体育館の殺人

著者 : 青崎有吾
  • 東京創元社 (2012年10月11日発売)
3.46
  • (25)
  • (112)
  • (148)
  • (11)
  • (6)
  • 本棚登録 :666
  • レビュー :142
  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488023102

作品紹介

放課後の旧体育館で、放送部部長が何者かに刺殺された。外は激しい雨が降り、現場の舞台袖は密室状態だった!?現場近くにいた唯一の人物、女子卓球部の部長のみに犯行は可能だと、警察は言うのだが…。死体発見現場にいあわせた卓球部員・柚乃は、嫌疑をかけられた部長のため、学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼んだ。なぜか校内で暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に-。エラリー・クイーンを彷彿とさせる論理展開+抜群のリーダビリティで贈る、新たな本格ミステリの登場。若き俊英が描く、長編学園ミステリ。

体育館の殺人の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 「あの人は、探偵っていうより、引きこもりのアニメオタクのダメ人間かな」

    「奥様は魔女だったのです」ならぬ「探偵はダメ人間だったのです」な裏染天馬シリーズ一作目。第22回鮎川哲也賞受賞作。

    うっかり2作目の「水族館」から読んでしまった裏染シリーズ。
    順序を違えたせいで、犯人もキィアイテムも知っていたのに、謎解きはぜんぜん当たらず(笑)楽しめた。

    タイトル通り、体育館で起こった殺人事件。広々とした空間を思い浮かべたら、なんと意外な密室状況。
    天馬を事件に引っ張り込む役割は、卓球部の袴田柚乃(ゆの)。自分も第一発見者の一人であるうえに、尊敬する卓球部部長が容疑者となる。そこで、変な噂はあるが天才の裏染に助けを求めることに。

    選評で、昼過ぎから登校する生徒についての記述を突っ込まれていたけれど、そこは言い切ることがロジックパズルを解く前提条件の提示と思っていたので、逆に「え、そこ、突っ込んでよかったんだ?」と選者の厳しさ(と、読み手としての自分の甘さ)を感じたものの、外部からの侵入者については確かにもう少し検証が欲しいところ。
    粗がないとは言えないけれど、デビュー作とすれば及第点は遥かに超える出来だと思う。

    2作目を読了後にちらっと見た感想の類で「一作目よりアニメネタが減っていてほっとした」というものが多数あったので、一作目、どんだけ?と構えていたのだけど、それほどでは。
    たぶん、間にもっとオタクネタを盛り込んだ作品を読んだせいで、感覚が麻痺しているのかもしれませんが。

    新刊が出たので、慌てて一作目に遡って読んだのだけど、遡ることで「水族館」で進化しているのを感じることができ「水族館」の評価をひとつ上げた。
    がっつりロジカルなミステリに取り組む若い作家さんの登場が嬉しく、確実に上手くなっていることを感じ、これからが楽しみで仕方がない。

  • 「抜群のリーダビリティ」という売り文句だったが、感覚としてはライトノベル。探偵役がアニメオタクという設定で時折ギャグやネタが挿まれるのだが、それもなんだか上滑りで「寒い」。オタク設定に物語への必然性が全くなく、もっと謎解きに絡んでいたらよかった。

    なんて言いたい気持ちもありますが、幕が下りた体育館のステージ上を「密室」としてとらえ、小さな手がかりから論理を展開していく流れは面白いです。特にヒントが出揃ってからの解決編は、ひとつの証拠品をもとにロジックを何層にも積み重ね犯人を絞り込んでいく過程に感心します。
    鮎川哲也賞の選評では論理の穴を指摘されていましたが、僕自身はあまり気にならずに楽しめました。

    関係者一同を集めての犯人指名の理由付けやエピローグ、なによりラスト一行のセリフに本格ミステリへの捻くれた愛情を感じます。
    この作者は21歳の現役大学生なんですね。今後に期待。

    最初、地味だと感じた『体育館の殺人』というタイトルも次第に味わい深くなってきました。これ「館」シリーズのパロディ(オマージュ?)だったんですね。やっぱり捻くれています。

  • 館ものと言えば、真っ先に思い出すのは綾辻先生の館シリーズ!なのですが、この発想はなかったわ(笑)。体育館(笑)。うーん、十角館が出版されてもう20年以上経つのに、こういう作品がこれまで出てこなかったのが不思議だな…。私が知らないだけかしら…。
    種も仕掛けも施された綾辻先生の館とは違って、今作の館は種も仕掛けもなく、全国どこにでもありそうな高校の体育館が舞台です。館ものにしては地味だなと思いつつ、母校体育館の間取りにほぼ一致する見取り図に興奮しきり(笑)。これは頭の中に展開図広げやすくて嬉しいぞ~(*^ω^*)

    オタクだったり解決するのに金銭を要求したり、読んでてイラッとする男子高生が主役です。この時点で非常に危ない。何がって、私のストライクゾーンではない(・_・)だけど、「鏡花水月」の件ではニヤッとしてしまった私は作者の思うツボですよ\(^o^)/こりゃ分かる人には絶対楽しいわい

