夜の国のクーパー

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 776
  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024949

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の猫のトム君の名前は、やっぱり、『トムとジェリー』からきてるんだろうか? ちょっと、気になった。でも、「仙台から漂流した公務員で少額の株取引を趣味としている妻に不貞された男」という設定の異様なリアリティさが現実と物語を繋いでいる。また、哲学者のカントの言葉の挿話は、やはりというか、どこか伊坂ワールドらしい。不思議だ、誠に摩訶不思議な物語だ。『ふしぎな国のアリス』くらい不思議だ。どこか不思議でどこかにあるであろうおとぎの国のお話

  • 正直、最初は何の話?という感じで、戸惑うところもあったが、話が進み、物語の視点と関係性がわかってきてからはどんどん引き込まれていった。
    あとがきに書かれている振り落とされないように読んでいく感覚がわかった。

  • 日本のミヒャエルエンデといっても過言じゃないな。伊坂幸太郎、、、と、思うほどにネバーエンディングストーリーを彷彿とさせるようなファンタジー。

    なんとも言えない世界がどうやって幕を閉じるのがものすごく気になります。

    最後の浮気をされた不甲斐ない僕の立ち位置が見事。

    なんとも言えない抜け感のある猫と、僕、そして、国王と裏切り苛立ち色々あるのに、主役である猫?がフッと脱力してくるところに、シリアスな場面がほとんど出なかったように感じるほど、泣かせるでもなく、ハラハラドキドキしそうでさせない、この技。これ、伊坂幸太郎。

    そして、ハラハラドキドキしないし、緊張感ないのにどーしても先が気になる。

    これ、伊坂幸太郎。

    ほんと、どうしてなんだろう。

  • 鉄国の支配を受け続けている国のクーパー兵士の物語。
    猫とネズミとの関係と繋がっている。

    小説の世界観から置いていかれないように読み進めるのに苦
    労した。

  • 「夜の国のクーパー」
    クーパーを倒しに行く物語。


    動けない僕の上にちょこんと乗っている猫が言う。僕の話を聞いて欲しいと。


    もしかしたらトムの言葉を僕が理解出来ているのかも知れないが、どうやら鉄の国がトムの暮らす小さな国を支配しようと戦争をしかけてきているらしい。僕はこの不思議な状況を聞きながら考える。それは大変だ。でも僕は動けないんだ。


    ファンタジー溢れる世界観からオーデュボンの祈りやSOSの猿のような感覚を受ける。でも、鉄の国と言う呼名や住民、兵士の風貌、名前からどこか中世のようにも思えるし、クーパーと言う謎の怪物からは冒険ストーリーにも思えるから、上記二つよりは作品の幅は広く思える。


    個人的には、僕の役割が良かった。最後美味しい所を持っていくのも好きだが、猫と鼠の話を自分と妻に置き換えて関係修復を考える所や自分の弱さに自信なさげだけど「トムに助けると言っちゃった手間頑張るか」と最後決める辺りは、現実の世界での僕の生活や振る舞いを思い浮かべる事が出来る。


    猫の中では、ギャロが良い。トムはしっかり者だが、ギャロはお調子者。しかし、このギャロは最後にいい事しちゃいます。やるね、ギャロ。


    しかしながら、トムもギャロも人間の生活には興味を示さない。戦争をする人間には同情するが、だからと言って助けようと積極的に動くわけでは無い。彼らが動くのは、自分達まで襲われる可能性が出てきたからだ。ある時点までは、彼らは完全に野次馬なのだ。


    ここら辺がファンタジーぽくない。私はファンタジーに対して、善悪が分かれているイメージを持っていた。


    攻めて来る鉄の国やトムの暮らす国を支配するダメな王は悪で、クーパーを倒しにいった透明な戦士が善。そして、トムやギャロも気持ちは善で、攻め込まれる人々に心から同情し、何かしてやろうとするもんだと思っていた。


    しかし、そんな簡単に善悪があるもんじゃない。猫達も鼠達も人間と同じように善悪の中間に立ち得るのだ。そこに妙な苦々しい共感(現実)を感じた。


    ファンタジーならファンタジーにして下さいよ、伊坂さんw

  • とある小さな国の外にある杉林にいるクーパーという生き物。それを倒すために毎年クーパーを倒す兵士が選ばれる。兵士たちは帰ってこられないが国が窮地に陥った時、透明の兵士になって救うという…。始めの方は説明が多くて進まなかったが後半は一気に読めた。クーパーの兵士と攻めてきた敵国の兵士、小さな国の秘密とか、そういうことだったのか〜と思いながら読み進められました。

  • 猫好きにぜひおすすめしたい本。
    読むと頭のなかに毛繕いしている猫が浮かびます。

  • 正月休みのお供に久々にハードカバーを借りてみました。
    猫の語り部、ということでちょっと海辺のカフカを思い出しましたがお話は全然違います(当たり前だ)。
    なんだかふわふわと話が終わってしまったと言うような結局町の人たちは踊らされていただけで何もしないで終わったねえ、というような感想です。が、そう言えば主役はトム君、猫だから良いのかな?多分。
    面白くないわけでは無いのですがだから?と言われるとう~んと考えてしまう。そんな感想です。

  • 強固な壁に囲まれた小さな国。
    そこではクーパーと呼ばれる杉の化け物を退治する為、
    兵士が送り出されていた。
    そんな慣習も十年前に終わり、平和に暮らす人々。
    小さな国は鉄国に戦争で負け、鉄国の兵士がやってきた。
    国王を殺され不安と戸惑いで怯える国民達。

    国には言い伝えがあった。クーパーと戦った兵士は
    戦いの後「透明な兵士」となって姿は見えないが
    国が困った時に助けに来てくれる、と。
    これは、猫と戦争と、そして世界の理のおはなし。

    相変わらずのとぼけた会話が楽しく
    終始淡々と猫のトム君とひょんなことから知り合った
    妻に浮気された私。

    小さな鼠と猫の関係、世界、理が
    人間達にも当てはまるんじゃないか…?と
    徐々に気づかせる筆力はすごいな~
    前半は首を捻りながら読んだけど
    鼠と猫の関係や鼠のやり方に「あれ…?」と気づいてからは
    あっという間に読んでしまった…

    鉄国の兵士をおっぱらってくれ!と
    トム君がただの公務員である私に気軽に頼んで
    さっさと行っちゃった時はこれは「私は一体…?」と
    色々推理してみたけど、なるほどな~

    伊坂ファンならこの一見不思議極まりない
    まとまりのないようなふわふわした話が
    いつか形になって収まるぞ~とワクワクするだろうけど
    読みなれてない人は「何の話なの…」と困惑しそう。
    「伊坂幸太郎読んだみたいけどどれから読めばいい?」と
    聞かれたら勧めはしないな…

    でもとにかく猫好きなので猫が飄々と話してるだけでも
    ほんわかするし、猫がこういう風に仲間とやりとり
    していたら楽しいだろうなぁ…と思う。
    あと鼠の礼儀正しさも何だか可笑しい。

  • 猫が主人公…というか、猫目線で話が進みます。

    最初は何だか話の流れがよくわからなくて、なかなか前に進まなかったんですが、後半なってから、テンポ良くなったいうか。
    「うわっ!そういうことだったの~!!」みたいなカンジで、いろいろ回収されてきて、個人的にはスッキリした終わり方でした。

    非現実的な世界のお話なんだけど、意外とリアルな内容で、奥深いなぁ。と思いました。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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