたことに関係がある。本編を読んでいる間は、主人公探偵役の裏染天馬の推理に「お〜」と感心していた私も、選評の指摘を読むと「言われてみれば確かに…」と若干しゅんとしたり興を削がれたりしてしまった。しかし、そんな先輩諸氏からの有難いフィードバックを受けて手直しをする前と後とが両方読めるだなんて、のんきな一般読者からするとなかなか面白そうな話だ。よくミステリーは再読が楽しいなんて言うけれど、こういう再読も貴重かも。
     ところで、ダメ出しに乗っかるわけではないが、消去法の推理において「こういうときにこういうことするのは人間心理として不自然だし合理性を欠いているからありえない」とか言って消していく様がさすがに強引なのでは…(そんないつもいつも合理的に行動なんかしないし!)と感じられるシーンは、本家クイーンの国名シリーズでもあった気がする。でも、エラリーかっこいい♪と思っているだけの無責任なミステリー読者の私としては、「まあその程度のことどうでもいいけどな」というのが本音だ。それでいくと、裏染天馬シリーズも概ねそういうマインドで楽しんでいけそうな予感がするので、個人的には問題なしである。
    ・裏染さんは、実は美形という点よりも、あのなりふり構わない捜査スタイルが奇才ぶりを際立たせているところが好き。
    ・振り回され話のわかってしまう優しい袴田兄と、仕事ができるのかできないのかよくわからないことになってしまった損な役どころの仙堂警部も好きだった(仙堂に「ダンディ」の形容がついていたことを私は見逃していない)。
    ・高校が舞台の殺人事件というところがどうにも痛ましいのがちょっとつらかった。普段ミステリーを読んでいてもあまりこういうことは気にしないのだけど、高校生たちがあまりに生き生きしていて、体育館がリアルで懐かしかったからこそ、そう感じたのかもしれない。

    • たださん
      akikobbさん、お返事ありがとうございます。
      111108さん、こんばんは。

      仙堂警部、よく覚えておきます。私が読めば、どんなイメージ...
      akikobbさん、お返事ありがとうございます。
      111108さん、こんばんは。

      仙堂警部、よく覚えておきます。私が読めば、どんなイメージになるのやら。
      ただ、「ダンディー」、私も別に良いと思いましたけど、作家の道は厳しいのですね。

      それから、アンソロジーの「あるいは紙の」は、おそらく長編と長編の間に位置するストーリーだと思うので、是非チェックを。
      2023/02/19
    • 111108さん
      みなさんこんばんは♪

      本当にakikobbさんの情報知ると、プロの道は本当に厳しいのだなと感じますね。
      たださんも読んだらぜひどんな印象だ...
      みなさんこんばんは♪

      本当にakikobbさんの情報知ると、プロの道は本当に厳しいのだなと感じますね。
      たださんも読んだらぜひどんな印象だったか教えてくださいね。
      akikobbさんがレビューで書いてたように、私も「高校で殺人事件なのに登場人物達がキャピキャピ(←いつの時代の表現!)してるなんて」と、以前は手に取る気持ちになれなかったです。でも青崎さんの他の作品を読んでから、ミステリーへの真摯さを感じられてこのシリーズ読み始めました。読み時ってありますね。
      2023/02/19
    • akikobbさん
      たださん
      ダンディーな敏腕刑事って魅力的ですけど、本全体で描かれる仙堂さんのイメージとその言葉が合うかっていうと確かに「んんん?」となるかも...
      たださん
      ダンディーな敏腕刑事って魅力的ですけど、本全体で描かれる仙堂さんのイメージとその言葉が合うかっていうと確かに「んんん?」となるかも。いつか読まれたらどう思われたかぜひ教えてください!

      111108さん
      読み時、ありますね。
      学校での殺人事件をきゃぴきゃぴ解決するという設定に対する「ちょっとな…」の気持ちはゼロにはならないですが(学校でなければ気にならないのはなぜ、という問題はさておき)、111108さんが他作品を読まれた時にその気持ちに変化が起きたというお話は、興味深いです。
      私も色々読んでみようと思います。
      2023/02/20
  • この前「地雷グリコ」で初読みだった青崎有吾さん。面白かったので他の作品も読んで見ることに。手元にあったけどチラ見して後回しにしていた。結構な作家さんが青春ミステリを書いてるので、これもその内の1つと軽んじていたからか。

    この作品で鮎川哲也賞を受賞しデビュー。地雷グリコとは違って正統派ミステリ。卓球部女子2人、柚乃と早苗が体育館に部活の準備に向かうと、既に部長と顧問が先にいた。そして演劇部も練習にやってきた頃、事件は起こる。放送部の部長が舞台で殺されていたのだ。アリバイがないのは部長だけ。刑事もやってきて部長を怪しむ。柚乃は部長を救うため、学校の文化部部室棟に住んでいるというアニオタの変わり者の天才、裏染天馬に依頼する。その天馬のキャラが良い。そして事件の真相はそれだけではなかった。

  • 「あの人は、探偵っていうより、引きこもりのアニメオタクのダメ人間かな」

    「奥様は魔女だったのです」ならぬ「探偵はダメ人間だったのです」な裏染天馬シリーズ一作目。第22回鮎川哲也賞受賞作。

    うっかり2作目の「水族館」から読んでしまった裏染シリーズ。
    順序を違えたせいで、犯人もキィアイテムも知っていたのに、謎解きはぜんぜん当たらず(笑)楽しめた。

    タイトル通り、体育館で起こった殺人事件。広々とした空間を思い浮かべたら、なんと意外な密室状況。
    天馬を事件に引っ張り込む役割は、卓球部の袴田柚乃(ゆの)。自分も第一発見者の一人であるうえに、尊敬する卓球部部長が容疑者となる。そこで、変な噂はあるが天才の裏染に助けを求めることに。

    選評で、昼過ぎから登校する生徒についての記述を突っ込まれていたけれど、そこは言い切ることがロジックパズルを解く前提条件の提示と思っていたので、逆に「え、そこ、突っ込んでよかったんだ?」と選者の厳しさ(と、読み手としての自分の甘さ)を感じたものの、外部からの侵入者については確かにもう少し検証が欲しいところ。
    粗がないとは言えないけれど、デビュー作とすれば及第点は遥かに超える出来だと思う。

    2作目を読了後にちらっと見た感想の類で「一作目よりアニメネタが減っていてほっとした」というものが多数あったので、一作目、どんだけ?と構えていたのだけど、それほどでは。
    たぶん、間にもっとオタクネタを盛り込んだ作品を読んだせいで、感覚が麻痺しているのかもしれませんが。

    新刊が出たので、慌てて一作目に遡って読んだのだけど、遡ることで「水族館」で進化しているのを感じることができ「水族館」の評価をひとつ上げた。
    がっつりロジカルなミステリに取り組む若い作家さんの登場が嬉しく、確実に上手くなっていることを感じ、これからが楽しみで仕方がない。

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著者プロフィール

★小説家/推理作家。“平成のエラリー・クイーン”の異名をとる、本格ミステリ界の若きエース! 代表作に『体育館の殺人』『図書館の殺人』『ノッキンオン・ロックドドア』など。

「2018年 『ネメシス ♯40』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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