オレンジの陽の向こうに

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024741

作品紹介・あらすじ

同じ家で暮らしているはずの真と棗のふたりは、ある日を境になぜか会えない日が続くようになる。なにかがおかしいと思い始めたころ、あれほど出会えなかったふたりが、ばったりリビングで遭遇する。互いを捜しあっていたことを怪訝に思いつつほっとしたのも束の間、棗は彼が事故に巻き込まれて死んだことを聞く。じゃあ、私が会っていたのは誰なの?死んだ本人ですら気付かないほどリアルな"世界"の秘密を、死んだはずの彼と一緒に解き明かす。すこし不思議なファンタジック・ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 同じ家で暮らしているのに、ある日を境にぱったりと会えなくなるふたり。
    帰ってきた気配も感じられない上に、電話も繋がらない。

    不安な数日を過ごした後、リビングでやっと再会し、ほっとしたのも束の間
    地下鉄の爆破事件に巻き込まれて既に亡くなっていた彼の遺体が見つかって。。。

    自分が死んだことを認識しているのに、現実と同じ風景の中、
    淡々と死者だけで営まれる世界に戸惑う彼。
    夢とは思えないほどリアルな夢の中で、ちゃんと自分の意思を持った彼と会話し、
    身体に触れることさえできることを知り、夢の世界こそが現実、と信じたくなる彼女。

    先祖代々の秘密を守ってきた小さな島の岩を覆う
    不思議な地衣類「イワフネさん」に導かれる、ファンタジック・ミステリ。

    なにやら壮大なイワフネさんの由来の物語に
    怪しい健康食品、カリスマアーティストの謎の死、失踪事件、眠り続ける兄など
    目まぐるしくいろんな事件が絡んで、頼りない頭がついていかなくてクラクラしたけれど
    『黄泉がえり』と『沼地のある森を抜けて』と『ツナグ』の世界観が
    渾然一体となった雰囲気、と言えば伝わるでしょうか?

    「イワフネさん」がお引越ししていった世界で、
    死者も心穏やかに暮らしているのだといいなぁ。
    現世に遺してきたひとたちのしあわせを願いながら。

  •  プログラマーの鳥沢真(とりさわしん)は、結婚パーティーの場で、日にちを間違えてやってきた森泉棗と知り合う。一緒に住んでいた女友達がいなくなったことから住むところも無くしてしまったと聞き、自分の部屋を借し、同居生活が始まる。しかしクリスマスの日、一緒に過ごそうと約束し、お互いに連絡をとろうとするものの、なぜかお互い電話も通じず、一切会えない状態になってしまう。

     ファンタジーというか、あんまりこのジャンルは読んでこなかったからかもしれないが、他の人が絶賛するような面白さは感じ取れず。死後の世界と現世をつなぐイワフネなるものがキーになってくるのだが、後半登場人物たちがあれやこれやと考察する部分で飽きてきてしまった。

  • 不思議な世界・・・切なくて温かい

  • ほしおさなえさんの作品は『三ノ池植物園標本室』(単行本は『恩寵』)に続く2作目として読んだ。(書かれたのもこちらが後らしい)
    三ノ池…に引き続き時空間を超えていく。そして今回は複数人でも超えていく。

    過去~未来は1直線上にあるのではなくて、今に重なっている、という話しを聞いたことがある。そんな世界を描いた本。

    登場人物の印象が前半と後半では違うのは気になるけれど、かなり面白かった。

    暫くほしおさんブームが続きそう。

  • クリスマスイブを境に会えなくなった同居中の真と棗が、互いを探し合っている中漸く会えたものの真が事故に巻き込まれ亡くなっていたと判明する。夢を通して繋がる亡くなった本人も気付かない死後の世界。不意に台詞頼りで説明不足になる。菌類と藻類で出来た地衣類という植物の感染が不気味になり切らない湿度で不可思議。

  • 2018/6/13
    最後に奇跡は起こらないのか。
    むしろ今までは死んだら再会できてた人に会えなくなったから余計ひどい。
    清々しく終わってる感じやけどなんか理不尽だな。
    物語に不必要な理不尽さやな。
    あ、なんタイトルとエンディングの爽やかさにか騙されてた気がしてきた。
    棗はなんでそんなに諦めがいいのさ。
    それ以上に、どうやらこの後も続いていく真の世界はどうするの?
    年も取らない死なない成長も変化もない世界が永遠に続くならそこは地獄だ。

  • ひょんなことから一緒に住むことになった真と棗。ある日を境に会えない日々が続くようになる。なにかがおかしいと思い始めたころ、リビングでばったり遭遇する。互いに探しあっていたことを怪訝に思いつつ、会えたことにホッとしたのもつかの間、棗は真が事故に巻き込まれて死んだことを聞く。じゃあ、私が会っていたのは…?俺は本当に死んだのか…?死んだ本人ですら気づかないほどリアルな〝世界″の秘密を解き明かしていくファンタジックミステリー

    死後の世界とつなぐ鍵、不思議な植物イワフネさん。聞いただけでは、何が何だかわかりませんでしたが、物語に入ってしまうと、おもしろくてどんどん読めてしまいました。イワフネさんって本当にあったりしてなんて、思ったりしながら。

  • 【あらすじ】
    同じ家で暮らしているはずの真と棗のふたりは、ある日を境になぜか会えない日が続くようになる。なにかがおかしいと思い始めたころ、あれほど出会えなかったふたりが、ばったりリビングで遭遇する。互いを捜しあっていたことを怪訝に思いつつほっとしたのも束の間、棗は彼が事故に巻き込まれて死んだことを聞く。じゃあ、私が会っていたのは誰なの?死んだ本人ですら気付かないほどリアルな“世界”の秘密を、死んだはずの彼と一緒に解き明かす。すこし不思議なファンタジック・ミステリ。

    【感想】
    初めの方は、訳がわからず戸惑ったけれど、次第にこの本の世界に引き込まれていった。イワフネが本当に存在するものだったら、今この世の中はどうなっていたんだろう…とふと思ったりもした。

  • ちょっと無理があったかな。
    会話文が多すぎて、読みづらい。

  • なんとも不思議なお話。結局イワフネさんが何なのかは解らなかったけど、現代風の死後の世界が描かれているのかな。人間必ず死ぬのだからそれまでは生きている現在を大切にしなければならないと改めて思わせる作品でした。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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