    そんなオタク探偵にハマるのかヒヤヒヤしたりもしましたが、推理の突破口が「傘」ですよ。「傘」!
    「消えたシルクハット」ならぬ、「誰のものでもない傘」ですよ!(興奮)
    これはもう、本格好きなら俄かに色めき立つポイントじゃないでしょうか(笑)。傘の存在一つから、濡れ衣を着せられた部長を救う序盤の彼の論理は、見事という他ありません。
    …惜しむらくは、中盤から粗の目立った殺人事件についての論理の穴でしょうか。少しくらいは検討の余地のありそうな点を、「そんな事する奴はいない」と一刀両断で推理を進めていきます。おいおい…力技だな大丈夫か…シリーズ物にするなら、この辺の強引さは怖いな…。

    それでも、間違いなく読者が挑戦するに相応しいクオリティを持ったフーダニットですし、次作以降への期待や否が応にも高まる良作です。このシリーズは追うぞ~(^O^)
    あと、蛇足ですが、中盤で探偵が確信を持って「トリックわかった!犯人もわかった!」ってなって検証したら、あれっ(・_・)な展開になったのがすごい好き(笑)。あれ、この探偵可愛いぞ、ってなったわ(笑)。

    つぎはどんな館かな。映画館・図書館・美術館・博物館・公民館・旅館・水族館・武道館…いや、これはどれが来ても楽しみだわ~(笑)。


    体育館のステージ上で男子生徒が殺害された。周辺にいた生徒達の立ち位置と雨が降っていた点から、現場は密室状態だったと思われる。警察は現場の最も近くにいた女子卓球部の部長にのみ犯行が可能だったと断定。彼女を救う為に柚乃は学年一の秀才に助けを請おうとしたのだが…何と彼は、「引きこもりのアニメオタクのダメ人間」だった!?

  • 放課後の旧体育館。その舞台上で、放送部部長・朝島友樹が何者かに刺殺された。
    外は激しい雨が降り、現場の舞台袖は密室状態だった。
    現場近くにいた唯一の人物、女子卓球部部長・佐川奈緒のみに犯行は可能だと、警察は言うのだが…。
    死体発見現場にいあわせた卓球部員・袴田柚乃は、嫌疑をかけられた部長のため、学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼んだ。
    なぜか校内で暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に―。

    第22回鮎川哲也賞受賞作品です。平成生まれの現役大学生さんだそうで。
    若いなぁ~。
    (そう思って読むと、あの少々イタい「受賞の言葉」や各章のタイトルも、まぁアリかな。と)

    まずはなんといってもタイトルですよ。どこの風変わりな建築家が建てた『館』かと。
    ここでなんだか肩の力が抜けました。いい意味で。
    そこへ襲って来る、予想を裏切る論理の波。
    いや、こんなロジックは久しぶりで、感動しました。
    もちろん選評にもあるように粗はあるんですけど、たった一本の傘からここまでの論理を組み立てられるなんて。
    これは本当に素晴らしいことです。

    最近の記憶にある学園ものは、どれもこれも緩~い日常の謎系で。少々食傷気味であったのですが。
    学校を舞台にがっぷり「殺人」と組み、そしてこれだけの論理が構築された作品。
    それだけでもう、嬉しくて応援したくなっちゃうなぁ。

    警察の無能があり得ないほどだったり、オタクネタがいまいちハマらず、笑えなかったり。
    だいたい学校に住めないから!
    などなど、いろいろありますが、まぁ雰囲気的には東川作品?
    新人さんへのご祝儀替わりということで、手に取ってみてあげてくださいな。

  • 放課後の体育館の舞台で見付かった男子生徒の刺殺体。しかもその時、体育館は密室状態だった。嫌疑をかけられた先輩を救うため、柚乃は学内一の天才にしてアニメオタクの駄目人間 裏染天馬に真相の解明を頼んだのだった。
    僕はミステリに対して「トリックよりもロジック」に重きを置いています。探偵役がいかに真相へとたどり着いたのかの推理の筋道の美しさがミステリの魅力だと思っています。なので、この作品は実に楽しく読みました。
    様々な可能性を立てては打ち消していく。ひとつの事象を様々な角度から検証する。そんなやり取りが面白いのです。
    真相へと通じる道に関しては、その面白さが発揮されています。しかしその道以外を切り捨てるのが意外とあっさりとしていて、え? それでいいの!? と驚きました。ある意味思い切っているなとも思えますが。
    キャラクターのトリッキーさやアニメネタは味付け程度で、ほぼ全編推理だけで貫き通しているのは素敵です。前々から気になりつつ、やっと手を出した青崎有吾作品。これからもしっかりと読んでいきます。

