密室と奇蹟 J・D・カー生誕百周年記念アンソロジー

制作 : 柄刀 一  鳥飼 否宇  二階堂 黎人 
  • 東京創元社
3.45
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本棚登録 : 72
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488023928

作品紹介・あらすじ

急行列車の多重密室、衆人環視の雪密室、巨匠が遺した"最終定理"…。俊傑八人の才が冴え渡る、奇蹟のアンソロジー全編書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • そもそものカーを読んでいないのだけど、小林泰三目当てで借りた本。
    小林泰三「ロイス殺し」は別にアリス殺しのような童話の話ではなかった。本書の他の作家陣の作品と比べて異色というか悪い夢を見ているような話だった。ちなみに☆3くらい

    それぞれの作家陣が異なった視点からカーにまつわる話を書いている。
    巻末に筆者自身の解説がついている。
    そしてカーを読んでいないので、どこまでがカーの作品に忠実でどこからがオリジナルなのかが分かりにくい笑

    作品一覧
    芦辺拓「ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う」☆3
    桜庭一樹「少年バンコラン!夜歩く犬」☆5
    田中啓文「忠臣蔵の密室」☆4
    加賀美雅之「鉄路に消えた断頭吏」☆3
    小林泰三「ロイス殺し」☆3
    鳥飼否宇「幽霊トンネルの怪」☆3
    柄刀一「ジョン・D・カーの最終定理」☆5
    二階堂黎人「亡霊館の殺人」☆4

    面白かったのは
    「少年バンコラン!夜歩く犬」
    バンコランと言えばパタリロしか知らなかったけど、元ネタはこれってこと?
    思春期のバンコランの素っ気なさというかが可愛らしい。
    「ジョン・D・カーの最終定理」
    大学生の仲間がカーにゆかりの書物を読む会を開いているのだけど、現実の世界でも事件が起こるという…
    ラストシーンは微妙だけど、キャラクターは魅力的だった。

    あとは、視点というか切り口として面白いなと思ったのは
    「忠臣蔵の密室」
    カーと関係があるのかないのか分からない…
    「幽霊トンネルの怪」
    これもなんか庶民的な感じがして他と雰囲気が違うかな

    全体を通して☆5としました。

    本書でおすすめされていたようなカー作品を今度読んでみようと思います。

  • さすがの面々で創元社でカー生誕百年記念ときたら面白くないわけなかったけどここまでとは………ミステリ要素だけじゃなくて、いろいろな要素を詰め込むというよりは重ねていって深みが出るというか………質が高いお話ばかりだなと思った。とはいえ桜庭さんきっかけで買っていて実はカー読んだことない笑、ので、桜庭さんが言ってたようにこれをきっかけにカー読みたい。
    桜庭さんのはもちろん好きだっただけど、柄刀さんの「ジョン・D・カーの最終定理」、めちゃくちゃに面白いし上手いし無骨ではなく終わり方まで優雅な物語運びですごく良かった。場面がたとえば作中や過去とかと行き来する話ってぶつ切りになるものだと思ってたけど、そんなことなくてすごいなと思った。余韻まですごかった………この作家さんの他のお話も読んでみたいな。

  • 芦辺拓【ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う】☆4
    始まり方が本当にドラマっぽくて(当たり前と言えば当たり前なんだけど)すごくドキドキしながら読み始めた

    桜庭一樹【少年バンコラン!夜歩く犬】☆4
    桜庭さんの物語に登場する女の子はいつもながら魅力的ですき。こういう物語を読むと登場する音楽や踊りが実際に見たり聞いたりできないのが悔しい。

    田中啓文【忠臣蔵の密室】☆3
    駄洒落がちょっと…(ごめんなさい)。

    加賀美雅之【鉄路に消えた断頭吏】☆4
    列車ものは自分も旅に出れそうですき。わくわく

    小林泰三【ロイス殺し】☆5
    こういうのだいすき!(笑)田舎の村と強盗するギャングと庶民的な居酒屋。少し謎を残して雰囲気よく終わる感じ。

    鳥飼否宇【幽霊トンネルの怪】☆3
    こういうのどっかで読んだことあるようなないような…

    柄刀一【ジョン・D・カーの最終定理】☆4
    一つの小説の中に何個も事件がでてきて最後にまとまって、おおーとなりながら読んだ。私も文系なので解説いれてくれるのありがたい。(でもちょっと難しくて置いてかれた)

    二階堂黎人【亡霊館の殺人】☆5
    これも雰囲気がよくって、登場人物を部屋に集めて検証しながら推理を披露するっていう王道っぽく一気にラスト!



    カーを読んだことなくて、桜庭さん目当てに図書館で借りたけどすごく楽しめました。良かったな~。読みたい本が一気に増えた!

