赤朽葉家の伝説

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 2800
感想 : 557
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488023935

作品紹介・あらすじ

"辺境の人"に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の"千里眼奥様"と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。-千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の姿を、比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。

感想・レビュー・書評

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  • 万葉が赤朽葉家の嫁さんで、やっていけるのか心配しました。 毛毱のアイアンエンジェル物語は、のめり込んで読みました。 蝶子さんは、可愛そう!と思いました。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00358399

    「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。(出版社HPより)

  • 一族の物語…読み始めたら一気読み間違いなし!!この熱量はすごい!!
    このようなミステリーも良いね~

    ぜひ〜


  • 「これは一体どんなジャンルのお話なんだ?」と訝しみながら読み進めたが、中盤以降読み進める手が止まらず一気読み。山陰地方の一族女3代にわたる大河ドラマ的伝奇小説。

    本作の醍醐味はなんと言っても、物語を彩る個性的で破天荒なキャラクター陣だろう。登場人物は多いものの、個性的な名前と巧みな人物描写も手伝って、最後まで混乱することなく読み進められた。個人的に好きなのは“毛毱”編の第二部。周囲の死を境に激変していく人生模様が感動的。また、“孤独”は私と同世代であり、世紀末の終末思想に図らずもシンパシーを感じ、懐かしさも込み上げた。

    戦後から現代まで変遷していく時代を背景とした伝奇小説ながら、終盤でミステリに変化する構成はリーダビリティが高く、前向きな気持ちになれる読後感も良い。

    ようこそ、ビューティフルワールドへ

    週刊文春ミステリーベスト10 4位
    このミステリーがすごい! 2位
    本格ミステリ・ベスト10 19位
    本屋大賞 7位
    ミステリが読みたい! 2位
    日本推理作家協会賞受賞(2007年)


  • 2022年も後半にして初の徹夜本登場…

    1部の戦後間もない動乱の時期を生きる祖母万葉、
    2部の80年代のヤンキー・ファンシー文化を駆け抜けるは母毛鞠、
    3部の90年代の労働・就活と個性がもてはやされる時代を生き、これから令和を生きていく「私」こと瞳子。

    1部のノスタルジックな時代背景に酔いしれ、
    2部では笑いながら、「このミス」入りと聞いていたので伏線があるのかも…と気をつけて読んでいたら3部で急展開が。

    ミステリーとしては弱めかもしれないけど、
    女と男、女と家、女と仕事をめぐる歴史物語として
    とても魅力的で、ページをめくる手が止まらなかった。


    時代は変わり続けて、1世代前での常識や悩みはどんどん移り変わっていく。

    3世代の女性の人生を並走しながら、
    かつて確かにいた女性たち、これからいるであろう女性を思う。

    自分のせいぜい3世代前のひいおじいさん、ひいおばあさんさえほとんど覚えていなくて、幻のようだけれど、確かにいて、それぞれ何十年もの喜怒哀楽を生きて、そして私がいるんだということを改めて考えた。


    男性たち、泪さんや、みどりさんの兄じゃも、現在だったらもっと生きやすかっただろうか。(これはまだまだかな…)
    反対に、豊寿さんのように一昔前の価値観でしか生きられなかった人もいる。

    自分は自分が生まれた時代で生きることしかできない。
    その悲しさと、不思議と、奇跡を味わった。



    そして、地元民からするとなんでこんなに山陰の描写が的確なんだ…と思ってたら、桜庭先生、島根生まれ鳥取育ちなのですね。

    山陰文学としても後世に語り継がれるべき名作。

  • 鳥取の旧家、赤朽葉家の3代の女達の物語。ファンタジーであり時代小説であり青春小説でありミステリー。
    ガルシアマルケスの「百年の孤独」が挙げられているが、自分としては中上健次の「千年の愉楽」を感じた(百年の孤独はまだ未読という事もあるが…)

    第一部の千里眼奥様こと万葉の章、色彩に溢れた神話の時代が最も「千年の愉楽 」に近く好み。
    第二部の巨と虚の時代の、姉妹(幽霊)と瓜二つの顔を持つ女2人(ドッペルゲンガー)の対比も、エネルギー溢れる毛鞠の行動と相反する幽き空気が漂っている。
    しかし第三部になると平凡極まりない不肖の娘「わたし」こと瞳子の自称の通り、突然千里眼も幽霊も無い日常になり、第一部でがっちり心を掴まれた分物足りなさを感じる。が、それだけ全三部それぞれ作風がガラリと変わるという事

    ミステリーとして読むと軽め。旧家の女達と周囲の人々の大河小説として読む方が楽しいかもしれない



  • 自分の世代には、遠い 昔々の話でもなく、この不思議な話は急激に変化してきた時代だからこそ生まれた作品の様な気がして興味深く一気に読んだ。(平成時代は少しだれたけれど…)中国地方ってこんな雰囲気だなと思う。サンカと言われる人々の研究のしっかりとした資料も無いので、捨て子だった万葉さんが山の人ではないかと思われていたことでもサンカの存在に改めて興味を持った。でも民族学者の柳田邦夫も解明できなかったらしい。

  • 再読

    千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。三代の女たち、不思議な一族のお話し。

    舞台は、くろぐろとつらなる中国山脈と灰色に染まる日本海のあいだにはさまれた細長い、いつも天候の悪い土地。旧家、赤朽葉家。

    とにかく、「てんこ盛り」な作品。時代を駆け抜ける筆。仄暗さや禍々しさも「明るい語り」なのがこの作品の魅力だと感じた。

  • 3.82/2699
    内容(「BOOK」データベースより)
    『“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。―千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の姿を、比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。』

    冒頭
    『赤朽葉万葉が空を飛ぶ男を見たのは、十歳になったある夏のことだった。万葉はわたしの、祖母である。そのころ祖母はまだ、山陰地方の旧家である赤朽葉家に輿入れする前で、山出しの野蛮な娘であったため、苗字というものがなかった。ただの、万葉、と村では呼ばれていた。』


    『赤朽葉家の伝説(あかくちばけのでんせつ)』
    著者:桜庭 一樹(さくらば かずき)
    出版社 ‏: ‎東京創元社
    単行本 ‏: ‎320ページ
    受賞:第60回日本推理作家協会賞


    外国語訳:
    English『Red Girls: The Legend of the Akakuchibas』
    French『La légende des filles rouges』
    Italian『Red girls』
    Chinese『赤朽葉家的傳說』
    German『Das Haus der roten Töchter』
    Polish『Czerwone dziewczyny. Legenda rodu Akakuchibów』

  • 赤朽葉家の女3代の物語。山の人たちが置き去りにした捨て子万葉から始まるお話です。
    とても長いお話ですが、それぞれの時代の女性たちの奮闘が書かれていて飽きずに一気に読み切ることができました。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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