  • 文庫になるまで待とうと思ったのですが、臨時収入もありつい買ってしまいました…

    舞台が高校ということで、いかにも青春ミステリっぽい導入で始まるが事件が起こってからは一気に本格ミステリへと変貌します。

    みなさんが触れているように、「1本の傘」からよくもあれだけの情報を掴めるなぁと感心しました。
    密室から抜け出すトリックも大胆すぎる程ですが僕は好きです。

    作者が僕と同じ大学生だなんて…

  • 裏染天馬の謎解き、面白かった‼
    すぐに推理を披露しないからちょっとイライラするね笑

    それにしても、容疑者の行動の記憶が分刻み‥
    ふつうそんなに覚えてる⁇

  • 読みながらツッコミを入れてしまうくらいには荒い、けれど面白い。
    探偵がヲタクという設定は必要性が感じられなかったけれど、古今東西探偵なんて変人ばかりなのだし、こんな探偵もいいかなと思えた。私自身もヲタクなので、出てくる実在の漫画やアニメもある程度は分かって楽しい。語り部の柚乃ちゃんは非ヲタなので、分からなくて彼女と一緒に呆気にとられるというのもアリかと。ただ、ヲタクに理解のない、気持ち悪いと思ってしまう人では楽しめない気もする。
    最初に書いた通り、論理は穴が多いけれど、読ませる勢いがあると思う。作者の人は21、2歳の大学生だそうなので、これからに期待。(作者が若い分、読者も若い人の方が波長が合うと思われる。ヲタク要素含め、古き良きを好む人ではノリについていけない可能性が)折角だから柚乃ちゃんと天馬くんの話がもう少し読みたい。

  • ☆は2つ(本当は☆1つだけれど、デビュー作ということで、これからの作品に期待して一個おまけ)

    本格ミステリーの巨匠「鮎川哲也賞受賞作品!!!」というのを今回初めて読んだ。

    のっけに、巻末の鮎川賞審査者による解説:「選考経過」を先に読んだので、その高所大口的な内容は果たしていったいこの小説のどういう所を捉えて言っているのか!に非常に興味があった。

    結論を先に書くと。あ、書いたか。☆は1個なのでぇしたっ。

    じつわこのミステリの巨匠鮎川哲也の事をわたしはよく知らない。いや全然知らない。ミステリは好きです。よく読みます。初期の島田荘司の作品などは完全読破しました。でも鮎川哲也は読んだことないのです。

    有名文学賞の大家大元作家の作品よりも、第22回受賞作を先に読む。うーむこれも結構めづらしい・・・くは無いな。芥川龍之介はともかく、直木三十五なんて未だにどんな人だか、どんな作品があるのかすら知らんもんね。
    まあ、ともかく22回も重ねて由緒ある賞の割には大したことないなぁ~、と思ってしまったのでした。ま、そういうところも塵芥賞やチョッキ賞と似てるか。ああ先が思いやられるよ。やれやれ。

    あれ、なんの話だっけ?
    そうだ、ではどうして最後まで読んだか!というのが大きな謎になってくる(別に謎ではないか。すまぬ)

    ええと、この作品には「特定の作者」を匂わせる何かがある、と思ったのです。特にお話の本筋=トリックの理論武装と謎解き、とは全く関係ない描写のところで感じたwww(ここ笑うところですぅ)
    ある種の秀でた文章を読んでいると、その文章の向こうに作家独特の「語り口」が自然と浮かんでくる。わたしの贔屓の作家で言うと、シーナ兄ぃのエッセイやたまに小説には、あのどひゃひゃ的な表現の仕方が、また浅田次郎のそれには、あの諭すような独特な江戸言葉が浮かんでくる。それに近いものをこのぢゃっかん21歳の作者に感じたのでした。

    なので、かなり次作以降に期待です。ストーリーや理論武装は習作をもっと重ねればなんとかなると思う。でもこの独特な語り口の特徴ってのは、後からは身につかないものだとわたしは思うから。(でも、誰にでもそういう具合で良い相性だというわけでは無いので勘違い無用)

    ああ、それから表紙の絵。なんだか最近この手のイラストがやたらと流行ってるみたいだけど、どうかなぁ~と思う(「なんとか古書堂の・・・」 とか、「放課後は・・・」 とか)。 もしかすると全部同じイラストレータかあ!と思えてしまうぢゃないか。

    すまんこってす。すごすご[m:237][m:80]。

  • 単行本なのが途中でヘンな感じになってくるほど、ライトな鮎川賞受賞作。
    手放しで賞賛は出来ないけど、まあキライではない。
    学園ミステリに弱いだけである。うう。
    米澤さんとか似鳥さんみたく、文庫のシリーズになればええかなー。

全142件中 1 - 10件を表示

体育館の殺人のその他の作品

体育館の殺人 Audible版 体育館の殺人 青崎有吾

青崎有吾の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
湊 かなえ
米澤 穂信
米澤 穂信
青崎 有吾
米澤 穂信
有川 浩
有効な右矢印 無効な右矢印

体育館の殺人に関連するまとめ

体育館の殺人を本棚に登録しているひと

ツイートする