  • J・D・カー生誕百年記念アンソロジー、全て書き下ろし

    芦辺 拓 「ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う」
    BBC放送局ライターとしてのカー本人が題材。

    桜庭一樹 「少年バンコラン! 夜歩く犬」
    イメージ小説。

    田中啓文 「忠臣蔵の密室」☆☆
    討入り前に吉良はすでに死んでいた、雪密室の中で。
    という導入でかの物語の登場人物を借りての謎解き。

    加賀美雅之「鉄路に消えた断頭吏」
    列車という密室を舞台にしたフェル博士パスティーシュ

    小林泰三 「ロイス殺し」☆
    イメージ小説

    鳥飼否宇 「幽霊トンネルの怪」
    現代日本もの。婦警さん活躍のマーチ大佐パロディネタ。

    柄刀 一 「ジョン・D・カーの最終定理」
    現代日本もの。
    カー生誕百年に沸くマニアが集まった洋館で起きる不可能犯罪。

    二階堂黎人「亡霊館の殺人」☆
    魔女狩りの短刀、降霊術師を相手にしたヘンリー・メルヴェール卿パスティーシュ

  • 桜庭先生の作品だけ図書館で借りて読みました。
    カー作品は読んだことがありませんが、読んでみようかな?という気持ちが湧きました。

  • カー生誕百周年記念アンソロジー。

     「ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う(芦辺拓)」 はわかりづらくパス。「少年バンコラン!夜歩く犬(桜庭一樹)」 はグロくてトリックもいまいち。パロディっぽい「忠臣蔵の密室(田中啓文)」 は乗りきれず。

     「鉄路に消えた断頭吏(加賀美雅之)」 で少しカーの雰囲気が薫ってきた感じで、既読の「ロイス殺し(小林泰三)」 で少し休憩。

     「幽霊トンネルの怪(鳥飼否宇)」 はトリックのための犯罪という感じで無理が目につく。凝りに凝った「ジョン・D・カーの最終定理(柄刀一)」は力作。おかげで 「亡霊館の殺人(二階堂黎人)」はパスしちゃった。

     カーをあまり知らないんだが、火刑法廷ってのが本格ミステリーの傑作らしいことがわかったのが一番の収穫。

  • J・D・カーのパスティーシュ短編集。まっとうなパスティーシュあれば、状況がカーっぽいだけのものもあり、若干遊びすぎな作品もあり、といったところ。
    ・「ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う」
    事件自体はそこそこだけど、趣向は面白い。
    ・「少年バンコラン! 夜歩く犬」 
    首切りの理由はなかなか。それ以外の点は無理無理な感じもするけど。
    ・「忠臣蔵の密室」
    密室トリックは普通だけど、それによって「忠臣蔵」自体の様相ががらっと変わってしまうところが素晴らしい。駄洒落は……ま、まあそういうこともあるってことで。
    ・「鉄路に消えた断頭吏」
    密室トリックと、首切りの理由がうまくリンクしていて面白い。
    ・「ロイス殺し」
    カーっぽい怪奇趣味、そして密室の作り方、どれも高水準。
    ・「幽霊トンネルの怪」
    このパロディも無理やりだなぁwトリック自体はそれなり。
    ・「ジョン・D・カーの最終定理」
    謎とその解決は見事にマッチしていてすごいんだけど、それに至るヒントは読者をものすごい勢いで置き去りにしていくね。
    ・「亡霊館の殺人」
    ミステリとしての完成度もさることながら、いわゆるカーっぽさが最初から最後まで徹底されている。

  • 執筆陣がとにかく豪華。
    そして、「探偵小説」な香りがする作品群がとてもいとしい。作者の愛が大変感じられる…。
    どれも面白かったが、驚いたのは『忠臣蔵の密室』か。
    忠臣蔵で密室。いやあ、面白かった。

  • ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う 芦辺 拓/著
    少年バンコラン! 夜歩く犬 桜庭 一樹/著 ★★★★
    忠臣蔵の密室 田中 啓文/著
    鉄路に消えた断頭吏 加賀美 雅之/著
    ロイス殺し 小林 泰三/著
    幽霊トンネルの怪 鳥飼 否宇/著
    ジョン・D・カーの最終定理 柄刀 一/著
    亡霊館の殺人 二階堂 黎人/著

  • カーの作品をもっと読んでからまた読む。

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著者プロフィール

一九五八年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業。
一九八六年、「異類五種」が第2回幻想文学新人賞に佳作入選。
一九九〇年、『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞受賞。
代表的探偵「森江春策」シリーズを中心に、その作風はSF、歴史、法廷もの、冒険、幻想、パスティーシュなど非常に多岐にわたる。主な作品に『十三番目の陪審員』、『グラン・ギニョール城』、『紅楼夢の殺人』、『綺想宮殺人事件』など多数。近著に『大鞠家殺人事件』(第75回日本推理作家協会賞・長編および連作短編集部門、ならびに第22回本格ミステリ大賞・小説部門受賞)。

「2022年 『森江春策の災難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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